所さんの目がテン!「パスタの科学」~塩不要・水は少ないほうが劇的に美味しい~ | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

所さんの目がテン!「パスタの科学」~塩不要・水は少ないほうが劇的に美味しい~

長寿番組ですので、ネタには苦しいものがあるとは思いますが、
この時の放送のように
今後も驚きを与えて欲しいですね。
原因はよくわからないのですが、
今、5年前のこの記事がTwitterで拡散されていて、
アクセス数が爆発しております。


たしかに、この時の驚きには格別のものがありました。
その男性が好みなら女性はセクハラと感じないのかなど、
男性のセクハラに対する認識の誤りを思い知ることになりましたね。
おそらく、今でも多くの男性が誤解しているものと思います。

所さんの目がテン! 「科学でセクハラ問題に迫る」
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-10909481378.html


さて、私は机上の論理が大好きで、
今までお書きしてきたことも、
実践しないまま記事にしてきたものが多いです。
ただ、今回は珍しく番組の内容どおりにやってみました。
結果、従来の方法とは別物の麺ができました。

今回の目玉は2点。
パスタをゆでる時には

塩は不要

水は少量


というものでした。
パスタをゆでるには、大きな鍋に大量の水、
そこに食塩を入れるのが常識です。
市販のパスタの包装にもそのように書かれています。
この日の番組で、その常識が覆されました。

その常識が誤りであることを示したのが
工学院大学先進工学部食品化学工学研究室の山田昌治教授。
山田教授はパスタメーカーに勤務していたというエキスパートで、
その彼は

科学的に言うと食塩は入れなくてもいい

と話します。
実験で確認します。
2つの鍋を用意、同じ量の水を沸騰させ、
パスタのパッケージに書かれているとおり、
片方には水1lあたり小さじ1杯の塩を入れ、
もう一方には塩を入れません。
そして、両方にパスタを入れて、
これもパッケージどおりに8分間ゆでます。

これら双方に同じソースをかけて実食してみたところ、
違いは感じられなかったようです。
味覚は感覚に過ぎないので、
客観的に見るために、パスタの断面を顕微鏡で観察します。
どちらもアルデンテの状態であることはわかりましたが、
特に違いは確認できません。
そして、それぞれのパスタ1本を噛み切るために必要な力は
塩を入れたものが117.0gで、
塩なしのほうが117.1gと数値に差はありません。
これで塩を入れても麺の腰には関係ないことがわかります。

実際のところ、ちゃんと塩を入れれば、
麺の腰が強くなるようです。
ただ、パッケージに書かれているような
水1lあたり小さじ1杯程度では何も影響は与えません。
料理人などのプロは、少なくともこの3倍の量の塩を入れています。
こうなるとコシに違いが出てくるようです。
噛み切るために必要な力も139.4gと大きくなりました。
食塩水でゆでると、食塩がパスタのグルテンと結合、
塩の量が増えれば、その結合が増えるという訳です。
ただ、小さじ1杯程度ではほとんど変化しないということでした。

だからといって、これからは家庭でも
これまでの3倍の塩を入れようとするのは問題です。
小さじ1杯程度では変化しなかったのは、
腰だけではなく味もです。
これに市販のソースなんかをかけてしまうと、
塩辛すぎることになってしまいます。
お店では、パスタに塩味が付いていることを前提にして、
ソースの味付けをしていて、
もしも、3倍の塩を使用してゆでるのであれば、
ソースは市販のものではなく、
塩を少なめにしたソースを作らなければなりません。

私はこういうことを知らなかったので、
放送後、調べてみましたら、
知っている人は知っているという情報でした。
ただ、山田教授は大量の水も要らないといいます。

パスタをゆでる時には大量のお湯。
そのために、大きな寸胴鍋を使用している方もいらっしゃるかもしれません。
先生はフライパンに少量の水で充分、
そのほうがより美味しいパスタができるというのです。

