ゴルフを始めて早三年が経過した。ゴルフって楽しい? と聞かれたら、「楽しいの1に対して苦しい/つらいが3」と答えたい。ゴルフを始めようか迷っている女性にどう思うか聞かれたら。「それなりの覚悟をもって臨んだほうがいい」と答えたい。
だったら止めりゃ~いいじゃん、と自分に何度問いかけたかわからない。「やるのかやらねえのか」(長州風)。その度に夫の留意とこれまで投資してしまった金額の大きさに負けて、続けることを選んだ。それでも年に数回は「もう止めたい」と思う。その度に夫は、
「ただでさえハナちゃんは一緒に何かをしようとしないのに、ゴルフ止めたら、夫婦で一緒にすることなくなっちゃうでしょ」
夫婦で一緒にすることの代表であるイトナミをもっとすりゃ~いいんだよ、っと。三回結婚しているうちの夫、マジでエロ方面にあまり関心ない。これって性欲の有無とはイコールなようでちょっとズレている。あたしは女性平均からしたら、おそらく性欲もエロへの関心も確実に高いけどね。何の自慢だ。
私の親しい友人にゴルフをする女性はいない。20代の頃楽しんでいた友人は二人いるが、二人とも結婚して子供を生んで止めてしまった。二人ともスポーツウーマンで、当時は100を切るところまでは行ったらしい。ほんとかよ、と思う四年目のわたしであった。しかし若い女性の場合、結婚はともかく出産をきっかけに止めてしまう人は多いだろう。
というわけで40歳過ぎてゴルフを始めた私個人の見解を披露したい。ゴルフって、適当に楽しむもんじゃないんである。真剣に取り組んでもなお思い通りにならず、苦しみながら一歩ずつ山を登るが如し・・・三歩進んで二歩下がる的な・・・とにかく、
「これ、娯楽か?」
と思うことが様々な形で襲い掛かるスポーツである。プロゴルフ、特に男子などをみているととてもダイナミックでパワフルなスポーツに思えるが、実際はアマチュアですらかなりの繊細さを要求される競技だ。長い棒のついた狭い面で、これまた小さな球を叩いて、エラい遠くへ飛ばすんだから、当たり前か。「同時にいろいろなことをしなければならない」というか「ワンスイングの中でいろいろなことが守られていないといけない」。単純に言って「難しい」ので、おじさまたち一同、飽きずに続けられるのだろう。スキルよりも単にスタミナ、パワーがものをいうスポーツなら、じいさんたちはとっくに止めているよなあ。ミスをしない人間が勝つのがゴルフだ。裏を返して言えば、ミスをするのがゴルフ。で、いかにミスを少なく終わらせるか頑張るスポーツがゴルフだ。それはプロでも変わらない。ああ、なんてストレスフル・・・爽快さはどこに・・・
なぜ私はこんなにゴルフが苦痛なのか。考えてみれば身体を動かすことは好きだが、天候に左右されるアウドドアスポーツがあまり好きでない。「ベストコンディション」でできなくても普通なのだ。風雨にさらされて小さな球をはたき、濃霧の中ではどこに行ったか追うこともできず。練習場では「それなり」になっても、練習場みたいに足場がまっ平なことはあまりないのがコース。コースに出ないと上手になるわけがないのがゴルフなのだが、コースに出るには金がかかるし、一日がかりだ。そもそも練習自体金がかかる。夫は会社関係等のつきあいで土日もコースに出ているが、私は平日料金でできるときだけにしている。というわけで年間10回もコースに出ていない。そりゃぁ上手くなるっていっても限界あるよなあ。上手くならないと面白くないし。私がコースに出てイライラしていることは普通だ。夫はよく会社や友人とのゴルフに私も一緒に参加するよう誘ってくるが、全部断っている。なにがイヤって、夫と二人なら遠慮なくイライラできるが、夫の会社のひとと一緒だとそうはいかない。「思い通りにならない」と44歳のおばさんが公衆の面前でフテ腐れているわけにもいかない。でも自分のゴルフでいっぱいいっぱいなのに、ひとに気を使う余裕なんてないっ。
テニスと比べてみてみよう。お友達とコートを借りてテニスをする。打ち合っていて調子が悪く、なんとなくイヤになったり疲れたりしたら、「ちょっと休む」と小休止することは簡単だ。しかしゴルフは朝一度出たら18ホール終える昼過ぎまで止めるにやめられない。プレー代もテニスコートのレンタル料とは比べ物にならない。そもそも道具も高い。テニスはとりあえずラケットとシューズを調達すれば、あとは間に合わせでいいだろう。ゴルフはそもそも高いクラブ、バッグ、シューズ。ウエアはサングラスから帽子まで。初期投資もそれなりで、補充の小道具もティ、マーカー、予備のボールなどなど。
そしてコースでは前後に別の組がいて、前の組が遅くても追い越せないし、ゆっくりやりたいと思っていても後ろの組が次々来るのでマイペースにも限界がある。テニスでホームランを打ってしまうこともある。取りに行くのはそれなりに面倒だが、無くなることはめったにない。しかしゴルフはどこに行ったかわからないことはよくある。それも、すぐに「わかんねーからいいや」ではなく、ある程度は探して、そこから打つのが原則だ。テニスボールより小さいゴルフボールを、テニスコートよりはるかに広いゴルフコースで捜すのだ。枯葉がたくさん落ちていると、さらに探すのが難しくなる。そんな中、ティーグラウンドには早くも後ろの組が待機。このストレスたるや。完全に無くしたら無くしたでもちろんスコア上のペナルティがつく上に、球自体ピンキリとはいえけっこう高い。
「うちはお金があるからキャディをつけて、キャディさんに探してもらう」
