SARSが猛威を振るった2003年の台湾を舞台に、アメリカから帰郷した13歳の少女と家族の物語を描いたドラマ。母親の病気を受け入れられず、やり場のない感情を抱えた少女が、やがて自分の弱さに気づいて成長していく。
2003年冬、母と妹とロサンゼルスで暮らしていた13歳のファンイーは、乳がんになった母の治療のため3人で台湾に戻ってくる。台北の学校に通い始めたファンイーだったが、アメリカでの学校生活との違いから周囲になじめず、クラスメイトからは「アメリカン・ガール」と呼ばれて疎外感を味わう。家では母が術後の不調を訴え、久々に一緒に暮らすことになった父は出張で家を空けてばかり。ファンイーはやり場のない怒りや不満をブログに書いて気を紛らわしていたところ、ブログを読んだ教師からスピーチコンテストに出ることを勧められる。しかし、コンテストの前日、発熱した妹がSARSの疑いで病院に隔離されてしまう。
台湾アカデミー賞とも称される金馬奨で、優秀新人監督賞や最優秀新人俳優賞など5冠に輝いた。第34回東京国際映画祭の「アジアの未来」部門では「アメリカン・ガール」のタイトルで上映された。(以上、映画ドットコムより)
原題はクラスメイトが揶揄して彼女を呼んだ「American Girl」なんですね。
L.A.から乳癌の治療のため飛行機で台湾に帰国した母親と二人の娘たち、中での会話は英語、でも一人台湾で暮らしていた父親との会話は中国語でと母親から予め釘をさされ、更にこれまで伸ばしていた髪を校則で切らなければならなくなり、着いて早々アメリカでの生活が恋しくなる主人公のファンイー。環境の変化から、転校先の学校生活でも馴染めない上、学業の成績もままならず、教師には叱責され更には体罰まで受ける彼女の苦悩が痛々しいです。
その一方で、仕事で家に居ないことからしっくりこなかった父親との関係は徐々に修復されていくものの、癌の治療が思うように行かず情緒不安定になっていく母親とは対立が深まり、それをブログに綴っていたことで、それを見た別の教師からは弁論大会に出ることを勧められ、本人もその気になってその日に向けて原稿を作っていたところに、妹が発熱してSARSの疑いもあることから、当日は家から出られず...といった具合で、ままならない状態が続き、ファンイーの苛立ちは増すばかりですが、反目し合いながらもそれぞれに相手を思いやる家族愛のようなものが描かれているところに作品の温かみを感じました。
繊細で気難しい主役ファンイーを演じたケイトリン・ファンの表現力がとても演技未経験だったとは思えないくらいに素晴らしかったです。
また、海外の映画では観たことのなかった耳かきのシーンが何とも言えませんでした。
ストーリーがほとんど4人の家族を中心に展開していくところには小津映画の影響を感じますが、やはりお国柄の違いもあってか、個々のやり取りに見られる感情表現などはもうちょっと直接的で生々しい感じを受けました。
そして、母と咳込む妹を乗せたタクシーの運転手があからさまに拒絶感を表したところに、SARSの蔓延していた時代とコロナ禍にあえぐ近年がシンクロします。
