トランプ大統領がオバマ前大統領よりも日本に有益という風潮に異を唱える | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

日本ファーストではなく中国ワーストで考える人を中心に日本人でもトランプ大統領を評価する声が聞かれますが、日本にとってトランプ大統領はオバマ前大統領よりも有益だったかと言われると非常に疑問です。
特に通商関係では、オバマ政権は日本にとって有利な内容のTPP(過去記事[日本に有利すぎたTPP]参照)を推進しましたが、トランプ政権はそれをひっくり返してアメリカ有利になるように日米通商協定を進めています。それも安全保障を盾に鉄鋼やアルミに高関税をかけ、自動車も高関税の対象にするというほとんど脅迫に近い形であり、日本の商取引で言えば完全に『優越的地位の濫用』該当するものです。

対日・対中関係についてもオバマ政権は日本軽視・中国重視だったと言われていますが、オバマ政権はWTOにて中国を16件提訴(前任のブッシュ政権は6件)するなど、経済や通商関係については当初から中国に厳しい対応を取っていました。
また政権後期にはTPP署名時に『中国のような国に国際経済のルールを書かせてはならない』と加盟国でない中国に言及したり、大統領権限(エクソン・フロリオ条項)で中国企業によるアメリカ企業買収を阻止するなど、対中政策もシビアになっています。オバマ前大統領が言ったようにTPPはアメリカにとって対中包囲網の意味合いを持っていましたが、それを破棄したのがトランプ政権です。

また、対日政策を語るにあたっては当時の日本の状態も考慮しなければなりません。オバマ政権誕生後の日本の総理大臣は鳩山・菅・野田のアカい三連星ですよ!日本を踏み台にして中国に接近するのも無理無いことでしょう。特に鳩山は在日米軍基地について「最低でも県外」「腹案がある」「トラストミー」など最早話の通じない相手であり、環太平洋最大の同盟相手国がこの有り様と知ったときのオバマ前大統領の絶望はいかほどだったでしょうか。トランプ大統領が就任したときのように日本の総理大臣が円熟期の安部総理であれば、間違いなく対日・対中政策は変更され、日本からのオバマ政権の評価は全く違ったものになっていたでしょう。
オバマ政権を腐しトランプ政権を評価している人は、トランプ大統領が就任した後で日本の総理大臣が鳩山になったらと想像してください。日本は今の韓国以下の扱いになっていたことは間違いありません。
なお、尖閣諸島が日米安保の対象であると米大統領の立場で初めて明言したのもオバマ前大統領ですが、言うまでもなく安倍政権のときです。

外国による対日政策を振り替える際には、そのときの日本の状況も合わせて振り替えるようにしたいですね。