アメリカが公的医療保険の廃止を求めるというデマ | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

TPP交渉の頃からありますが、いったい誰がこのようなデマを流し始めたのでしょうか?少なくとも日本がTPPへの参加表明を行う前の2012年2月には「公的医療保険制度を廃止し,私的な医療保険制度に移行する必要があるとの情報や,また,いわゆる単純労働者の移動を受け入れる必要があるとの情報も流れているが,米国が他の TPP 交渉参加国にそのようなことを要求していることはない。」とアメリカから正式に否定されています。
秘密交渉どころかオープン情報であり、私も2012年の秋には目を通していました。(この頃はリアルタイムでは情報を追いかけていませんでした)

そもそも米国生命保険協会自体が公的医療保険について何も要求していないのです。
・TPP の文脈における米国の日本関連主要目的は、かんぽ生命又は共済に法制上又は規制上の特権が与えられることの無い対等な競争条件を日本の保険市場において確立することであるべき。このため、米国政府に対し、TPP に係るプロセスを通じ、次の事項について日本政府との合意を追求することを要請する。
-かんぽ生命と共済に関する競争歪曲的な政策、法令及び慣行を除去し、又は修正すること
-かんぽ生命と米国保険事業者との間で対等な競争条件が確立されるまでは、新規商品等がかんぽ生命から提供されないことを確保すること
-外国保険事業者の日本市場アクセスに影響を与え得る全ての措置について、影響を被るTPP協定交渉国との事前協議を行うこと
-郵便保険事業の規制及び改革並びに共済の運営に関し、完全な透明性を確保するための措置を実施すること

・米国政府に対し、かんぽ生命を民営化すべきか否かについては立場を取らないことを勧告する。

・TPP に係るプロセスを通じ、日本郵政改革のプロセスにおける透明性に関するこれまでの米国の勧告及び日本のコミットメントを拘束力

ひたすら郵政・かんぽ生命ばかりを気にしており、公的医療保険については一行半句たりもと言及していません。余談ですが、かんぽ生命については全米サービス産業連盟も同様の要望を行っており、いかにかんぽ生命が警戒されていたかが窺えます。
そして他の団体を含め、日本の公的医療保険について指摘・要望を行った団体はただの一つもありません。アメリカ政府は誰にも要求されていない=実現しても誰にも評価されないのに、抵抗が強く実現困難な公的医療保険の変更・撤廃を要求するでしょうか?

そんなわけがありません。

アメリカが日本に対し公的医療保険の変更や廃止を求めるというのは100%根拠のないデマしかなく、「危険性がある」などと煽っている政治家や評論家、マスコミなどはその危険性の根拠を示さなければなりません。そして我々も根拠を求め続けていきましょう。