下にリンクを貼った前エッセイが面白かったので続けて読んでみた。オードリー若林によるエッセイ集で、時系列でも「その後」に当たる。
結論からいうと前作と比べたらお薦め度はかなり落ちる。前作は「伝えたい」という熱意が行間にみなぎっていたがそれはない。前作は自身の若さ/未熟さとの格闘の真摯な記録だったが、こちらにそれに代わるものはない。いちおう「大人」「社会人」になったところで、何気ない事柄を軽妙に描くという洒脱さには文章家として達していない。むしろ「俺って文章家」みたいに酔っている部分が多々あり鼻につく。それに加えて何がイヤって途中読点「。」毎に段落を変えているページが多々あることだ。混在しているのでそれが若林の意図か編集者のそれなのかよくわからないが、あたしはあれが大嫌いだ。「・・・」の多用以上に嫌い。本屋で手に取ってそういう中身だって気づいてたら買ってない。Amazonで買っちゃった。これって昔からやるやついるが、単に行増やしてページ数を増やしたいだけ。これやっても読者がついてくる(本が売れる)って思われてるのがほんとにナメられていると思う。やっぱり本って現物の中身をパラパラ見て買いたい。今の住環境だとそれが難しい。実家にいたころや働いていたころは生活圏にいくつも大書店があったけど。「第二章」がずっと読点段落替えでうんざりしていたら、続く「明日のナナメの夕暮れ」の項はそれがなかったのでやっとだ、と思ったらこっちは書きっぷりが延々気取っててげんなり。こういうの苦手なんだよね。好みの問題だから仕方ない。有名な作家でもちょいちょいあるんだけど、概ね白ける。「気取った文章」もいいけど、相当なスタイリッシュの域に達してないとあたしはとうてい是とはできない。そういうのでぱっと思いつくのが、山田詠美の「ベッドタイムアイズ」かな。あそこまでいって文章のスタイルが作品の世界観に貢献しているというか柱になっているなら素晴らしいが、基本はシンプルで実直でユーモラス、読者を見つめ、素直に意図を伝えようとする文章が好きだ。
と、けっこうクサしてしまったが、「まえけん」の項。あたしは以前ネットニュースで「マエケン結婚」の見出しを見て、めっちゃびっくりした人間だ。プロ野球に興味がなくて、当時あっちのマエケンを知らなかった。なので「あの」マエケンが結婚?!
となってしまった。あたし、けっこうマエケン好きだったんだろうね。2016年44歳で病没。追悼文が出ていて、じーんとした。他で読んだことなかったし。内容も無駄にジメジメしてなくてよかった。
あとオール読点段落替えで終始イライラさせられた「あとがき」の項で「誰でもいいから殴りたい」という目つきをしていた男のくだりはよかった。イライラしながら読んでたのに惹きこまれた。無駄な段落替えを辞めて欲しいのは変わらないけど。
「ぼく自体も見返りを求めない愛を垂れ流す側にとっくにいってないといけない年齢なんだけどな」
あたしも行ってない。反省しなくては。ていうか、若林はこの点においてはあたしより相当マシなところに行ってると思う。
(文春文庫 690円)
※これは面白かった。読み応えがあった。
※あたしの嫌いな「・・・」多用の本。
