種苗法改正の先送り~陰謀論による国政の停滞~ | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

SNSを初めとしたインターネットの無責任な意見により、種苗法改正という必要な政策が先送りされる見込みとなりました。きっと今頃海外へブランド品種の種子を横流ししている業者は最後の稼ぎと言わんばかりに自家採取の準備を進めているところでしょう。
今回の動きも先の検察庁法改正と同じように、芸能人がTwitterで呟いたことが発端と思われます。もちろん議論が深まることは大変良いことなのですが、果たして議論は深まったでしょうか?Twitterで陰謀論を拡散していた反対論者のうち、一体何%が法改正案を読んだでしょうか?断言しますが、ほぼ0%でしょう。
危機感だけを煽って危険なイメージだけ拡散され、結果的に国政が停滞する。陰謀論者の思う壺ですね。
今回の改正にしても、陰謀論者に踊らされている人は本当に何も知りません。『種子の海外流出が問題なら海外持ち出しを禁止すればいい』などと平気で主張します。そんな当然の対策はとっくに取られており、今回の法改正でそれがさらに厳格化されるということさえ知らないのです。

種苗法改正に限った話ではありませんが、「危険だ、問題だ」と思うなら何故調べないのでしょうか?何故YouTubeを鵜呑みにして騒ぐだけなのでしょうか?私にはそれが不思議でなりません。TPPや水道法改正のときも同じでした。彼らは何故か元資料である条文や法案を読まず、動画や一部の評論家の意見を鵜呑みにしてしまうのです。

このまま正当な国民の声の反映である選挙ではなくインフルエンサーと呼ばれる方が陰謀論に染まって国政が左右されるようになると、日本は蝋燭デモで政権を打倒した韓国のような人治国家に成り下がってしまうでしょう。
日本政府に言いたい。日本は法治国家です。今年に入ってお肉券、給付金の変更、検察庁法改正の見直し、種苗法改正先送りとどれだけ世論に阿っているのか。必要な政策は毅然として進めよと。
陰謀論者に言いたい。根拠もなしに危機感を煽って社会を混乱させるのをやめろと。
そして最後にTwitterでYouTube動画を拡散させるだけの人に言いたい。少しは自分で調べて自分の頭で考えろと。特に反グローバリズムを標榜している者は、「お前が活用しているTwitterやYouTubeはお前の毛嫌いする外資ではないのか」と。

我々は2009年に熱に浮かされて政権交代してしまい、高すぎる授業料を支払ったはずです。ただ流されるのではなく自分の頭で考える習慣をつけなければ、また高い授業料を支払うことになります。
過ちて改めざる、これを過ちと言う。肝に命じましょう。