パスタにも一般に普及しているお値段のものから、



このような数倍の価格になっているものもあり
パッケージには「ローマ法王庁御用達」と書かれています。
一般的なパスタと、
この超高級パスタでは何が違うのでしょうか。
スパゲッティのようなパスタは
細い穴から押し出して作られますが、
一般的なパスタの場合、その穴は大量生産のため
滑りの良いフッ素加工されたものになっています。
この機械で作られる麺の表面はツルツルしています。
対する超高級パスタの工場では、
伝統的な機械を使用しているため、
その穴はブロンズです。
フッ素加工の穴に比べて、
滑りの悪いブロンズの穴から押し出されたパスタの表面には、
細かい凹凸ができます。
これらのパスタが料理になった時、
ソースの絡みやすさに差が出てしまいます。

実験で確認しますと、
普通にゆでたパスタを10cmに切り、
米粒を入れたシャーレに入れます。
これを引き上げた時にパスタに付く米の重さを量ります。
一般的なパスタでは2.1gの米粒が付き、
超高級パスタでは3.0gの米粒が付きました。
4割も差があります。

山田教授はこの部分を
一般的なパスタで近づけようと考案したのが
フライパンに少量の水でゆでる方法になります。
水は400ml、これをフライパンで沸騰させ、
強火のままのフライパンに
100gのパスタ(スパゲッティ)を半分に折って入れます。
パスタを入れたら、火はそのままでフタをします。
水が少ないので、
正確にいえば、ゆでるというよりは蒸す形になります。
やがて泡が出てくることになります。
これは大きな鍋でも同じですが、
水が少ないために吹きこぼれることはありません。
この泡が出てきたら火を中火にします。
パスタのパッケージに書かれている時間経過で
火を止めれば蒸しあがりになります。

この方法でゆでたパスタを10cmに切り、
また、米粒で確認します。
すると、このパスタに付いた米粒は3.0g。
ソースの絡み具合においては、
超高級パスタと同程度のものができたといえるでしょう。
水でゆでるとデンプンが糊化して、
水の中に溶け出します。
大量の水ではそのほとんどは排水口に捨てられることになりますが、
少量の水の場合、
そのほとんどがパスタに再付着することでしょう。
だから、たくさんの米粒が付着したという訳なのでした。

そして、このパスタ1本を噛み切るために必要な力は119.8g。
特に堅すぎるということもありません。
しかし、料理の良し悪しは数値だけでは確認できません。
そこでパスタをいつも食べているというイタリア人に食べてもらいます。

一つの皿は大量の水でゆでた従来どおりのパスタ。
そして、もう一つはフライパンに少量の水での蒸しパスタ。
これに同じソースをかけます。
実際に食べるイタリア人はパンツェッタ・ジローラモさん。
彼は毎日パスタを食べるといい、
高級パスタの味ももよく知っているといいます。
このブラインドテストで彼は
蒸しパスタを絶賛、

麺の味が全然違う
ソースがなくても麺が美味しい
あと、ソースの絡み方、
ゆでる前のパスタはザラザラしていたはず


と断言。
元は同じパスタだという説明に彼は驚くことになります。


実際に自分でやってみますと、
ソースの絡み方以外にも、
風味が違って感じられました。
これまで家で食べていたパスタとは全く別物になりました。
ただ、実際に行ってみて感じたのは、
フライパンのフタは透明なほうがいいというものでした。
1食ずつ、2回作りましたが、
最初の時にはやや水分が少なくなりすぎてしまい、
それでも、従来のパスタよりも美味しく感じましたが、
もう少し早めに火を止めるべきだと思い、
2回目はそのとおりにしました。
蒸す分数は重要ですが、
目で確認する必要もあると思います。

市販のソースで、安いパスタでも
お店よりも美味しいといえるかもしれません。
水の使用量が少ないという点でも優れています。
ぜひ、一度試してみてください。
目を見開くこと請け合いです。