※作品紹介より個人的記録です。

 1987年の作品。私は高校生だ。同級生が映画館で複数回見た話を聞いた記憶がある。私はというと、高校時代からこういう映画は私の見る映画ではない、というタイプで、35年経過する52歳になるまで一度も見たことがなかった。それがなぜ観ることにしたかというと、去年難病を発症して生活が一変、家時間がやたらに長くなった。「私をスキーに連れって」を見るに至る経緯を箇条書きすると(ほんと他人にとってはどうでもいいことだが)、
・youtubeでホイチョイプロダクション「映画的生活」を時々見るようになった。監督である馬場康夫氏(1954年生。映画公開時33歳)が古今東西の映画について語る番組で、ここまで映画作りにこだわりのある人の作品なら見てみようと思った。「ホイチョイ映画的生活」をみるようになったきっかけは「太田上田」にはまるきっかけと同じ、三谷幸喜氏の出演回を見たことだ。
・今年の冬に「スキー技術選手権」関連のyoutubeをみまくった。夫(1963年生。映画公開時24歳)は上田市出身で、若いときはお金もないのにスキーに数百万つぎ込んでいるくらいハマっていた。それで私が滑りについて講釈できるほど詳しくなったわけではないが、今年技術選を史上初四連覇した武田竜選手なんかの滑りと「私をスキーに連れって」の時代の滑りは異なるらしい。なんせ35年が経過している。主演の三上博史はスキーがプロ並みに上手いという設定のようなので(もちろん吹替)、その辺も見てみたくなった。
・WOWOWでゴルフのアメリカ女子ツアーをみるようにもなったが、全米女子オープンはBS松竹東急(無料)での放送になった。BS松竹東急なんてチャンネルが存在することすら知らなかった。そのBS松竹東急で「私をスキーに連れって」をノーカットで放送するのを知った。BS松竹東急はけっこういろんな映画を放送しているようだ。松竹東急だから当然か。

 で、観てどうだったか。

・生臭さの一切ない恋愛映画というか、青春映画というか。主人公たちは社会人。当時は「おしゃれな」映画だったらしいが、今見るとあか抜けている作品とは言いがたい。描かれている風俗の問題ではない。昔の映画で今見てもあか抜けてる映画なんていくらでもある。

・何時代の話かと思える。自分が生きてる時代だけに今の私が見ると不思議なセンスがたくさんあった。ちなみにバブル期は1986年から1991年とされている。バブル期に入るか入らないかの時に作られた映画ということになる。

・原田喜和子のバブル度が誰よりもMAX。平野ノラのモデルか? 原田知世は今見ても化粧等含めて可愛らしく、時代のギャップは薄い。内気でまじめな女性という設定のせいのようだ。つまり原田喜和子や鳥越マリ、高橋ひとみは「イケイケ」系ということになる。それにしてもファッションは巡るというが、ボディコンとか肩パットがまた流行る時代って来るのかな? 身体のラインを出さないファッションが隆盛して長い気がするけれど。
・役者が総じて大根。今の若手俳優のほうが上手なような? でも当時はこれでよかったんだな。私が子供のころは歌が下手なアイドルなんてザラにいたし。伊代ちゃんとか。子供心に見た目がよければなれるのが芸能人だと思っていた。

・音楽使いにこだわりのある馬場氏らしいが、古っ、ビミョー! と思ってしまった。脚本とかカメラにも見識高く細かいこだわりがあるのがyoutubeでの馬場氏の印象だが、どれをとっても私は特に惹かれるところがなかった。
・夫はなじみのスキー場から元職場まで映り、土地勘も高いし(志賀高原、万座スキー場)、それなりに見所があった様子。映画の中のウエアがワンピースで、これが主流だった時期は短かったとのこと。私が大学に入ってスキーを始めたのが1989年で、ツーピースだった。

・今の武田竜氏みたいなスキーと滑り方が違うのはわかった。ストックの扱い方が違うのは一目瞭然。あと映画のほうは身体全体で板を操作しているというかターンしている印象だが、今年の技術選の上位者の滑りは上半身がほとんど動かず下半身のみ(骨盤と膝)の動作で板を操作し、ターンしているように見える。夫曰くターンの入り方が今と全然違うらしい。そもそも道具が変わっているとのこと。ゴルフでいうならパーシモンと今のクラブとの違いぐらいがあるとか。そういわれるとびっくりする。35年前の話だしな。夫曰く、今のスキーはほぼ常に板が雪に接しているが、映画は板が雪から離れている時間が長い。今が基本両足荷重の中で体重移動しているとすると、映画ははっきり片足ずつ踏み込んでいるイメージか。

 結論としては、やはり私の見る映画ではなかったが、こういうものだったのかとの納得はあった。社会的な影響力というか反響は大きかった作品のようだし、馬場さんの狙ったところは大いに達成しているのだろう。ただ原田喜和子と高橋ひとみが最後なぜ辿り着けたのかの説明がなかったのは腑に落ちない。本編ノーカットと書いてあったが、嘘なのか? 夫はトラックに助けてもらった気がすると言っているが、勘違いの思い込み? だとしても車が横転したのにどうやって会場まで来られたのか説明ないぞ?

※追記:再三確認したところ、ボロボロになった車がステージの横に置いてあるシーンがあったので、おそらく誰かに協力してもらって車を元に戻して(?)それに乗ってたどりついたということのようです。

 


※今の滑り方と比べてみよう↓ 板の長さも違う。

 


※ホイチョイの動画で三谷氏の出演回は、ちょっとマニアックでひとに勧めるのが難しいのが多い。三谷氏と一緒に仕事をしていた石原氏の出演回が面白いです。

 

 


※三谷氏出演回ではこれが一番おすすめかな↓

 

※私もおすすめの「バベットの晩餐会」を石原氏も勧めてました。