狂犬病検疫における「特別ルール」について考える | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

狂犬病検疫における「特別ルール」について考える

ウクライナからの避難民が連れていた犬の受け入れについて、
国民から批判の声が湧き上がっています。

動物検疫所のサイトによれば、
犬や猫の指定地域以外輸入の輸入については、

マイクロチップによる個体識別、複数回の狂犬病予防注射、狂犬病抗体検査などについて必要事項が記載された輸出国政府機関発行の証明書が必要です

とされていて、
このような手順が必要なのですが、


(動物検疫所のサイトより)

輸入条件を満たしていない場合には、
狂犬病予防法に基づき、
海外から日本に犬を連れてくる場合、動物検疫が必要になり、
動物検疫所の係留施設で最長180日間の係留検査を受けることになっています。

係留費用が1日3000円ですので、54万円と交通費などが必要になり、
避難民である当事者家族にそんなお金はなく、
殺処分される可能性を懸念。
農林水産省は災害救助犬などに適用している「特別ルール」を適用するとしました。

この特例を適用すべきではないとして、農水省が批判されているわけです。
特例を設けるのであれば、
係留費用が3000円のほうを

国が負担するなどの方向にすべきというのは合理的かと思います。

こちらでも狂犬病については何度かお書きしていて、
2020年にはこちらで少しお書きしています。

 

 

この豊橋市での狂犬病輸入例の詳細については、
 

 

こちらで確認できるわけですが、
フィリピンからの来日3か月後に両足首の痛み、
発症2日後には腰痛、
その翌日には日本にはいないはずの妻が見えるという幻覚、
水に対する恐怖、 夜中に妻を探し回るという異常行動、
歩行が困難になったところで受診、
発熱、意識障害で入院となりました。
豊橋市民病院は手を尽くしているようですが、 入院27日目に亡くなっています。

病院関係者には入念な健康観察が行われ、
患者と接触したスタッフ、病理解剖を行ったスタッフ、
清掃スタッフなどが狂犬病ワクチンを接種しているようですね。
ヒト-ヒト感染については、極めて稀だとされるものの、
唾液による感染の可能性は否定しきれず、
このような対応となりました。

狂犬病は致死性ウイルス性脳炎で、発症した場合、ほぼ100%亡くなります。
日本で狂犬病の発生報告があったのは、1957年が最後。
日本は狂犬病清浄国で、輸入例以外、狂犬病は確認されていません。
ウクライナなどは清浄国ではなく、
また、日本は清浄国とされながら、それに胡座をかいて、
犬に対する狂犬病ワクチン接種率は減少し続けていて、
1993年には99%以上だったのに、
2019年のデータで、71.3%という数字が確認できます。

2013年、台湾で野生のイタチアナグマ3頭の死体から
狂犬病の感染を確認したと発表され、
調査により、2010年からのイタチアナグマの間での流行を確認。
感染したイタチアナグマに噛まれた犬の感染も確認されるという事態に。

狂犬病はほとんどの哺乳類が感染するのです。

狂犬病の発生が確認されていないのは、
日本のほか、アイスランド、アイルランド、スウェーデン、
ノルウェー、英国(グレートブリテン及び北アイルランド)、
オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ諸島、グアム

のみ。島国が多いという印象です。
あとは山脈などで他地域と隔絶されている地域でしょうか。
ちなみに農林水産大臣指定の清浄国・地域は、

アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド
フィジー諸島、ハワイ、グアム

とのこと。
ごくごく少数の国と地域しかありません。
海外旅行などでは、気軽に動物に近づかないようにしなければなりません。

衆院環境委員会で山口壮環境大臣は、この問題について

動物検疫所が飼育費用を請求している事実はなく、すぐに殺処分することはないと聞いています。環境省としても、避難民とともに連れて来られたペットが殺処分されることがないよう農水省と連携して取り組む

と答弁。今後も避難民がペットを連れての入国に備え、
しっかりとしたルールが必要になります。
今回の特別ルール適用について、松野官房長官は

狂犬病予防を図るうえで十分な条件を満たす場合に限り、自宅で留め置くことができるように措置したものであり、狂犬病に対する防疫措置は十分に確保されているものと承知をしております

と説明。少数派ながら、
日本でこの事例により、狂犬病が蔓延するリスクは低いとする専門家もいます。
個人的には、反対なのですが、
職員を派遣してでも、当該の犬の検査と観察を続けるべきかと思います。

しかし、その犬に抗体が確認されても、

それが接種したばかりのワクチンによるものなのか、

ウイルス感染によるものなのかを見分ける方法ない、とのこと。

 

 

 

 

 

 

 

河原崎奨堂「芍薬」

 

あとは関係ありませんが、
塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症ワクチンの話。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の 国内第2/3相臨床試験結果に関する学会発表について - シオノギ製薬(塩野義製薬)

 

う~ん、どうでしょう、という感じ。
以前から塩野義の"前科"と姿勢を批判してきましたが、
治療薬では、最大約62億円の支援が充てられるとのこと。
(興和には最大約53億円)
そもそも、この感染症に対する治験は難しく、
軽症者の多くが自然に軽快します。
軽快が薬の効果なのかの判断が難しいため、
より多くの症例数が必要になります。
既に開発され、治験が行われている薬ですので、
いくら国が予算を出しても、薬自体は変わらないわけです。
ロビイングに熱心な塩野義であり、
既に出ているデータが、効果を期待させないものだけに、
なんだかなあ…、という印象です。
興和はイベルメクチンに固執してるし…