法人税を上げれば費用支出が増える? | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

法人税を上げれば企業は『罰金(法人税)』の支払いを少なくするために人件費等の費用支出を増やす、という不思議な主張を目にすることが増えました。
企業にとって最も重要な数字は『税引き後利益』であり『支払税額』ではありません。何故なら株式会社の経営決定権は株主にあり、株主は税引き後利益から配当金を受けとるからです。

シミュレーションしてみましょう。
<法人税20%の場合>
売上高:100
費用:50
税引き前利益:50
法人税:10
税引き後利益:40

ここから法人税が40%に引き上げられると

売上高:100
費用:50

税引き前利益:50
法人税:20
税引き後利益30


こうなります。税引き後利益が3/4になったので、配当性向が同じなら配当金も3/4です。

株主はどうするでしょうか?①支払税額を増やさないパターンと②税引き後利益を減らさないパターンの両方を考えてみましょう。

パターン①
売上高:100
費用:75
税引き前利益:25
法人税:10
税引き後利益:15

パターン②
売上高:100
費用:33.3
税引き前利益:66.7
法人税:26.7
税引き後利益:40

株主はパターン①と②のどちらを選択するでしょうか?99%の株主は②を選択するでしょうね。自分の配当金を減らしてまで国や地方自治体に税金を払いたくないという極端な反政府主義者でもない限り、費用を増やすという選択はしません。
結局法人税を上げれば人件費等の費用支出が減らされ、国民が困窮する結果を招くだけなのです。