ご無沙汰しておりますTです。
今回は雑談です。
医者は書く仕事が多い。
実際に文字を書くのではなく、PCにタイピングしていきます。
多くの臨床科では患者と話した内容、身体所見、検査結果などを電子カルテに入力していきます。
放射線診断科は、CTやMRIなどの画像を見て、それを言語にするのが仕事です。
肺に結節があったら
1)肺のどこに(解剖的情報)
2)どんな形、大きさ(形態的情報)
3)どんな濃度/造影効果(質的情報)
4)新たに出現したのか、前からあるならどのように変化したのか(時間的情報)
これらを加味して
1)右肺S6の末梢に
2)長径16mm大の不整形、
3)一部充実部を伴うすりガラス影を認め、
4)経時的に増大しています。
→原発性肺腺癌を疑います。
というようにポイントをおさえながら言語化していきます。
毎日毎日この仕事をしていると切っても切り離せないのが
「誤字」
です。
例をあげると、
右肺癌
は、
右は胃癌
と誤変換されてしまうことが多く、非常によく経験します(注意深く添削しているつもりですが、気づかずに正式レポートになってしまうことも)。
我々が仕事に使っている変換ソフト(ATOK)は高度な放射線科の語彙を多く含む専門のもので、多少の打ち間違えは修正してくれることもあります。予測変換機能も役に立ちます。
しかし、ちょっとした間違いが起こり、誰も気づかないこともあります。
その際たる例が
「腸管膜」です。
正しくは
「腸間膜」です。
おそらく、「ちょうかん」と「まく」を分けて入力したことによって生じた存在しない医学用語です。
しかし、どこかで紛れ込んで、延々とコピペされ続け、腸間膜のフリをし続けている。擬態生物のようです。
これはあまり悪影響がないですが、
盛大な誤変換を気づかずそのままにしていると、意味が伝わらなかったりします。
急に文中に「塩酸モルヒネ」が出てきた時、???ってなってしまったことがあります。
「〜〜炎も(えんも)鑑別です」の「えんも」が予測変換で塩酸モルヒネを出してそれを気付かずに選択して起こった現象でした。
元々、なにを書きたかったのか予測して、それが分かった時すっきりします。
「〜〜も考えられますし、」
と書きたいところ、
「〜〜も考えられま寿司、」
と、急に寿司が登場したりします。
もちろん、誤診につながるようなことがあってはなりませんが、たまにレポートに紛れ込んだ清涼剤をみつけて、クスっとするのも放射線診断科あるあるです。