専攻医1年目のHです。
2023年度入局者最後のコラムリレーということで、1年もあっという間だなと感じます。

私自身もこのコラムを入局前に読んで参考にしていたところもあり、今回は学生・研修医のかたに東北大学病院放射線診断科の専攻医のとある1日をお伝えできればと思います。
以下、日記風にお届けします。



専攻医Hについて
・30代男性
・薬学部から医学部に再受験した回り道組
・最近はイヤイヤ期の息子の育児を楽しんでいる

**起床〜出勤前**
朝6時頃起床。眠い目をこすりながら、静かな時間に少しでも画像診断の教科書を読み進めようか。はやく画像診断KeyBookシリーズを通読したい。
まずは洗顔、コーヒーを入れて…としている間に息子も起床。一緒に遊ぼうと誘われるとうれしくなってしまう。結局息子と遊び、その後朝食をいただく。もう出勤しなければ。
明日はもっと早く起きようと、誓いを新たにして出勤。

**出勤〜午前**
事前に登録していた勤務シフトに間に合うように、タイムカードを通す。
働き方改革も本格始動で、この1年の間に大学病院のシステムも変わってきた。
前月のうちに所定の勤務時間を満たすようシフトを登録し、それに従って勤務を行う。外勤などが入ると、その分の時間も考慮する必要がある。慣れるまでやや時間がかかった。

午前はCT検査に立ち会う「島当番」だ。
若手の仕事のひとつで、島と呼ばれるCTコンソール脇の読影端末に陣取り、検査の指示出しや副作用対応に従事する。アナフィラキシーが起きた際にはその初療に関わるため、いつも少し緊張する。ABCDの評価して…アドレナリンの投与して…などとイメトレもしつつ席に座る。

臨時検査や翌日検査の指示出しをこなしながら、読影にも精を出す。
入局したばかりの頃に比べれば、この1年で読影も少しはこなれてきたようにも感じるが、まだまだ読影の正確さも速度も不足している。指導医から修正された読影レポートを見ては学んでの繰り返しの日々だ。

そうしていると、検査室から声がかかった。
「先生、患者さんが咳をしています。」
すぐに聴診器を手に検査室へ。声をかけ、バイタルを確認しながら身体診察をする。幸い、今回は軽症の副作用でよさそうだ。経過観察を指示して、また島に戻る。

そんなこんなで、あっという間に午前は過ぎ去っていく。

**昼休み**
1時間の休憩をしっかりと取るように教授からも言われており、いつもお弁当をつくってくれる妻に感謝しながら、ありがたく休憩をとる。

今日のお昼には、指導医からのミニレクチャー(通称「ミニレク」)がある。
定期的に、指導医から各分野の読影の基本的事項・TIPSなどを教えていただけるありがたい機会だ。市中病院などで研修中の専攻医でも、オンラインで視聴できる。こういった環境を整えてもらっていることも、当医局の良い点だと感じる。

**午後**
今日の午後は特に当番はなく、読影に集中する。
読影のペースを上げていきたいと思うが、見逃しが増えては元も子もない。精度と速度は両立しなければならないと思う。
1時間あたり4件程度をひとまずの目標に、再び読影に精を出す。

**退勤〜当直へ**
今日は医局派遣の宿直バイトの日だったので、勤務シフトは早めの退勤にしていた。タイムカードを通し、派遣先の病院へ向かう。

医局派遣の宿直バイトは、安定している患者さんも多い。専攻医が食い扶持を稼ぎながら勉強時間も取れる、非常にありがたい存在だ。
読みたかった教科書も持ってきていることだし、腰をすえて読んでいく。
(医局員コラムリレー4 「当直バイトに持って行くもの」もご参照ください。)

定時の回診を済ませたら、入浴してリラックス。そろそろ眠ろうか。
今日も早起きは叶わなかったが、明日こそは...。

うとうとしたところで、PHSが鳴った。
「先生、発熱していた患者さんのことで…。」
今から診察にいきます、と伝えて病棟へ向かう。

やはり、明日も早起きは難しいかもしれない。
 

**ちなみに**
大学病院からの給与のほか、若手の医局員を支えてくれるのは宿直バイトのほかに「読影バイト」がある。
専攻医は週に1-2回程度、市中の関連病院に読影の外勤に行くことができる。一次読影(画像の下読み)をこなして指導医に教えていただきながら、月の給料を底上げすることができる。
大学病院での研修だけでは不足しがちなcommon diseaseも多く、バランスよく学ぶことも可能になる。ありがたい限りだ。

そんなありがたい外勤の読影バイトだが、入局してすぐに派遣されるわけではなかった。
行くからには少しでも戦力になれるように、ある程度読影が板についてから派遣されるようになっている。
私が外勤読影に行きはじめたのは、冬に入ってからだった。

一定の速度で、できるだけ見落としなく、所見を適切に表現できるようになるのがとりあえずの目標だろうか。(これが奥が深くむずかしいところではあるのだが…。)

なお、遠隔読影バイトは基本的に放射線診断専門医取得後にできるようになるので、まだ先の話だ。


以上、とある専攻医の1日でした。
少しでも放射線診断科専攻医の日常をお伝えできていれば幸いです
専攻先に迷っている学生・初期研修医の方の参考になれば、これほどうれしいことはありません。

最後に、放射線診断科に興味を持っていただいた学生・研修医の皆さまへ。
ぜひ一度、見学にいらしてください。チーム東北大学病院放射線診断科、心よりお待ちしております!