トンプソンにアジャスタブルリアサイトは必要か?

 

M1からはライマン製アジャスタブルリアサイトは廃止になり

簡易L字サイトが採用されました。

右:CMC M1 簡易L字リアサイト

左:CAW M1A1 保護板付き簡易L字リアサイト

 

何故M1921にアジャスタブルリアサイトが採用されたのでしょうか。

 
第一次大戦は塹壕戦が主流をなしていた。狭い塹壕内で長いライフルは
取り扱いずらい。機関銃は重たく数人で扱かわなければならず移動も大変。
こういった扱い難さに着目し塹壕戦に適した小型機関銃で1人で携行でき
射撃できることをコンセプトに開発されたのがM1921でした。
塹壕では敵陣の大まかな距離は分かっていたと推測できます。
ライフルは狙い撃ちをする為アジャスタブルリアサイトは必要であり
機関銃も一定の距離を決めて狙うにはアジャスタブルリアサイトは必要。
撃った後の土煙を追いながら目視調整を行うことにより効果が上がります。
開発されたM1921は単・連の切り替え機能を備えていました。塹壕戦で
アジャスタブルリアサイトがあれば単発での狙い撃ちが可能に。
更に距離を定め連射もできます。塹壕戦では理想と言える銃です。
こういった背景からアジャスタブルリアサイトが採用されたと推測できます。
しかし第一次世界大戦中には間に合わず、終戦後は平和ムードと軍縮により
ピストル弾を使用するトンプソンは正式採用されませんでした。
 
第二次世界大戦が勃発すると戦い方も変化し1発1発の狙い撃ちではなく
複数弾の撃ち込みに変わるという大量消耗時代に。
サブマシンガンは特にその傾向が強くアジャスタブルリアサイトがあっても
微調整射撃をするようなことは不要だったかも知れません。
 
とは言え全く使う機会が無い訳ではない・・・
第二次世界大戦のアフリカの漠での戦いを描いた映画「サハラ戦車隊」の
ワンシーンでは一定の距離に来たら撃てるようにトンプソンのリアサイトを
調整しドイツ軍を待ち受けるスーダン大隊の生き残りタンブール曹長が
描かれている。実際にこの様なことも有ったのではとおもいます。
でも結局アジャスタブルリアサイトは不要とされM1からは簡易型になって
しまいました。
 
M1928A1の最終時期生産では簡易L字サイト付きも納品されたようです。
リアサイトを見ると簡易型が付いています。バレルは冷却フィンの
無いスムーズバレルの様な・・・はっきり見えませんね。
 
M1928A1簡易リアサイトを国際製で再現。
こんな感じになってます。
 
アジャスタブルリアサイトを見てみましょう。
これは実物の写真です。摘みノブさえ気に留めなければMGCと言っても
通るかも知れません。
M1921の当時の販売価格は175ドル、うちリアサイトは25ドルもしました。
まるで精密射撃用のサイトと言っても過言ではありませんね。
 
モデルガンでアジャスタブルリアサイト付きはMGCのM1921,国際のM1928Aと
ロッケンのM1928の3社になります。各社のリアサイトを見てみますと
 
左はMGC。モールドで良く実物を再現してます。
右は国際。上下左右に可動します。ちょと右に曲がっているのは
可動させたからです。
 
 
左MGC、摘みノブは本物より多少小さめ。
右国際、可動すれども摘みノブが小さく指では回せず(ー)ドライバーが必要。
折角の稼働も水の泡的感じです。
 
ロッケンは持ってないので雑誌GUNよりお借りして見てみます。
大雑把に作られているが頑丈装ですね。
 
こうして見ますとモデルガンは一長一短です。完璧は現れなかった!
 
左:MGC、固定型
右、国際、動かすとこんな感じ。かなり遠くを狙ってます。
サイトピープルは左よりに。