9月の実質消費前年比▲10%超も、10月の前年比プラスは確実 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

最近アメリカ大統領選やRCEPの記事を優先していて統計記事が後回しになりがちでしたが、11月6日発表の家計調査について分析していきます。
9月の勤労者世帯の収入は前年比+2.6%(実質)で今年の1月から9ヶ月連続で前年比プラスとなりました。
(図は総務省 家計調査より)

コロナショックによって勤労者世帯の収入が減少したと思われがちですが、雇用調整助成金や定額給付金もあり収入自体は(少なくとも統計上は)増加しています。

しかし消費は全く別の動きとなっており、昨年10月から12ヶ月連続で前年比マイナスを記録しています。特に緊急事態宣言が発令された4~5月の消費の落ち込みは凄まじく、前年比▲10%以上の減少となりました。


そして最新発表の9月消費も▲10.2%となり、緊急事態宣言発令下の4~5月と並び、再び▲10%以上の減少となってしまいました。
しかし9月は新型コロナウイルスの第2波も収まり、GoToキャンペーンも東京以外で活発に活用されている月であり、消費が大きく減少する要素はありません。実は9月の消費が前年比で大きな減少となったのは単に前年の9月消費が大きなプラスだっただけであり、季節調整の前月比では+3.8%となっています。
昨年9月は消費税増税直前の駆け込み需要により、前年比(2018年比)+9.5%もの増加となっていました。今年の9月も前々年比で比較すると109.5×89.8≒98.3%となり、マイナスではあるものの▲1.7%まで減少幅は縮小します。▲10%以上になったことを大袈裟に問題視する評論家もいますが、統計とは傾向を分析するための資料であり、明らかな特殊要因は除かなければ何の意味もありません。
逆に昨年10月は駆け込み需要の反動で前年比(=2018年比)▲5.1%の減少でしたので、今年の10月は2018年比で▲5.1%より減少幅が小さければ前年比(=2019年比)プラスとなります。仮に10月消費が9月と2018年比で同程度であれば、98.3÷94.9≒103.6%と前年比+3.6%になる計算です。
10月は東京もGoToキャンペーンの対象となり宿泊費等の増加も見込まれますので、恐らくそれ以上のプラスとなるでしょう。

足元では新型コロナウイルスの第3波が襲来しており、再び消費の低迷が危惧されます。重症者の推移を見ると、第1波以上の被害になるかもしれません。感染拡大防止と経済活動の活性化を両立させるのは難しいですが、マスクの着用など手近でできることから感染拡大防止に努めましょう。