10万円の使い方 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

政府からの現金支給による支援策が、収入減少世帯への30万円から一律10万円に切り替わりました。
私は過去記事今回のコロナショックに対する経済面の対策を分類すると、以下の三種類の対策が必要になると説きました。
①収入が激減した困窮者に対する生活支援
②売上が激減した業者(生産者)に対する支援
③冷えきった日本経済の活性化

収入減少世帯への給付は紛れもなく①の政策でしたが、一律給付となると相当に③の要素が含まれます。
今は日本全国で非常事態宣言が発令され、人との接触を7~8割減少させよと要請されている状態ですが、そのような状況下において③の要素の強い一律給付を行うことにどのような影響があるでしょうか?
例えば大阪では未だに休業していないパチンコ屋を公開するという強行策を行いましたが、結果的にまだ営業しているパチンコ屋を宣伝した形になり逆に客が増えたという話まであります。彼らの多くはギャンブル依存症であり『自粛』などできる人間ではないのです。自粛できるようであれば依存症とは言いません。
どれだけ自粛を要請しようとギャンブル依存症患者がいる以上は客が入ってきますので、日本全国の全ての店舗が休業することにはならないでしょう。むしろ営業している店舗が減少すれば、越境=遠出してでもそちらへ出向く客は増えることになります。
今回給付される10万円×1.2億人のうち、いくらかはこうしたパチンコ屋に代表される不要不急の外出に回り、感染拡大を助長する結果に繋がることはほぼ間違いないと思われます。

ゲーム購入や課金など外出に繋がらない支出も拡大するでしょう。しかしそれは今でも活況な数少ない業界ばかりが更に儲かるということにしかなりません。今最も苦しんでいる業界は自粛を求められ営業事態を停止している業界ですから、他の業種がどれだけ儲かろうと資金は回ってこないのです。

更に、今回の給付金の変更により予算は約9兆円も上振れしましたので、コロナ終息後③の政策が本当に必要になった際の追加対策はその分小規模なものにならざるを得ません。結果的に日本経済の回復が遅れることになるでしょう。

給付金が一律給付となったことでコロナウイルスの収束は遅れ、一部の業種以外は更に困窮することになり、日本経済の回復は遅れることになるでしょう。お肉券のときも同様ですが、『国民の声』に押しきられ適切な政策がねじ曲げられるのは非常に残念です。現政権が本当に独裁的であればこのようなことは無かったのでしょうが、あまりに世論に阿りすぎです。

但し、今回の政策変更は給付金を受け取る国民側の動きで悪影響を排除することができます。
給付金を受け取っても生活費に回すか、一旦貯金して『コロナ収束後』に使用すれば、拡大を助長することなく日本経済の回復に繋げることができます。

長期的な視野が問われる局面です。一人一人が冷静に考えて行動してほしいと思います。