※歴史をきちんと勉強したわけでもない私が、適当に小説を書きました。おばさんによる小説家の真似事です。見聞きした諸説の中から私がリアリティがあると思ったものを選び、脚色しました。

 

 天正十一年。賤ケ岳の戦いにて秀吉に敗れた柴田勝家は、妻、市の方に三姉妹とともに秀吉の庇護を受けるように進言した。

「娘たちはそういたしましょう。しかしわたくしはこの城と命運をともにいたします。先の夫、浅井長政と命運を共にしなかったこと、いまだに悔やんでおります。今回ばかりはどうかご容赦を」

 陥落を前に市は長女、茶々に言った。

「妹二人を頼みます。秀吉の庇護を受けようと、決して秀吉の言いなりになることのないように。あやつはそもそも家臣。そしてお父様の長政殿を自害においやり、跡取り万福丸をむごい死に至らしめました。いかに兄信長の指示といえど、幼い子を串刺しにするなど・・・このことについては兄ともども私は許しておりません。そして今では兄上の亡きあとの織田家を我が物に。この恨みを忘れてはいけません。あなた方は生き延びて、秀吉を利用し、浅井の血を後世に残すのです」

 死を覚悟した母の言葉は14歳の茶々に重くのしかかった。茶々はこの母の最期の言葉をあだやおろそかにすまいと覚悟を決め、宿敵、秀吉のもとに二人の妹と庇護を求めた。 

 

(全10回)