繰り返しになりますが、私はほぼ40年ビッシリ実家で生活しました。私の部屋にはテレビのアンテナがなく、当然テレビもありませんでした。子供の頃はともかく、大人になってからテレビを買う財力がついても、家族で共有する居間のテレビで充分。ひとり部屋でテレビをみたいとも思うこともほとんどありませんでした。それでもごくたまに思うのは、「エロ映画をひとりで部屋でゆっくり見たい」というものでした。
 さすがにこれはいかに深夜でも、居間のテレビで落ち着いてみることはできません。いつ何時家族が侵入してくるかわかったものではなく、お兄ちゃんならともかく、お姉ちゃんがひとりでエロい動画をテレビの大画面で見ていたというのは、なんともカッコ悪い。そんなフラストレーションが溜まっていたせいでしょうか。妹が「夜王」というTOKIOの松岡主演のホストクラブを舞台にしたドラマを見ていたときのこと。
(またこいつ、くだらねえドラマみてるな)
 と私は洗面所に移動したのですが、そこでけっこうはっきりあえぎ声が聞こえてきたのです。私は居間めがけて反射的に飛び出してしまいました。見てみると、夜10時台のドラマらしく、要所要所を隠して男女が重なっている、画的には大したことない「お色気シーン」。妹は背後の「飛び出す姉」には気づいていないようでしたが、着陸した瞬間、姉は恥じ入りました。誰がみていなくとも。
 これは映画館で見るに限る、と「ラスト、コーション 色/戒」(2007年アン・リー監督、トニー・レオン主演)をひとりで映画館でみることにしました。露骨な性描写が話題で、かつヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞。周囲で見た人間の評価も高く、一粒で二度美味しいとはこのことだ、と鼻息荒く映画館に突入。すると、本当にこれが上質な映画で、戦時下における特殊な性愛を通して戦争の非人間性を描くという、露骨でも(露骨な分)ぜんぜんムラムラできない性描写の連続。見終わって「やっぱり戦争ってよくないな~」と緊張感に震える始末。
 というわけで、今のところ私が思い出せる、もっともムラムラした濡場は、遠藤憲一主演のドラマ「湯けむりスナイパー」のある一話にあった、遠藤氏と仲居さんのカラミです。これは夜中にこっそりリピートしてみてしまいました。よく男のひとがAVの「お気に入り」のシーンを編集して一枚にまとめるとか聞きますが(よくか?)、わかる気がしました。あたしはそもそも若いきれいなにーちゃんに色気を感じないので、引き締まった体で枯れかけた遠藤氏くらいがベストです。こんな意見に共鳴できる女性は、ぜひDVD等でご確認ください。(※追記※ この仲居さん役がNHK朝ドラ「あまちゃん」で観光協会職員栗原ちゃんを演じている安藤玉恵さんです。これが濡れ場になると急に色っぽくなるので見物です)。
 てなわけで、結婚して専業主婦。子供もおらず、夫はWOWOWに加入済み。ということで、渡辺淳一大先生原作「愛の流刑地」を録画し、ひとり日中じっくりみる機会を得ることができました。渡辺淳一先生といえば「失楽園」が有名ですが、私はその前の「うたかた」という似たような作品を小説で読みました。なんせ渡辺先生はそのスジのオーソリティー。男女関係の深遠が克明に描かれているに違いない、と意気込んだ20代の頃だったと思われます。50歳ガラミの作家が30代の子持ち主婦と不倫するストーリー。その主婦がカラオケでテレサ・テンの「時の流れに身を任せ」を歌うのを聴いて、
「こいつも”女”になった」
 と初老作家がしみじみするようなシロモノで、これもまたムラムラ不発で終わったものです。笑えはしましたが。あたしゃこんなセンスの不倫相手いやだ。
 再びちなみにですが、私は夫が前夫人と生活し、その後独身生活を数年送った家に越して来ました。一見片付いているものの、ひとたびクローゼットを開ければすべてが無造作に投げ込まれていたマンションで、全て片付けるのに数ヶ月を要しました。前夫人との結婚式のアルバムから、前の彼女と行った旅行の写真、バースデーカード等々、マナー違反とも思えるろくでもない代物がザラザラと出てきて、その際限のなさに後半は、出る度に「もうない」とウソをつく夫相手にエキサイトしていたものですが、意外と(?)エロDVD等は一切出てきませんでした。おっさんだからでしょうか。若いときから風俗にも行ったことがないそうで、
「品行方正じゃないと三回も結婚できない」
 とはご当人のコメントです。私は風俗は絶対にイヤですが、あまりエロに興味がないというのもどんなものなんでしょうか。判断に困ります。ちなみに夫の「好みのタイプ」は、いまだにキョンキョンで、仮にキョンキョンと綾瀬はるか、北川景子等の若い美女のうち誰かとエッチできるかなら、やっぱりキョンキョンだそうで、なんだか時が止まっています。キョンキョンはある意味今でも「素敵」なのは認めますが。夫が二次元エロにハマって夫婦生活はとんとご無沙汰、なんて夫婦もよく聞く話で、なんとも夫婦のエロは繊細複雑、単純な評価判断が難しいものです。
 ようやく本題の豊川悦司、寺島しのぶ主演のR15指定映画、「愛の流刑地」。愛ルケ。びっくりするほどダサい演出、音楽使いで浸るに浸れず。なんとかならねえか。センスなし! はあああ~ん♪ ってな女の声の音楽が随所に被って一生懸命安くしてる感じ。この映画に限ったことじゃないけど、BGMも変な映像の演出もナシにして、シンプルな画面と台詞のみにしたほうがよほど伝わると思うことは多々ある。ダサく盛っちゃうんだよねえ、「絶頂」迎えてる顔に大自然の映像かぶせちゃったりとかさ。体位が複数あってもやたら入れてばっかり。見てるこっちは濡れません。やっぱ愛撫の描写あってナンボと女性(熟ってますなあ・・・)は思ったりします。だってこの映画って、子持ち人妻しのぶが、トヨエツ(とのセックス)にハマる過程を視聴者に納得させられるかどうかがキモのハズなんですよ。それってやっぱ情緒纏綿とした濃厚な愛撫の描写あってナンボじゃありませんかっ? 夫とのセックスでは「開発」されなかった人妻が、「だんだん開発されていく」様子が描かれてナンボでしょうが。女の反応が大事なんすよ。それがわけのわからん鼻白むような気障なアホ台詞と、入れてばっかしのセックスって。「ほ~ら絶頂だよ」って言いたいのかもしれんが、そこに至る過程を見せろってんだよ。男性がエロ目的で見てもあんま面白くないんじゃなかろうか。乳モミもオーラルセックスの類も一切ないですから。エロ抜きでみても、ドラマの不完全燃焼感はぬぐえず。何かにつけて中途半端。やり方次第では、もっとシャープで面白くってエロいドラマになったストーリーだと思います。余談ですが、同じトヨエツが似たようなキャラクターを演じている「今度は愛妻家」(2010年行定勲監督作品)はいろいろ伝わって、けっこう面白かったです。エロくないけど。

※年明け1月6日深夜、「湯けむりスナイパー」の正月特番があるようです。女性がフグフグする濡場は1度しか見てないので期待できませんが、少なくとも「愛ルケ」みたいな前時代的ダサ演出はないドラマです。
http://www.tv-tokyo.co.jp/yukemuri/