先日の記事にも書きましたが、大型連休の後に実効再生産数が上昇する傾向があるのでGoToトラベルが感染拡大拡大と無関係とは言いません。しかし主要因とは言えないだろうと思います。
理由①:曜日の傾向
GoToトラベルが活用されやすいのは当然土日祝日になります。宿泊施設もニーズが高いからこそ同じ部屋でも高い料金を取るわけですからね。
同じ時期の同じ国で蔓延している感染症なので感染→発症→陽性判明のタイミングに個人差はあれど、GoToトラベルによって感染者が増加するのであれば、GoTo活用から一定期間後の『陽性判明者の多い曜日』の傾向が表れるはずです。
しかし、第1~3波の陽性判明者の表を並べてみても、GoToトラベルがある時期・ない時期で曜日の差は全くありません。
理由②:経路不明感染者の割合
全国のデータが見つからなかったので東京都のデータで代用しますが、経路不明感染者の数も経路判明感染者と同程度の割合で増加しています。
GoToトラベルによって感染者が増加するのであれば感染者の足取りを追って感染したと思われる旅行地を突き止めることができるはずですし、逆に旅行地では感染源を突き止められないのであれば経路不明感染者の割合が増加するはずです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20201215/07/thomaspoppo/5b/ed/j/o0986067414866672104.jpg?caw=800)
しかし、GoToトラベル活用後の感染拡大前後で経路不明感染者の割合が有意に増減する傾向は見られません。
感染拡大が収まらないため犯人探しをして安心を得たいのは理解できますが、『それらしいスケープゴート』を糾弾してデータも無しに非難して吊し上げるのでは魔女狩りと何ら変わりません。
そしてこの魔女狩りによって被害を受けるのは、やはり同じ日本ですでに大打撃を受けている宿泊業者や観光業者なのです。
GoToトラベル停止によって国民の注意喚起が促される効果はあるかもしれません。しかし、このような魔女狩りではなくデータに基づく客観的な議論が深まることを切に望みます。