かつては秘境を旅するテレビ番組などでネイチャリング・フォトグラファーとして脚光を浴びた立花浩樹だったが、バブル崩壊ですべてを失い、事務所の社長に背負わされた借金を返すためだけに15年間生きてきた。すべてをあきらめて必死に働き、借金を完済した立花は40代になっていた。ある日、母親の友人から写真を撮ってほしいと頼まれた立花は、撮影を通して、忘れていたカメラを構える喜びを思い出す。もう一度やり直そうと、上京した立花はシェアハウスでの生活をスタートさせる。そこに暮らしていたのは、立花と同じように人生に敗れた者たちだった。(以上、映画ドットコムより)
最近の邦画は話題になった小説やコミックを原作とした作品が多いように思いますが、これもそんな映画の一つのようで、なかなか面白い設定で、登場人物のキャラクターもそれぞれに挫折した過去を持ち、お互いが協力しあってそこから一歩前へ踏み出して行こうとする姿が描かれていますが、途中までは全体的に事が上手く運びすぎているような感もあり、「いや、世の中そんなあまいもんじゃないでしょうに」と突っ込みたくなってしまいましたが、監督によると「苦しみも哀しみも引き受けて、この先を生きるんだと、勇気を与えてくれる物語」ということで、あまり斜に構えて観る作品ではないのかもしれません。
あと、主人公の立花が何故事務所の借金を背負うことになったのか、それをどのようにして全額返済したのかといったところがよくわかりませんでしたが、その辺は原作を読むとハッキリするのかな?
かとうかずこがすっかりおばあさん役になってしまったのと、奥山佳恵も性格のキツイ中年のおばさん役が似合うお年頃になってしまったことに、個人的には時代の移り変わりを感じました。
茂原市、千曲市、幸田町、島原市の4か所の地方行政が絡んでいるためか、ロケーション地の風景の美しさはやはりスクリーン映えしますね。
南仏モンペリエに建つ眺めの良いアパルトマン。最上階の向かい合う部屋を行き来して暮らすニナとマドレーヌは世間的には仲の良い隣人だが、実際は長年愛し合う恋人同士だった。マドレーヌは不幸な結婚の末に夫を亡くし、現在は子どもたちも独立、家族との思い出の品に囲まれながら穏やかに過ごしている。2人は部屋を売ったお金でローマへ移住する計画を立てていたが、マドレーヌは子どもたちに真実を伝えられずにいた。そんな中、マドレーヌを悲劇が襲い、2人は選択を迫られる。(以上、映画ドットコムより)
最近流行りの同性愛ものですが、それが高齢者同士であり、それも片方は独身、もう片方は結婚していたものの夫のDVに悩まされた上に先立たれて子供達も独立し一人暮らしという境遇、そしてこれから二人で新天地へ行き共に暮らそうとした矢先に起きたマドレーヌの脳卒中で、物語は大きく進展します。
池のほとりで少女二人がかくれんぼをしていて、隠れている方の女の子が見つからないという冒頭のエピソードが、このストーリーの展開を暗示していたのが興味深かったです。
ニナがただの親しい親切な隣人と思っていたら、実は母親マドレーヌと深い仲だったということを知った娘の動揺と知った後の様々な行動は、日常の保守的な暮らしの中では決して受け入れられないこととして理解出来ますし、また、意識を失くして家族の保護下に入ってしまったマドレーヌを執拗に追い求め二人の世界を築き上げようとするニナの執念も凄まじく、最後のダンス・シーンには何とも切ない気分になりました。
ところで主題歌の"Chariot (Sul Mio Carro)"という歌は、
日本では"I Will Follow Him"というタイトルでペギー・マーチが英語の歌詞で歌ったこちらのヴァージョンがポピュラーだと思いますが、
元々はフランスのフランク・プゥルセルのオーケストラによるインストゥルメンタル曲だったそうです。
それも作曲はそのプゥルセルとポール・モーリアの変名による合作ということで、更にそれに歌詞をつけてペトゥラ・クラークがヒットさせましたが、
その時のアレンジがレーモン・ルフェーブルだったそうで、フランスを代表するイージー・リスニングの巨匠たち3人が勢ぞろいしたことになりますね。
イランの古都シラーズ。ラヒムは借金の罪で投獄され、服役している。そんなある時、婚約者が偶然17枚の金貨を拾う。借金を返済すればその日にでも出所できるラヒムにとって、それはまさに神からの贈り物のように思えた。しかし、罪悪感にさいなまれたラヒムは、金貨を落とし主に返すことを決意する。そのささやかな善行がメディアに報じられると大きな反響を呼び、ラヒムは「正直者の囚人」という美談とともに祭り上げられていく。ところが、 SNSを介して広まったある噂をきっかけに、状況は一変。罪のない吃音症の幼い息子をも巻き込んだ、大きな事件へと発展していく。(以上、映画ドットコムより)
中東の映画はこれまでにもいくつか観てきましたが、暗いストーリーが多いものの、色々考えさせられる作品もあるので、今回も観ることにした次第です。
迷った末に落とし物を持ち主に返した仮出所の囚人の行いが善行としてもてはやされ、彼の背負った借金もチャリティ協会の助けで軽減されるも、SNSで広まった悪い噂に困惑し、更に出所後の勤務先からはその落とし主を連れてきて証明しないと雇えないと言われると、どうしても見つからなかったことから本来の拾い主であった恋人を落とし主に仕立てるという綱渡り的な展開にハラハラさせられましたし、色々つっこみどころはあったものの、最後は落ち着くべきところに落ち着いたかな...といった感じです。
大雑把に考えればストーリーとしては他にも同じような作品はありそうですが、そこにイラン独自の制度や文化に宗教的な背景なども織り込まれていることで、独自の世界が描かれているように感じました。
ただ、お金を積めば死刑宣告された囚人も許されるっていうのはどうなんだろう?という疑問は残ってしまいましたが。


