認知症界隈が盛り上がっております。Tです。
何ってついにアルツハイマー病進行抑制薬「レケンビ」が薬事承認され、保険適応間近だからです。
近々に治療開始できるかもしれないと、販売会社のエーザイは大プロモーションをかけてきています。
先日説明会に出てきましたので、簡単に解説したいと思います。
注意点
・進行抑制薬であって治療薬ではない
・効果は認知症進行を3割程度抑制
・軽度の認知症にしか効果は確認されていない(軽度:日常生活にあまり支障が出ていない人、介護が要らない人)
・アルツハイマー病以外の認知症に適応がないため、詳しい検査で診断する必要がある
・薬価は1年366万円
・2週間に1回通院して点滴静注する必要がある
・中等度の認知症まで進行したら治療中止(日常生活に支障が出て、介護が必要な程度)
医師が知っておくこと
・診断に髄液検査とアミロイドPETが必須
・副作用で多いものは頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐等(26%)の他、アミロイド関連画像異常(ARIA)(20%)
・ARIAの多くは無症状。血管透過性亢進による、脳の浮腫/微小出血をMRIで検出。重症例は神経症状が出る。
・ARIAは14週以内に出現することが多いため、適宜MRIでのフォローが必要
・症候性のARIA、画像上、中〜高度のARIAは薬剤投与を中止して、画像所見消失までMRI定期フォローが必要。
放射線科医が知っておくこと
・アミロイドPETは診断時のみ。おそらくこちらも同時に保険適応となる。
・ARIA検索、フォロー目的のMRIが増えるだろう
・ARIAは浮腫を主とするARIA-Eと、微小出血と脳表のヘモジデリン沈着をみているARIA-Hがあり、それらが合併することもある。
・検索にはFLAIRとT2*/SWIは必須
エーザイホームページでe-learningもできます。
まだ分かっていないこと
・いつから開始か
・適応患者条件(年齢等で適応を絞らないと、保険料が爆増する)
・アミロイドPET検査の保険点数(診断薬剤はデリバリーで21万円)
・MRIでの至適フォロータイミング
心配なこと
富裕層向けの自由診療クリニックがボロ儲けするんじゃないか・・・
以上です。
私なりにまとめましたが、鵜呑みにせず、詳しいことが知りたい人はエーザイのHPで確かめましょう。
まだまだ認知症が治るとは言えないですが、20年後には認知症が治る時代になるといいな。
それではまた。