WBCでネトフリに短期加入。濡れ場がすごいというので不純な動機で見てみたが、ちゃんとした映画でなかなか面白かった。蜷川実花監督、小栗旬主演。
私は太宰治は嫌いだ。特に人間失格なんて大嫌い。なんかねえ、自分で人間失格の烙印を押してるんだからいいじゃないか、そんな俺は上等じゃないか、っていう傲慢が見え隠れするのが非常に腹立たしい。本当に「人間失格」の烙印を自分に押せるのは自分だけなのだという傲慢さ。そりゃ文章は巧いんだろうけど、腐った根性が嫌なのよ。が、この映画はそんな悲惨にして悲劇的、滑稽にしてしょうもない男、太宰を乾いた視点で描いており、また太宰に人生をささげる女たちも「この男にしてこの女あり」といったリアリティで描かれていた。辛気臭いエピソードの連続だが、どこか滑稽と言うか、ドライと言うか、日本人的情緒にありがちなベタベタした感性とは違う感性で描かれていた。ああいう映像を撮る蜷川実花の感性そのものなのか。
「この男と女たち、描く題材としては面白いよね。なんか笑えない? 全員。共感もできるんだけどさ」
といったユーモアとビビッドな色彩を愛する「太っ腹な強い現代女性」の視点がこの映画にはあった。多くあった性行為の描写もその一環にあった。どのような性行為が三人の女たちとの間にあったかを描かずして太宰は語れないといったところか。愛を語るこの男の嘘くささときたら天下一品。自分しか愛せない、自分にしか関心のない男だ。脚本は蜷川実花ではない女性で、よくできた脚本だった。冒頭、心中中に別の男の名前を呼ばれてしまう太宰。そしてラストでは「死ぬ死ぬ詐欺」ともいうべき太宰が富栄(二階堂ふみ)に覚悟を促され、どちらも笑いを誘うシーンに仕上げているのが良い。
この映画、冒頭に書いた通りエロいシーンだけ見ればいいかと夜見始めたら意外と面白かったのでこのままでは寝るのが深夜というか明け方近くになってしまうと思い、スマホにネトフリを落としてスマホスタンドとともにトイレにも風呂にも持っていって見切った。私は普段から邦画でも字幕を付けるので風呂の中でも台詞は読める。なんというか、便利な世の中になったというか、スマホスタンドって思った以上に役に立つな、と今更なことを思った。
Amazonのセールで800円くらいだったか。株価を見たり、車の中で動画を見たりと、毎日大活躍している。
ちなみに作家の津島祐子は宮沢りえのおなかの中にいることになる。同じく作家の太田治子は沢尻エリカが産んだ子だ。中上健次や森鴎外の娘も文才に恵まれてるしし、檀ふみの例もあるし、父親の文才は娘に受け継がれるパターンが多い気がする。阿川佐和子もか。

