猫の寛大さ | いつか旅立つ日が来たとしても

いつか旅立つ日が来たとしても

ひとりと一匹と、その日々のこと。

心配した食欲も落ちることはなく、

血が止まりしだい、おまえを病院に連れて行った。

 

傷はきれいで、そもそも猫は、えさを丸呑みするので、

このまま、食欲が落ちなければ問題はないとのことで、

まずは安心した。

しかし、これで、おまえがオレを怖がりはしないか、

せっかく築いた信頼が、壊れてしまったのではないか

ということが、気がかりで、仕方なかった。

ただでさえ、いつも病院から帰った直後は、おまえは

機嫌が悪い。

 

おまえは、怖がりで、一度お気に入りの爪とぎが、

爪がひかかったはずみで、おまえのほうに倒れてきた

だけで、もう、そこでは爪を研がなくなったぐらいだ。

これだけ、痛い目にあったのだから、オレから距離を

とろうとするのは、仕方ないと思っていた。

 

でも、病院から帰宅した翌日からも、あいかわらず、

おまえは、朝早くから、ゴハンをねだり

トイレが汚れていると掃除するよう訴え、

オレが帰宅すると、真っ先に玄関まで、迎えに来てくれた。

寝るときのポジションも同じだった。

おまえのオレへの愛情は変わりないように思えて

オレは、おまえの寛大さに、とても、救われた。

 

そして、猫とは、そんなに寛大な生き物だったのかと

驚いたとともに、何がなんでも、おまえだけは

守りたいと、改めて、その思いが深くなった。

 

ただ、オレに言うことをきかせたいときは、

足の中指(けっこう痛い)や、寝転んでいるときに肩を

噛むことは変わりなく、そのたびに、オレはともかく、

傷跡が痛まないのかと心配になった。

 

 

ひょっとして、懲りてなかっただけだったりして。