”台湾関係法の実現を!” | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

日本版『台湾関係法』の制定に向けた動きがあるようです。

台湾関係法とは、1979年1月にアメリカ政府と台湾の国民党政府との外交関係断絶,米華相互防衛条約の廃棄および米中国交樹立を背景に,アメリカ議会が台湾に最大限の保護を約束し最大限の待遇を与えると同時に,台湾問題に対する影響力を維持する目的で 79年4月に制定された法律です。

同法では断交後の台湾関係維持のための関係機構や人員の地位・権限を規定すると同時に,(1) 北京との外交関係樹立は台湾の将来が平和的手段で決定されるとの期待に基づく,(2) 台湾の将来を非平和的手段により決定しようとする試みは西太平洋地域に対する脅威とみなす,(3) 台湾に防衛的性格の武器を供給する,(4) アメリカは台湾の人々の安全や経済体制を危険にさらすいかなる武力行使または他の形による強制にも抵抗する能力を維持する,(5) 台湾のすべての人々の人権の保護および増進は,これによりアメリカの目的として再確認されることなどの規定が盛込まれています。

 

現在日本と台湾との国交は事実上断絶しており、アメリカの台湾関係法に相当する法律もないため、日本側は民間機関の「交流協会」を、台湾側は外交部所管の「亜東関係協会」をそれぞれの窓口として経済、社会、文化などの分野における「非政府間の実務関係」を続けているのみであり、政府間の対話が困難な状況にあります。

昨日行われた日米豪印の首脳による電話会談では非同盟国のインドも含めて安全保障について言及があるかが焦点とされていましたが、「東シナ海及び南シナ海におけるルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対応するべく、海洋安全保障を含む協力を促進する」と明記され、クアッド(日米豪印による安全保障や経済に関する協議の枠組み)参加国が中国の海洋脅威について同じ認識を共有していると明らかにすることができました。

そして中国の海洋脅威にさらわれている国の一つが台湾です。米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は、上院軍事委員会の公聴会で「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と証言しており台湾危機は極めて現実的なものになりつつあります。

 

台湾危機が日本にとって非常に重大であることは言うまでもありませんが、今の日本は台湾と安全保障上の協議を行うことができません。Twitterでは、岸防衛大臣が蔡英文総統の東日本大震災の犠牲者の追悼や、東京五輪の順調な開催への願いなどについて謝意を示すなど政府要人同士の交流はできますが、これは当然ながら公的交流とは呼べないものです。自由で開かれたインド太平洋構想の推進のためにも台湾との公的交流を可能にし、安全保障や経済における協議を進める必要があるでしょう。

台湾は地政学的にも、サプライチェーンなど経済的な観点からも重要なパートナーであり、TPP加入についても是非前向きに検討してほしいと思います。