氷河期世代よりも好況を甘受していない世代 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

最近、政府がいわゆる就職氷河期世代の支援を打ち出すなどして氷河期世代に注目が集まりつつあります。確かにこの世代は人口のボリュームゾーンであり、かつ新卒時に非常に苦労した世代でもあります。

なお、就職氷河期とは、
就職氷河期に該当する世代は、様々あるが、一般的には、1990年代半ばから00年代前半[1][2][3]に社会に出たり、2000年前後に大学を卒業[4]した、2019年(令和元年)現在40歳前後の世代[5][6][7][8][9][10]のことだとされる。
(wikipediaより)
というわけで、色々な意見があるかもしれませんが、ここでは35~45歳の世代を氷河期世代と呼ぶことにします。

さて、本題です。世代ごとの平均年収を5年前と今とで確認してみましょう。



平成25年と平成30年の各世代の平均年収(民間給与実態統計調査)を比較してみると、全ての年代・性別の中で45~49歳の男性のみ僅かながら年収が下がっています。もちろんこれは「5年前の5歳上の世代と比較すると年収が下がっている」という意味であって、この世代の収入が下がっているわけではないのですが、先に定義した『氷河期世代』は「5年前の5歳上の世代と比較すると年収が上がっている」わけです。

また、氷河期世代は非正規雇用で働いている割合が高いと言われていますが、男性の非正規雇用率を前後の世代と比較してみると以下の通りです。
◯氷河期世代の10歳上の世代
2008年時(当時35~44歳)の非正規率:8.4%
◯氷河期世代の現在
2018年時(現在35~44歳)の非正規率:9.3%
2008年時(当時25~34歳)の非正規率:14.2%
◯氷河期世代の10歳下の世代
2018年時(現在25~34歳)の非正規率:14.4%

確かに上の世代よりも若干非正規率は高いですが、それほど大きな差異は見られません。
また非正規雇用にも『好んで非正規雇用で働く人』と『仕方なく非正規雇用で働く人(不本意非正規雇用)』がおり、男性の不本意非正規雇用率を比較してみると、氷河期世代よりもその上の世代(45~54歳)の方が高いことが分かります。


冒頭に書いたように氷河期世代は人口のボリュームゾーンであり、この世代の出生率が今後の日本を左右すると言っても過言ではありませんので国が支援することに異論はないのですが、当然ながらどの世代にも苦労している方はいます。
支援を氷河期世代に限定するのではなく、世代に拘らずに広く支援をするようにしてほしいものです。