この巻は利休と秀吉の決裂から始まる。今回特に私の関心を引いたのが、利休が秀吉とやりあうときに「空亡」を持ちだしていることなんである。占い好きの私としてはたまらん。
「空亡」は現在四柱推命で使われることが最もメジャーな気がする。12年のうち二年、誰にも「夜の期間」が訪れるという。0学とかホソキさんのでは12年のうち三年となっている。
「宇宙の理法は何人もこれを曲げることはできませぬ。朝、日がのぼって夕暮れになるのと同じこと。人の一生にも昼夜はございまする。ただ愚かにして、この理法を察知できないものが、十二年に二年間ずつめぐってくる暗夜にあがいて身を滅ぼしまする(中略)かの太公望は、この空亡を知るがゆえに、黙々と三年間釣り糸を垂れてやがて来る朝にそなえて想を練りました。その反対が織田信長公にござりまする」
明智光秀、柴田勝家然り、と利休は言う。秀吉もこの10年は昼の時代であったが、いよいよ「空亡」。その証拠に長年の右腕であった弟秀長を病に失ったではないか、と。秀長の死は夜の時代の始まりを告げている。てか、太公望さんをみるあたり、やっぱり「夜の時代」は三年なのか。あたしの実感も三年だ。
秀吉は百姓の出から位人臣を極め、関白に上り詰め、その上50歳を過ぎてついに跡継ぎまで得た。自分の人生に「夜」はないと信じているし、それを自己実現しなくてはならないという意思はほとんど妄執だ。
「どんな禍も福に転じてみせやる」
禍が福に転じることは珍しくもなんともないが、それはほとんど人為を超えた巡り合わせ、人知の及ばぬところで生成される。
秀吉は利休の才気を充分すぎるほど認めているし愛してすらいる。生意気止めて本分を再確認し、永遠に昼の続く太閤秀吉にひれ伏せばいい、どうにかしてひれ伏せさせるぞ、と思いつめている。この辺の描写は多くの小説・映画に共通している。しかし利休は既に生き様として秀吉とは相容れない覚悟を固めている。
「利休は殿下(秀吉)のご眷顧に報いるため、申し上ぐべきことを申し上げて罪(蟄居)を得ました。これ、大納言秀長さまご薨去に次ぐ、上様(秀吉)第二のご衰運の徴候、このきざしはお心を緊められませぬとさらに第三、第四と続きましょう」
この後利休は切腹。そして長子の病死。秀吉の夜は深くなるばかり。そして決定打の朝鮮出兵。何万、何十万という内外の人々の人生を未曽有の悲惨さに陥れていく。この朝鮮出兵、同時代から現代にいたるまで、いつでも誰からもどの点とっても評価されないって凄い。この他にこの小説における秀吉の「空亡っぷり」には眼病、母親大政所の死もある。つーか、秀長の死後、秀吉に陰惨なエピソードは多くとも、いい話なんてひとつもない。
利休と秀吉については多くの小説、映画等のフィクションで取り上げられている。私も井上靖の「本覚坊遺文」は数回読んだ。面白かったけど、この「徳川家康」のほうが具体的に二人の関係が迫ってきてより面白いかも。「本覚坊」は抽象的過ぎる印象だ。それにしても本能寺において信長と光秀双方が空亡とか、秀吉のこの闇の時代の入り口が空亡だったとか、本当なのかなあ。初めて聞いた。てか、利休自身が空亡期に果てたのだろうか? 秀長の死によって石田三成の発言力が増すことも利休にとっては「夜の始まり」だったはずだ。もし秀吉と利休、信長と光秀がそれぞれ空亡期だったとしたら、空亡のぶつかり合いこそ最も恐ろしいということか?
それにしても空亡というか天中殺。天中殺でも同じ時期を指す。算命学だと天中殺というのか、その辺は勉強不足で分からない。「別に怖い時期ではなく、もろもろが露呈する時期」という解説も読んだことがある。よって才能が爆発するひとも少なくないとか。マツコなんかはびったり該当している。もちろんマツコの私生活や内面を知り尽くしているはずもないが、マツコは天中殺期、仕事は拡大の一途でおかしなスキャンダルもなかった。ただ芸能人然り、わかりやすく「厳しい時期」に該当する人が少なくないのも事実だ。結婚前の数年間の私自身、結婚後の夫にもあった。夫の勤務する会社が徐々に傾いてつぶれて、親会社の不本意な部署に配置換えされて、ストレスと不調にまみれているのを目の当たりにした。あたしも再来年からだか空亡(天中殺)だ。大した努力もない10年だったし、また厳しい目に遭うのかなあ。ホントにヤなんだけど。夫婦で空亡期かズレていることを幸いとすべきなのだろうか。
ちょっと気になったので淀君で見てみる。
1573年 小谷城陥落。実父が伯父信長に討たれる。
1583年(10年後) 養父柴田勝家、母お市の方が賤ケ岳の戦いで秀吉に敗れ自害する。
1591年(8年後) 長子夭折。
1600年(9年後) 関ケ原の戦い。
1615年(15年後) 大坂夏の陣。息子とともに自害。
ん~ちょっとよくわからない。
ところでちょっと気になり見返してみたら、第一巻の記事がUPされていたのが2015年の4月30日だった。丸々二年経過で14巻。全26巻。いつ読み終わるのだろうか。ほんと比べても申し訳ないが、「真田太平記」全七巻よりは長さにしんどさを覚えない。端的に言ってこの「徳川家康」のほうが今のところ面白い。
本の感想ではないが、印刷の状態について。この14巻前後の巻の印刷の状態が大変悪い。読めないほどではないが、全体的にムラがあって明らかに失敗印刷。特にひどい15巻は2016年6月発行の第46刷だ。これで売りに出さないで欲しい。Amazonで購入しているので、印刷の状態は購入前に確認できない。そもそもは出版社側(講談社)の管理不手際だが。みなさんもお気をつけください。
※アメブロ「ちょっと開運してくる 天中殺で開運」はコチラ。最終回が一番上の記事になってます。小難しいけど、興味深い内容です。
★今週のお菓子★
最近「プレミアムアルフォート宇治抹茶」にハマっている。どこにでも売っているわけではないのがさらに欲望を掻き立てられる。明確な苦みと甘みの同居がたまらない。近年ハマったお菓子(とそれに準ずるもの)を振り返る。「カレドショコラカカオ70」はこの数年で100箱くらい食べてる気がしないでもない。グリコの「PEAK」にもハマった。赤も青も好きだ。あとヤツレンのジャージープレーンヨーグルト。無糖タイプに信州須藤ジャム(これまた砂糖不使用。でもすごく甘い)をたっぷり乗せて、甘い部分と甘くない部分の同居を楽しむ。ダイエット成功後解禁したら、やっぱり美味しくて止められない。