2020年度宿泊業者の倒産急増/GoToキャンペーンの再開を | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

東京商工リサーチの調査によると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の宿泊業者の倒産件数は2月までに累計114件とすでに前年度(74件)の1.5倍もの水準になっており、東日本大震災直後のレジャー自粛の影響で倒産が急増した2011年度以来の高水準になる見通しであるとのことです。


全業種の倒産件数を見てみると、2020年の倒産件数は7,773件と過去50年で4番の低さで、8,000件を下回るのはなんと30年ぶりのことでした。今年に入っても全業種の倒産件数は1月,2月と前年比▲30%以上の僅少さでコロナショックへの各種支援が奏功しているのがよく分かりますが、そんな歴史的に倒産件数が少ない年においても宿泊業者の倒産件数は急増しています。


これまで本ブログでは労働力調査や毎月勤労統計調査を用いていかに飲食・宿泊業者が苦境に陥っているかを繰り返し示してきましたが、当然労働者だけが苦しいのではなく業界全体が極めて厳しい状況にあることが改めてわかります。昨日も藤田観光が従業員の基本給を削減すると報道されるなど、一向に明るい兆しは見えません。


GoToキャンペーンが利権だの癒着だの批判している輩がいますが、深刻な苦境に陥っている国内企業・業界を見捨てろという主張にはどう考えても賛同できません。一律給付金による広く薄い支援などよりも困窮産業・困窮世帯への集中支援が必要なのは火を見るより明らかでしょう。
もちろん宿泊者への支援が感染拡大につながっては意味がありませんし、最近は人出の増加とともに陽性判明者の減少が止まっているとも言われますが、感染者の下げ止まりは世界的な傾向です。










このようにほとんどの国で2月の、特に後半からは感染者が横ばいもしくは増加傾向にあります。果たしてどこの国も同じように2月になって人出が増えてきたのでしょうか?
と考えると、やはり感染拡大は人出よりも世界的な気候や傾向に左右される部分が大きいのではないかと思います。

もちろん今すぐGoToキャンペーンを再開せよという政治的に不可能なことは言いませんが、もうしばらく落ち着いたらなるべく早急に再開してほしいと切に願います。このままの状況が続けば次々に宿泊業者が倒産していき雇用に悪影響なのは言うまでもなく、いざ旅行しようとしたときにも宿泊場所が無くなり旅行自体が困難になりかねません。
観光業は飲食・宿泊だけでなく土産やクリーニング、物資の運送業など非常に影響の広い業種です。アフターコロナを見据える意味でも少なからず支援が必要かと思います。