但し名目消費は±0.0%であり、[過去記事]原油安とGoToトラベルで消費者物価指数10年ぶりの下げ幅/実質賃金は前年プラスの予測でも書いたように、11月は原油安やGOTOキャンペーンの影響で消費者物価指数がコアコアCPIで▲0.9%、実質消費や実質賃金の算出の際に使用される持ち家の帰属家賃を除いた指数では▲1.1%でしたので、消費者物価指数の下落がそのまま実質消費を押し上げた形です。
内訳としてはコロナショック後の傾向は基本的に変わらず、家庭内の飲食物やゲームなどの巣籠もり需要が堅調で、交通費やパック旅行費、外食(飲酒代)、化粧品などの前年比減が続いています。
なおGOTOトラベルの影響で10月の宿泊費は前年比+31.8%と凄まじい増加ぶりでしたが、11月は+18.4%と流石に鈍化したものの2ヶ月連続で2桁のプラスとなりました。7~9月の宿泊料支出は下記のとおりでしたので、GOTOトラベルが家計に及ぼし、ひいては宿泊業者へ与えた影響は非常に大きなものだったと思われます。
7月:▲39.3%
8月:▲47.1%
9月:▲25.7%
一方でパック旅行費が10月を更に下回る▲55.1%(消費への寄与度▲0.75)となっていますが、寄与度の内訳では外国パック旅行が▲0.53、国内パック旅行が▲0.20であり、当然ながら外国旅行の減少が顕著に表れています。
11月の実質消費増はほぼ消費者物価指数の低下が要因だったとは言え、それでも消費税増税の影響が大きかった10月と比較しても着実に消費が回復しています。このまま回復基調に乗ってくれればいいのですが、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴いGOTOトラベルが停止され、関東の1都3県について再び緊急事態宣言が出されてしまったので、消費が確実に再び低迷することになります。
なお勤労者世帯の家計収入は実質ベースでは11ヶ月連続の前年比増加を続けていますが、11月は名目収入が▲0.5%と11ヶ月ぶりのマイナスとなりました。前記事で11月の実質賃金は賞与の減少のためマイナスになったと書きましたが、大半の企業の賞与月である12月は更なる減少が予想されます。