※ネタバレあり
中居君問題でフジが大揺れ。広告の多くはACに入れ替わり、テレビでACのCMが流れていると「あ、フジがついているのか」と思うようになった昨今。「あしなが育英会」のCMをみて、そういえば「あしながおじさん」ってどういう話だったっけ? と急に気になり買ってみた。名作少女漫画「キャンディ・キャンディ」や「ガラスの仮面」のモトネタになった小説だ。
誰とも養子縁組が成立しないまま17歳になった孤児のジェルーシャは、あるとき文才を認められ、見知らぬお金もちに大学に行かせてもらうことになる。条件は自分に日常を知らせる手紙を書くこと。自分は返事は書かない。ジェルーシャはそのお金持ちの影だけをみていたので、「あしながおじさん」と呼びかけながら手紙を書く。その書簡集。つまり書簡文学だ。果たして「あしながおじさん」の正体は?
読んですぐ「赤毛のアン」を思い出す。孤児だけど素直で明るい。さわやかで、女の子の活き活きした感性が綴られた終始ハッピーな作品だ。ただ「赤毛のアン」の方が面白い。ストーリー自体は「あしながおじさん」もおもしろいが、エピソードの面白さが伝わりにくい。アメリカ人だったらジュディの学生生活のディテールを楽しめるのかもしれないが、外国人にはさほど面白くもないエピソードが占める割合が多い。もっとジュディと「あしながおじさん」の交流の描写に筆を費やしたほうが普遍性が得られると思った。ネタバレになるが小説の末尾、
「あなたはわたしのものです。あなたはわたしのものです(中略)それはとてもとてもすてきな感覚です」
今時は「わたしのもの」とかいうと流行りじゃないかのかもしれないが、この一文は素直に素晴らしいと思う。
それにしても。アンもジュディも性根が素直で明るく、生き生きした感性の持ち主だ。テレビドラマで施設育ちなどというと、境涯の暗さに押しつぶされているようなキャラクター設定が多い気がするが、ひとの性格というのは生まれたときからある程度決まっている気がする。恵まれた環境にあって根性が曲がっているのもたくさんいるし。
(新潮文庫 590円)
