出迎え | いつか旅立つ日が来たとしても

いつか旅立つ日が来たとしても

ひとりと一匹と、その日々のこと。

おまえは、オレには決して
見せてくれなかった姿がある。

これからの話は、同居人から
聞いた話

オレは、残業やら、買い物やらで
帰ってくる時間がまちまちなの
だけど、同居人が言うには
どんな時も、眠っている時も
遊んでいる時も、急におまえが
玄関に歩き出すタイミングが
あるらしい。

そして、三和土の手前に背筋を
伸ばして座り、ドアの方をおまえが
見つめる。
そうすると10分後にオレが玄関を
開けるらしい。

そして、ずっと待ち続けたように
「おかえり」の「ニャア」を
おまえは言う。

10分前といえば、まだオレは
マンションの入口に辿りついたか
どうかの時間で
部屋からそこは見えない
当然窓からも

どうしてかわからないが、決まった
時間ではなく、タイミング的には
オレがマンションに辿りついたか
どうかのタイミングで、おまえは
玄関に向かうらしい。

どうしてわかるのか、遂には
謎だったが、同居人は、オレが
帰ってくることが、事前に
わかるので便利だと言っていた。

今も
オレを玄関で待ち続ける
おまえの姿を
オレは知らない。