ブログで紹介する本が日によってどんどんと変わっていく、と言う傾向がある
一つの本をきっちりと詳しく読みながらレビューを書いていくべきであろう
と自分も思うが、幾つか考えられるケースがあって
一つは読んでいてもブログの方にはレビューを書くのが追いついてない、と言う場合がある
もう一つの場合は、基本的に今の時期は
4月から色々と人に教える機会がある事の勉強、又論文の序文を書く為の文献渉猟を行なって居て、その為に複数の本、文献を同時進行で読み進める
と言う事をしている
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(i) 人に教える機会として読む本として
主に複素解析・微積分学・微分方程式などの教科書を複数の本を眺めながら読み込んでいる
(ii) HMTの序文を書く為に行なっている事として、
homotopy完備化関手の歴史を辿る文献にあたる、という事をしている
その一過程で、特に
Dedekindの切断 や 測度
についての事などが(i), (ii) をクロスさせる事柄として最近よく文献を辿る事になっている
其処で矢張り、表題の
岡本久、長岡亮介、関数とは何か
を移動中によく読む事が増えている
解析学の歴史書としては
この他に
ボタチーニ、解析学の歴史
大沢健夫、現代複素解析への道標
中根美知代、ε-δ論法とその形成
なども以前からよく読む様にしている
複素解析の教科書のシリーズもあるが、
このタイトルのシリーズでは
表題の「関数とは何か」のレビューを書きながら
最近自分がよく考える事の中でも、解析学の歴史 の話、より一般に数学史とは?と言う話、そしてそれはタイトルを変える事もあるが、HMT の序文を書く事の話などを書いて行きたい
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関数とは何か
各章末には その章を象徴するモニュメンタルな数学の問題がついて居て
構成も先ず第一部で全体を鳥瞰してから、第二部で各論に入っていくと言う形態をとっている ので見通しもよく、又 興味のある章から読み始められる様にもなっている
そして第1章では
数学史の難しさ
から話が始まっている
数学史の難しさ、と言うのは一言では言い難いので、何回かに分けてでもこのお題でも書いで行きたいが、
HMT の序文の話と連関させた事から先ずは書き始める (と言う訳で、このタイトルのシリーズは純粋な 関数とは何か のレビューと言う訳でも無い)
現代的な関数概念と言うのは
集合があって、その間の写像として定式化されているが、
ニュートンやライプニッツが微積分学を展開した時にはこの様な設定はなかった
関数概念のルーツがいつ頃からあるのか?と考え始めると
例えば、プトレマイオスが、三角比の数値表を作った時には暗に角度に応じてその三角比を対応付けていると言う意味では関数概念があったとも言える訳である
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homotopy完備化とは何か?と言う事も古く辿れば、Dedekindの切断の様な事も含まれるし、
全てのmonoidはある集合から自身への写像全体とその合成演算からなるmonoidに埋め込める
或いは数に対する環のイデアルの様な話も含まれる
と言う様に歴史的なルーツは実に様々である
或いは逆に言うと
homotopy完備化という概念は
数学の様々なジャンルの出来事をunifyする様な視座であり、おそらく
この概念が浸透すれば今迄は別ジャンルと見做されて居た数学的現象が共通の出来事であった と認識される様になるだろう
(数学の一部といっても広範な分野にパラダイム シフトを齎すであろう、と思っている)
認識される様になるだろう と書いたがそうなるには詳しい説明が必要であろう
という事で序文を書くのには気合がいる、と思っている