始まりは金木犀の咲く季節 | thoth-blog

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お知らせと日記

最近、よく金木犀の香りがします。

大好きな香り。

今日の帰り道も金木犀の香りがして
その瞬間、胸がキュッってなりました。

多分この胸の痛みは昔見た夢のせいだと思うんだ。


寝てる時に見る夢って大抵はすぐ忘れちゃうんだけど
不思議な事にはっきり覚えてる夢がいくつかある。


今から話す夢の話もその中の一つ。



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季節は秋。
金木犀の香りが私を誘う。

そこは病院で
私はおじいちゃんのお見舞いに来たのか
それとも私が入院してるのか
そこの設定はよくわからなかった。


その病院にはクロ(鉄コン筋クリート)みたいな男の子がいて
病院の人達はみんな彼を嫌っていた。

きっとクロは悪いことばかりしていたのだと思う。


私もクロがあまり好きじゃなかった。
底なしの闇を抱えているクロは可哀想でもあったけど
やっぱり怖くもあった。


でもある日
裏庭のベンチに座っている私に
クロがいきなり話しかけてきた。

『お前が、イスラム教徒だったとするだろう。
そんでさ、コーランの教えの通り熱心に信仰して生活してるわけ。
でもさ、ある日誰かに言われるの。
お前が信仰してるそれは新約聖書だって。
今まで信じてたものは違う宗教だったんだ。
イスラム教徒のお前からするとキリスト教徒なんぞ馬鹿らしいと思ってただろ。
なんせ自分が信仰してるものが一番だと思って今まで生活してきたからな。
でも、そうなった時お前はいったいなにを信じれるんだ?』


すごく難しい質問で困った。
その反面、クロはいろんなことを考えているのだと感心した。


私は今までにないくらい真剣に考えたけど、結局その質問には答えられなかった。


その日からだ。
クロと少しずつ話すようになったのは。


いつもの裏庭でクロと話すようになって毎日が楽しくなった。
クロは物知りで私の知らないことをいっぱい知ってた。
クロは私が真剣に考えてる時の顔が面白いらしく、いつもケラケラ笑ってた。

秋はいつしか冬になった。
どんなに寒くても私たちは相変わらず裏庭で語り合った。



でもね
ある日事件がおきたんだ。
多分クロがとんでもないことをしちゃったんだと思う。

クロと一緒にいた私は
クロと一緒に逃げた。


だけど追ってくるやつらはとんでもなく強かった。
無理をした私、気がついた時には一人病院のベッドの上だった。。

目を覚ました私に看護婦さんがこう言った。

『あんたにはまだ身体ってものがあるんだ。だから無理しちゃだめ。』

そう言って、クリスタルのブレスレットを腕にはめてくれた。

強い口調だったけど、なんだかとてもあたたかかった。



『体と魂はまだ一つなんだね』
私は残念そうに呟いた。


その瞬間クロのことを思い出した。


クロが!!!


私の体はボロボロだったけどそんなことは関係なくって、必死にクロを探した。



最後にたどり着いたのはいつも一緒にいた裏庭。
やっと見つけたクロは
私なんかよりもずっとずっとボロボロだった。

でも
なんでたかニッて笑ったの。

そしてこう言った。
『お前のために病院の庭にあるでっかい桜の木、咲かせようと思ったんだ。
だけど失敗しちゃってよ。でもな、裏庭にあるあの小さな桜の木だけはなんとか咲かせられたんだぜ。ほんとはデッカイの見せてやりたかったんだけどなー』



真冬の枯れ木のなか
一本だけ

そう
一本だけ
満開の桜が咲いていた。

夜に咲く、その花びらは冬の冷たい空気に包まれながらも、美しく咲き続けていた。


クロ。

振り返るとクロの姿はもうどこにもなかった。



ネコって
自分が死ぬとき大切な人の前から姿を消すでしょ。
きっと見られたくないんだ。

強がりなクロはなんだかネコみたいだ。


野良ネコみたいなクロ。

私はとっても とっても 彼の事が大好きだった。

私はとっても とっても 彼の事が大切だった。


私もクロの大切な人になれてたのかな。。。






目が覚めると少し泣いてた。

そしてこう思った。

『だから私、桜が好きなんだ』って。


長い
長い
夢から覚めた私は
なにかとんでもなく
キラキラしたものを
手にしたのかもしれない。




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ほほー。

こんな夢を3年前に見たわけです。

始まりが金木犀の咲く季節だったんですね。


いやはや
私の頭の中どうなってんだろー(´・ω・`)笑