必要に迫られて仕事を探している人には①非自発的離職者と②収入を得る必要があるための求職者が挙げられます(新卒者は②に含まれません)。当然ながらどちらも完全失業者に含まれています。
雇用が増えていることに対し「仕事をしなければ生活できない国民が増えている」とネガティブに捉える人がいますが、実際はどうでしょうか?
リーマンショック前の2007年
①82.8万人
②35.6万人
就業者数6428万人
リーマンショック後の2009年
①146.2万人
②44.6万人
就業者数6315万人
民主党政権最終年の2012年
①101.7万人
②37.3万人
就業者数6279万人
消費税8%への引き上げ後の2015年
①65.3万人
②31.9万人
就業者数6402万人
2019年
①36.9万人
②18.4万人
就業者数6710万人
総務省労働力調査より
※数字は各月の平均(2019年は1~9月の平均)
これらの推移から以下のことが分かります。
①リーマンショックにより失職した人および必要に迫られて就職活動を開始した人が増加した。
②その後民主党政権下において、新たに失職した人や必要に迫られて就職活動を開始した人はピークからは減少するも、就業者数も減少した。
③安倍政権への政権交代後、新たに失職した人も必要に迫られて就職活動を開始した人も減少し、逆に就業者数は大きく増加した。
少なくとも収入を得るために仕事を探さざるを得なくなった人は確実に減少しており、生活が苦しくなった人が増えたために就業者が増えたというのは全くの嘘ということになります。
なお、収入を得る必要があるための求職者の数は統計開始(2002年)からほぼ30~50万人で推移しており、30万人を切ったのは2015年10月が初、20万人を切ったのは2018年1月が初です。
消費税の増税後も収入を得る必要があるために求職する人は減少しており、少なくとも労働統計上は消費税の増税による国民生活への影響は非常に軽微だったと言えるでしょう。