「返信、まだ来ないな」
スマホを開く。
LINEは未読のまま。
閉じる。
5分後、また開く。
今度はInstagramを見る。
彼はオンラインだった。
「スマホを見る時間はあるのに、なんで私には返信しないんだろう」
そこから、頭の中で物語が始まる。
忙しいだけかもしれない。
でも、冷めたのかもしれない。
昨日のLINE、重かった?
他に好きな女性ができた?
私、何かした?
――恋愛の不安は、こうして大きくなっていく。
もし今、似たような気持ちになっているなら、この記事は不安になったときに見返せるよう、保存しておいてほしい。
先に結論を書く。
恋愛の不安は、完全になくさなくていい。
目指したいのは、
不安になっても、それに一日を支配されないこと
だからだ。
10代、20代、30代。不安の形は変わっていく
女性の恋愛相談を調べていると、年代によって不安の形が少しずつ変わる。
10代なら、
「嫌われた?」
20代なら、
「この関係、続くのかな?」
20代後半から30代で結婚を望んでいるなら、
「この人とこのまま付き合っていて大丈夫?」
となることもある。
返信。
浮気。
別れ。
結婚。
出産。
仕事。
お金。
年齢とともに、考えることは増えていく。
でも、その根っこには共通するものがある。
相手の気持ちと未来が、完全にはわからない。
恋愛とは、そもそも不確実なものなのだ。
どれだけ好きでも、相手の心の中を100%確認することはできない。
「10年後も絶対に愛しています」という保証書もない。
だから、
不安を完全になくそうとすると、終わりのない戦いになる。
そこで近年の心理学研究を見ると、別の考え方が見えてくる。
不安を消すのではない。
不安があっても、自分で次の行動を選べるようになる。
こちらを目指すのである。
「彼は私を好き?」の答えを探し続けるほど、苦しくなることがある
心理学には「不確実性への不耐性」という考え方がある。
難しそうだが、意味は単純だ。
「わからない状態に耐えるのが苦しい」
ということ。
恋愛には、この「わからない」が大量にある。
なぜ返信が遅い?
どうして今日は冷たい?
本当に私だけを見ている?
結婚する気はある?
そこで私たちは、安心を取り戻そうとする。
LINEを見る。
SNSを見る。
友達に相談する。
恋愛記事を検索する。
「私のこと好き?」と確認する。
すると一瞬、安心する。
でも翌日、別の不安が出てくる。
また確認する。
ここで大切なのは、
確認すること自体が悪いわけではない
ということだ。
問題になるのは、
「安心できる証拠」がないと、不安に耐えられなくなること。
彼から返信がない。
だからといって、
「嫌われた」
と決める必要はない。
反対に、
「絶対に仕事が忙しいだけ!」
と無理にポジティブ変換する必要もない。
第三の答えがある。
「まだ、わからない」
だ。
これだけでいい。
悪い未来も、良い未来も、証拠がないうちは確定しない。
1時間考えても答えが出ないなら、それは「問題解決」ではないかもしれない
悩むこと自体は悪くない。
「この人と付き合い続けていいのかな」
と考えることで、大切な問題に気づく場合もある。
ただし、
考えることと、同じことを考え続けることは違う。
たとえば、
「なんで返信しないんだろう」
「昨日のLINE?」
「あの女性?」
「冷めた?」
「でも先週は優しかった」
「やっぱり嫌われた?」
これを1時間続けても、新しい情報は増えていない。
心理学では、こうした思考の繰り返しを「反すう」などと呼ぶ。
そして近年の認知行動療法(CBT)の研究でも、反復するネガティブ思考は重要な介入対象になっている。
そこで私は、一つシンプルな基準を勧めたい。
「この5分で、新しい情報か、新しい行動は増えた?」
増えているなら、考える意味がある。
何も増えていないなら、一度その問いから離れていい。
悩むことは必要でも、同じ場所を何周もする必要はない。
「不安がなくなったら出かけよう」ではなく、不安なまま出かけてもいい
ここでもう一つ、役に立つ考え方がある。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)が重視する「心理的柔軟性」だ。
これも難しそうだが、恋愛にすると簡単だ。
彼から返信が来ない。
不安だ。
以前なら、
「返信が来るまで何も手につかない」
だった。
そこを、
「今、私はかなり不安だ。それでも友達との約束には行こう」
に変えてみる。
不安は残っている。
でも、
不安に一日の決定権を全部渡していない。
仕事をする。
勉強する。
友達と会う。
お風呂に入る。
眠る。
趣味を楽しむ。
恋人を大切にしながら、自分の人生も進める。
恋愛の世界では「自分軸」という言葉がよく使われる。
心理学的に近い部分を探すなら、こうした心理的柔軟性なのだと思う。
ただし、
「自分軸になれば、彼から溺愛される」
という話ではない。
相手を操作するためではない。
相手の行動によって、自分の人生全部が停止しないためだ。
「こんなことで不安になる私は重い」と、自分まで敵にしない
恋愛不安には、ときどき二段階目の苦しみがある。
第一段階。
「返信がなくて不安」
