バイデン次期米政権、インド太平洋調整官ポストを新設/民主党(日本)政権の被害者 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
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さすがにアメリカの次期大統領がここから覆ることはないでしょうから、バイデン氏が次期大統領となる前提で『バイデン政権』と記します。
さて、親中派と見られがちなバイデン政権ですが、茂木敏充外相は15日の記者会見で、バイデン、がホワイトハウスに「インド太平洋調整官」の高官ポストを新設し、知日派のカート・キャンベル氏を起用することに対し「インド太平洋地域を重視する、次期政権の姿勢の表れだ」と歓迎する旨を表明しました。


知日派と書かれてはいますが、カート・キャンベル氏はバイデン氏がオバマ政権の副大統領だった際(2009年6月~2013年2月)に東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めていた人物です。2009年6月~2013年2月とは日本の民主党政権だった次期とほぼ丸かぶりであり、そのときにアジア太平洋の要職を務めていた人物がインド太平洋の要職に就くとなると、日本のイメージは大丈夫だろうかと不安が拭いきれません。

なお2011年にキャンベル氏はアメリカの平和の実現に向けて①同盟国との関係を強化 ②中国などの台頭国との関係深化への取り組み ③地域の多国間枠組みに関与 ④貿易と投資の拡大 ⑤海外の軍事プレゼンスの構築 ⑥民主主義と人権の普及 という6つの柱が重要であると述べる一方で、回顧録では「アジア太平洋地域に外交、経済、戦略などを集中投下し、その効果を促進するには、オーストラリアや日本などとの同盟関係を強化し、インドやベトナムなど新たな友好国とも協調すべきだ」とし、「中国に対しては精力的に関与し、その興隆のあり方に一定の影響を及ぼすことが求められる」と要約しています。
この時点では中国に対する融和的政策への期待が強かったようですが、2016年の著書「The Pivot アメリカのアジア・シフト」では、中国の台頭に直面する中、米国は日本や韓国などの同盟国との関係を強化すると同時にインドやインドネシアなどとの関係を構築すべきと提言し、2020年12月にはアジアにおける米軍のプレゼンスと中国の台頭に対抗する能力が、米国のアジア政策の鍵を握るとの認識を示しており、対中政策の方針は明らかに厳しいものとなっています。

新設ポストの性質からもトランプ政権のアメリカファースト路線と一線を画した同盟国重視路線にはなるのでしょうが、インド太平洋調整官というポストの名称からして、バイデン政権も日本外交の基本方針である『自由で開かれたインド太平洋』構想を進めるものと見られ、対中政策の基本方針もトランプ政権からほぼ継続的なものになると思われます。

このポストの新設はアメリカが日本と外交方針を共有するという表明なので、日本としては茂木外務大臣の言うとおり歓迎すべき政策です。

過去記事[トランプ大統領がオバマ前大統領よりも日本に有益という風潮に異を唱える]にも書いたとおり、オバマ政権の日本パッシングには鳩山・菅・野田政権という日本側にも大きな原因があったのは疑いようもなく、そのときの被害者が日本の暗黒の民主党政権時代の印象を引きずらないことを願います。