これはクオリティが高い。なかなかに重い内容を扱っているが、脚本、カメラ、演出が洗練されていて見せ方が他の多くの駄ドラマとは全然違う。レベチとはこのことだ。他のドラマ制作者はこのドラマを見習ってほしい。宮藤官九郎脚本・監督作品。
 山本周五郎の原作は貧民街を扱っているらしいが、こちらは震災の仮設住宅を舞台にしている。「不適切」に続いて険しいところにチャレンジするなあ、と思っていたが、閉塞した状況にある人々を描きながらどこかに救いがある。近年見たドラマの中では出色の出来。閉塞した境涯に生きる人々を描きながら、生き続ける力強さとひととのつながり、温かさが根底にある。見ていてつらい部分もあるが、それでも日常は続く、ということが救いなのだ。
 クドカンは劇団大人計画の所属だ。松尾スズキは「悲劇と喜劇は同時に起こる」ということを描いているとどこかで読んだ気がするが、クドカンもそれを常に描いている。
 役者の中では初回の濱田岳君の巧さ、匙加減の絶妙さはまさしく生粋の役者、といったところで圧倒された。渡辺大知君をみるのは初めてだったが、オカベという心優しい青年を全身でムリなく表現していた。渡辺君がギターを弾いて三浦透子が歌う川べりのシーンは名場面だと思う。三浦透子って女優だな~とつくづく。
 でもそれにしても多様性の世の中って、むしろ息苦しいよな、と思う。あのACの「聴こえてきた声は、男性ですか、女性ですか」のCM、本当に嫌い。「パイロットになりたい」っていうのが男の子だと思ってたら女の子だった、で何が悪いの? そこまで無意識に介入されるのうざくて仕方ない。その女の子に「女のくせにパイロット目指してるんだ」とか言ったらそれはよくないけど、「へえ、珍しいな」くらい思うのも否定されるんだ。「女性パイロットかあ、かっこいいじゃん」くらい言って何が悪い、と思うわ。CreepyNutsの「二度寝」にあった歌詞、「正しさに怯えながら生きるいつかのお利口さん」を増殖させようとしているわ、あのCM。CreepyNutsの「二度寝」は本当に歌詞がよくできている。多様性の世の中って、この「季節のない街」で描かれている世界のことだと思う。
 ただ難癖をつけるなら、「不適切」も「季節のない街」も最終回がイマイチなんである。生活保護級の貧乏、いわば”スラム”で「行くところがない」と言っていたはずの彼らがラストみなそれなり以上の生活水準を獲得しているのが解せない。その間がすっぽり抜けてリアリティが著しく低下。途中はすごく面白いんだけど、最終回がなんとなく尻つぼみ、というのはクドカンにはよくある気がする。

★今年の全米女子オープンゴルフ★
5/30~6/2 笹生優花(22)が二度目の全米女王に。そして全英女王渋野日向子(25)が二位という日本人ワンツーフィニッシュ。他にも古江彩佳(24)が6位、竹田麗央(21)、小祝さくら(26)が9位。

 

 

 

 

※「二度寝」のカップリング曲。こっちも評判ですが、私も好きです。かっこいい。