令和2年2月は実質賃金+0.5% | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

常用雇用者は+1.9%と引き続き増加傾向のままです。
2月の後半から新型コロナウイルスによる飲食や宿泊業界への影響が出始めており、雇用者の数にこそ影響しないものの非正規雇用者の労働時間と賃金は減少に転じただろうと思っていたので、この結果は意外でした。
新型コロナウイルスは2月時点では賃金への影響はほとんど現れていないようです。

また、これまで上昇を続けていたパートタイム労働者比率が▲0.31%と下落しています。1月が+0.01%とほぼ横ばいだったことを見ても、これは4月から同一労働同一賃金制度が開始される影響と見るべきでしょう。
企業にとっては同一労働同一賃金の開始を見据えてパートタイム労働者の正規雇用化を進め始めたところ、コロナショックで労働者の調整を図る必要が生じるという非常に間の悪いタイミングになってしまいました。逆にパートタイム労働者から正社員になれた人にとっては幸運なタイミングだったと言えるかもしれません。

政府としては雇用を維持するために雇用調整助成金を拡充するなど対策を講じてはいますが、3月以降は86ヶ月連続で増加してきた労働者数の減少も十分にあり得ることでしょう。

私は普段は単月の統計を重要視していないのですが、今月からの統計は新型コロナウイルスの影響を図る上で一つの基準になると思われるので記録を残しておきます。

蛇足気味ではありますが、実質賃金の低下について一言だけ書いておきます。
未だに新規就労者の増加による実質賃金の低下を労働者の貧困化にしたい人たちが根強くいるようです。
その方々は大体「新規就労者が増えることで平均賃金が下がるなら、影響を受けるのは名目賃金だ!名目賃金と実質賃金が異なる動きを示すのはおかしい!」と主張するのですが、グラフで見ると名目賃金も実質賃金もほぼ同じ動きをしています。
(令和2年2月 毎月勤労統計調査より)

単に0.0%ライン付近の動きになっているから、数字だけで見るとプラスマイナスが逆に見えることがあるというだけの話ですね。