第二段階。
「こんなことで不安になる私は、重い女なのかもしれない」
つまり、
不安+自己批判
になる。
これはかなり苦しい。
ここで役立つのが、セルフコンパッションという考え方だ。
難しく考える必要はない。
「私は最高」
と無理に自己肯定することではない。
むしろ、
「今、私は不安なんだな」
「好きな人のことだから、苦しいんだな」
と認めることだ。
不安になった自分に、さらに攻撃を加えない。
苦しいときくらい、自分まで自分を責めなくていい。
でも、「自分軸だから我慢する」は違う
ここはかなり重要だ。
心理学を学ぶと、
「私が不安になるのは、私の認知の問題なのでは?」
と思ってしまうことがある。
しかし、不安には大きく二種類ある。
一つは、
自分の頭の中で増幅している不安。
もう一つは、
現実の関係に問題があるから鳴っている不安。
相手が何度も嘘をつく。
約束を破る。
浮気を繰り返す。
侮辱する。
暴力を振るう。
束縛する。
結婚について何年も話を逸らす。
そんな状況まで、
「私が不安になりやすいだけ」
で処理してはいけない。
自分軸とは、耐えることではない。
自分が何を大切にし、何を許容できないのかを知ることでもある。
不安になったら、この6ステップだけ覚えておく
全部の心理学用語を覚える必要はない。
次に不安になったときは、この6つだけでいい。
1.何が怖いのか、一言にする
「返信がない」
ではなく、
「嫌われるのが怖い」
「別れられるのが怖い」
「結婚する気がないのではと怖い」
まで言葉にしてみる。
2.事実と推測を分ける
事実。
「8時間、返信がない」
推測。
「嫌われた」
この二つを混ぜない。
3.すぐに安心を取りに行かない
追いLINE。
SNS監視。
何度も検索。
友人への延々とした相談。
一度だけ保留する。
4.「まだわからない」を許す
嫌われたとも決めない。
大丈夫とも決めない。
「現時点では、わからない」
で止める。
5.自分の生活を一つ進める
仕事を一つ終わらせる。
お風呂に入る。
散歩する。
友達と話す。
眠る。
小さくていい。
6.必要なら、落ち着いて話す
たとえば、
「私は一日くらい連絡がないと少し不安になる。忙しい日は、一言あるとうれしい」
なら、自分の気持ちと希望を伝えられる。
責めるのとは違う。
婚活中なら、
「私は2~3年以内には結婚したいと思っている。あなたはどう考えている?」
と具体的に聞いてもいい。
相手の心を推測し続けるより、確認すべきことは言葉にしたほうがいい。
そして、
言葉だけでなく、その後の行動を見る。
これも大切だ。
【保存用】不安になった夜は、ここだけ読み返してください
① 私はいま、何を怖がっている?
② それは事実? それとも推測?
③ 今すぐ確認しないと、本当に困る?
④ 「まだわからない」で止められる?
⑤ 恋愛以外の自分の人生を、一つ進められる?
⑥ 明日も必要なら、相手と落ち着いて話せる?
全部できなくてもいい。
一つでもできれば十分だ。
追伸:もしあなたが「待たせている側」なら
ここまでは、女性の恋愛不安を中心に書いてきた。
でもこれは女性だけの話ではない。
男性だって不安になる。
彼女の返信が急に遅くなった。
他の男性と楽しそうに話している。
自分より条件のいい男性に取られるかもしれない。
自分の収入で結婚できるのか。
そんな不安を持つ男性もいる。
そしてもし、あなたのパートナーが不安を口にしたら、
すぐに、
「考えすぎ」
「面倒くさい」
「重い」
と切り捨てなくてもいい。
かといって、
不安になるたびに、
「絶対大丈夫だよ」
と無限に保証する必要もない。
まず、
「何が一番不安なの?」
と聞いてみる。
できる約束を伝える。
できない約束も正直に伝える。
恋愛は、一人で行う心理トレーニングではない。
二人で調整していく関係でもある。
恋愛のゴールは、「不安ゼロ」ではない
どれほど仲のいいカップルでも、不安を完全にはなくせない。
相手は、自分とは別の人間だからだ。
心の中を完全には読めない。
未来も保証されていない。
それでも人は恋愛する。
だから目指すのは、
「私はもう二度と不安にならない」
ではない。
不安になっても、それを事実だと思い込まない。
自分を責めない。
同じ問いを何時間も繰り返さない。
必要なら相手と話す。
そして、自分の人生も続ける。
不安は、ときには、
「私はこの人を大切に思っている」
「私はこの関係に、こうあってほしいと思っている」
と教えてくれる感情でもある。
だから、消す必要はない。
不安の言うことを全部信じる必要もない。
不安の声は聞く。
でも、最後にどう行動するかを決めるのは、自分。
それが、本当の意味で「彼に振り回されない」ということなのだと思う。
あなたは最近、どんな「まだわからないこと」で心が止まりましたか。
もし言葉にできそうなら、コメントで教えてください。
※本記事は心理学研究の紹介と一般的なセルフケアを目的としたもので、医療上の診断・治療を目的とするものではありません。不安によって睡眠、仕事、学校生活などに強い支障が続いている場合や、暴力・脅迫・深刻な支配がある関係では、専門機関への相談も検討してください。