というのもあるが、あたしはキャディさんも苦手だ。一度つけたが、なかなかせっかちなキャディさんで、キャディさんに対する気遣いで疲れた。おまけにキャディさんと夫から、頼んでもいないゴルフ指導が二方向から。二度とキャディはイヤだと思った。私は夫としかゴルフをしない(つまり2サム:何かの略ではなくtwosomeという英単語)ので、自分たちの組のせいでハーフ2時間15分なりをオーバーしたことはない。
☆ゴルフマメ知識:通常3~4人でひとつのカートを使うので、2バッグ/二人だと受け付けないゴルフ場もある。受付けても2サム割増でひとり千円強程度多く支払うことが多い。またハーフ9ホールを二時間~二時間半で回るのがマナーとされており、著しくオーバーすると他のゴルファーの迷惑となるのでゴルフ場からの指導が入ることがある☆
テニスでは快心のショットとはいかないまでも、まあ、相手のコートの中に落とすこと自体は難しくない。ゴルフは先ほども述べたが、出先で多様な状況が待ち受けており、けっこうなアマチュアでも難しい状況にさらされる。というか、思ったところに落とせないヘタのほうが、当然ひどい状況にさらされやすい。ラフ、バンカー、つま先上がり、つま先下がり、左足下がり、右足下がり、その複合。プロゴルファーをみていると、どこでも同じようにスイングしてるが、あれが難しいんである。どんな状況でも変わらず同じリズムで同じ(ようにみえる)スイングができるというのがゴルフの上手さのひとつの基準だ。この様々な状況における練習が練習場では”基本的には”できない。実地訓練あるのみだ。だったら練習場は意味はないかというと、もちろんそんなことはなく、基本的に練習場でできないことはコースでもできない(意外とそうでもないこともあるが、あくまでも基本的には)。他にもちろん、遠くに飛ばす、近くに落とす。テニスの上手な人に相手をしてもらって、打ちやすいところに打ち返してもらって楽しくラリーというようなのがゴルフにはない。というわけで、ゴルフの数少ない(?)長所のひとつとされているのが、ひとの球は基本的に関係がなく、自分の球を打ち続けるということだ。だったらもうひとりで回ればいいじゃねーか、と思うが、ひとりでやりつつひとと一緒にできる、というのがゴルフの長所らしい。下手と上手が一緒に楽しめる、と。女性と男性とかね。まあ、上手は下手の面倒を見なければいけないのはテニスと同じかもしれないが、ゴルフのプレーそのものは自分だけのものだ。
ゴルフのつらい点を書き出すと饒舌な私だ。真夏も千葉なんかでは絶対やりたくない。知り合いの年配男性は8月は奥さんにゴルフを止められているらしい。これは理に適っている。強い日差しと蒸し暑さで意識も薄れる、なかなかの修行だ。私は寒い12月~2月いっぱいまでもコースには出ない。なんでお金払ってそんなサブい思いを。じゃあゴルフの長所ってなんだろう。全力疾走しなくていいことか。だから年配のひとも楽しめる。
ゴルフをしようか迷っている中高年以上の女性がこれを読んだらやる気なくすかなあ。でも全部本当のことです。脅しなしだ。というわけでこの文章からゴルフに向いていそうなひとを導き出してみると、
① アウトドア型のスポーツが好き。
② お金と暇にかなり余裕がある。もしくはゴルフによるひとづきあいが仕事や人生の可能性を広げたり、スムーズさを生む有効な手段となりうる。
③ 自家用車と運転免許があり、自分で運転してゴルフ場や練習場に行くのに問題がない。
この三点を満たしているひとなら、始めてみることをとりあえず止めない。あたしは運動は好きだが天候の影響を受けないインドア型が好き。暇はあるがお金はそこまでない。ジムで知り合いになった60代らしき女性が夫婦でゴルフをするとのことだった。夫婦で会社を経営しており、毎年旅行で100万使っているそうだ。こいうことが自慢らしくなく、話の流れでサラリと言えるひとだった。ゴルフについても、
「(お金がかかるといっても)一万円で一日遊べるからねえ」
こういうひとがゴルフに対する本来の有資格者だと思う。別の60代女性はバブルの頃を振り返って、
「あのころはコースに出るたびに違うウエアを着ていた」と話していた。
②の後半部分については父と夫は該当者だ。かといって会社の夫の周囲のひとがほとんどみんなゴルフをしているかというと、そういうこともなさそうだ。始めてみたけど続かないひともそこそこいるようだし。多くの場合、わたしみたいにあまり考えないでなんとなく始めてしまうんだろうな。
③については、私に免許と(夫の)車はあるが、知らないところに運転していけない、というか、最近は知ってるところすら運転してない。うちの実家は車が昔からないので、父は③はずっと非該当者でオマケに資金的にも非該当者なのだが、①が勝っているので結局カバーしてしまった。父は退職しているが、今も近所の同年輩のオジサマたちに車を出してもらって、毎週のようにお安いゴルフ場に通っている。以前は自転車で通える練習場があったのでそこにクラブ数本を持っていって練習していたが、今はつぶれてしまったのでスポーツクラブでネット向かって打っている。
「出先で球は曲がるものだから、ネット打ちはイマイチ」
と文句は言っている。しかしお金も車もない父だが、30年ゴルフを続けたのは現役時代も引退後の生活についても正解だったのは明らかだ。
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