緊急事態条項の何が問題なのか(くらしと憲法 #14) | 少年飛行兵 と 私 第二幕〜Thoughts About Peace

少年飛行兵 と 私 第二幕〜Thoughts About Peace

2014年、突然閉鎖したブログ「少年飛行兵と私」
特攻隊員だった「彼」の遺志を確かめた僕は、「少年飛行兵と私 第2幕」として新たな旅を始めます

私は今から10年あまり前に某大学の通信教育課程を卒業して

そののち社会人大学院生として地方自治研究(?と呼べるものでもないけど)にあたっていました。

 

その際、通信教育課程時代には卒論指導教授として、大学院時代は指導教授として私の視野を広げていただいたのがこのお方でした。

写真:毎日新聞Webサイト

 

 

授業だけでなく修士論文の指導でもだいたい一対一でしたから

思えば贅沢な経験をさせていただいたと思います。

 

片山教授からは本当に多くのことを学ばせていただきましたが、その中でも特に印象に残っているのが「デモクラティック・コントロール(=民主的統制)」についてなんですよ。

 

民主主義っていうのはね、国民が為政者をコントロールする、つまり為政者が暴走した時に投票でクビをすげ替えられる仕組みなんですよ。

と話してくれました。

これがデモクラティック・コントロール(=民主的統制)なんですね。

 

これを念頭に自民党改憲草案にある緊急事態条項を考えてみたいんですけれど

 

「平時の統治機構をもっては対処できない非常事態*」

は起こりうるし

「一時的であれ、立憲的な憲法秩序を停止し、一国家機関への権力の集中と強化を認める*」

ことも非常時においては認めざるを得ないと思います。

(*「『緊急事態』に関する資料」 衆議院Webサイト

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/shukenshi087.pdf/$File/shukenshi087.pdf

 

つまり、

「緊急事態が起きた時に私たち国民の自由や権利が制限される」

ことは前回記事の徴兵制を含めて「許容できる範囲で」状況によっては受け入れざるを得ないと思うわけです。

 

でね、今日言いたいのはここから。

 

「緊急事態」を判断するのは閣議決定、宣言するのは内閣総理大臣

まあこれはいいとしましょう

 

一応事前または事後に国会での承認が必要とあるけれども、そんなの与党の過半数で通過するに決まってる。

「二世議員殿下」の賛成でね。

 

問題なのは何かというと

その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

(上記衆議院Webサイト)

 

つまり首相も国会議員も、任意で任期を延長できるし、選挙もなくなる

ということです。

 

緊急事態において首相はじめ政府、そして国会議員が適切に対応できている間はまだいいでしょう

でも万が一、緊急事態における対応を誤って、無能な政治家(国会議員)が居座り続けた場合、

「私たち国民にそれを是正する手段がない」

「為政者の暴走を食い止める手段がない」

こと、つまり、デモクラティック・コントロール(=民主的統制)が効かなくなるということです。

今だってそんな状態だろ! って声が聞こえてきそうではありますが...)

 

ゼレンスキーは今年5月に大統領任期が切れています。

現在は非常事態なのでそのまま大統領の座についています

前回記事で上げたように

徴兵・動員の法案によって様々な社会問題が起きている

その上

「和平案」を口にしているゼレンスキー本人自体が「ロシアとの和平交渉を禁ずる大統領令」を出している

 

こんな中で、ウクライナ国民に平穏な日々が戻ることなど望むべくもないわけです。

 

どんな時代であれ、どんな世であれ、どんな人であれ、為政者が間違いを犯すことはあります。(要は程度の問題)

それを正す手段が残されているか残されていないのか

 

緊急事態条項の是非を考える際

これが一番重要だと私は思います。