「JIN-仁-」完結編 第8話 "歴史に逆らう命の誕生…" ストーリー書き起こし | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

「JIN-仁-」完結編 第8話 "歴史に逆らう命の誕生…" ストーリー書き起こし

南方仁は焦っていました。
友・坂本龍馬が狙う奇策、大政奉還はいつなのか、
それが成れば、龍馬暗殺の日は近い。
仁は勝海舟に大政奉還がいつなのかを尋ねてみますが、
この時代の人間にそれを知る人はいません。

龍馬は後藤象二郎と密談中。
武力討伐の前に政権を朝廷に返してしまえば、
徳川討伐のの大義名分は失われてしまう。
その主導権を土佐藩が握れるとあって、
後藤象二郎も乗り気です。

橘恭太郎は、上役に報告を。
龍馬と仁友堂は既に関わりがないと。
そして、仁友堂から盗んできた仁と龍馬が写っている写真を、
竈で燃やしてしまいました。
それは、仁友堂のために…。

その頃、龍馬は船の中で、
新政府の構想の草案を書き上げていました。

船中八策と呼ばれているものです。

JIN-仁- 完結編

しかし、九番目の項目が…?



JIN-仁- 完結編

土の龍 道に果てつる 寒き京

歴史を変えようとすると襲われる頭痛に苦しみつつ、
仁は龍馬宛の手紙を書いていました。
龍馬が殺されるのは、冬だったはず。
この五七五の裏を龍馬が理解してくれることを祈りながら。


南方仁は動けずにいました。
十月に控える野風の出産。
乳癌が既に肺転移、リンパ節転移の彼女の出産を担うのは、橘咲。
仁も仁友堂を離れるわけにはいきません。

咲は産婆に付いて学ぶ日々。

仁友堂には田中久重から電気を利用した灯りが届けられていました。
長崎で仁が托した豆球を、
彼は我が物とすることが出来たようです。


友永未来と南方仁が写る写真。
それは失われたままでした。
既に未来を変えてしまっているのではないか、
橘咲は仁にそう尋ねます。
そして、修正力がどう働いたとしても、
先生の望みは変わらぬのではないか、と。

南方仁が望む未来、それは野風とルロンの子が無事生まれ、
その命がやがて別の友永未来に受け継がれていくこと。

咲も考えます。
生まれ変わった友永未来と、
南方仁は出会わなければならないはずだと。

土佐では、山内容堂が大政奉還の建白を決意し…



松本良順に呼ばれて西洋医学所にやって来た南方仁は、
奥医師への打診があることを報されます。
そして、橘恭太郎と同じように、
坂本龍馬との付き合いを絶つように言い渡されます。

南方仁はうなだれながら廊下を歩いていると、
背後から名を呼ぶ声が聞こえました。
それは三隅俊斉、さる御家門からの野風の身請け話の時に、
彼女の身体を検めたのがの典医であった彼でした。

JIN-仁- 完結編

彼も今は奥医師のようです。
彼は奥医師になれたのも、仁のおかげだと言っています。
あの時、彼女の乳癌に気づけず、
殿様にきつく叱られたため、
医学の研鑽を積むことが出来たのだと。

そんな頃、仁友堂では野風が腹痛を…
胎児が逆子のようです。
仁が診た時には異常がなかったはずなのに、
こんな時期になって逆子になるとは…?

佐分利祐輔は帝王切開を考えますが、
この時代の麻酔薬では胎児に害があります。

JIN-仁- 完結編

とりあえずは福田玄孝が、
灸を施してみることにしました。


京では、若年寄・永井尚志邸で大政奉還のために暗躍していました。
後藤象二郎、東修介と歩いていると、
前方から大勢の侍たちが。
薩摩の者たちのようです。

錦小路の薩摩藩邸へと連れてこられた龍馬と後藤象二郎。

JIN-仁- 完結編

大久保一蔵から幕府の若年寄の屋敷で何をしていたのかと質されます。

龍馬は敵の様子を探っていたととぼけますが、
既に土佐藩は山内容堂が大政奉還を建白しており、
裏切り行為に怒る大久保。

龍馬は、これは幕府を欺くための策だとさらにとぼけ続けます。
徳川二百六十年の政権を、
あっさりと朝廷に返すはずはないというのです。
大政奉還を建白し、それを幕府が拒否すれば、
堂々と幕府を討つことが出来るはずだと。

しかし、龍馬の努力虚しく、
既に薩摩は倒幕の勅許を得ていました。
薩摩の軍は既に官軍だと西郷隆盛は龍馬に告げます。

慌てた龍馬は恩を受ければ恩を感じる、
ねじ伏せられた者は、ねじ伏せられた恨みを忘れん。
戦は戦を呼ぶ、
そう西郷に迫りますが、それが本心かと西郷はしたり顔。
倒幕の勅許などはなかったのです。

龍馬の本心を聞いた薩摩の者たちは立ち上がり、
腰の刀に手を掛けます。

龍馬はそちらに向き直り、右手の茶碗を突き出します。

みんなぁが一所懸命にやっちょるがは、
この茶碗の中の喧嘩じゃ。
こんなもんは、ほれ、


茶碗を畳に置いて、右手人差し指で転がしてしまいます。

外から指一本で倒されて終いぜよ。

国中の戦が長引けば、列強につけ込まれ、
植民地とされるがじゃ!

JIN-仁- 完結編

倒幕は叶っても、属国になっては元も子もないろ!
頼むき! 真の理は何たるか!


龍馬が倒幕の戦を起こすことに理はないと説きます。
しかし、黙って聞いていた西郷が、

人はっ!
理だけで生きる訳ではごわはん。

人には、情ちゅうもんがごわす。
己の裏をかいた相手を
信じるこつはできもはん

JIN-仁- 完結編

ねじ伏せられんかったこつを
ありがたがるようにはできておりもはん!


と、考えを改めません。

追い出される龍馬。

龍馬が連れ出された部屋に残された茶碗を手に取るやいなや、
庭石に向けて投げつける大久保一蔵。
茶碗は粉々に砕けてしまいました…



その夜、野風の陣痛が始まりました。
逆子はまだ解消されていないようですが…

南方仁は急ぎ、福田玄孝を呼びに走ります。

仁友堂では引き続き、
逆子をなんとかしようと野風の腹を撫で続ける橘咲。

自分の腹の子をなんとかしようと懸命な咲に野風は、

咲様は真っ白でありんすなあ。
あちきが子を産めば

JIN-仁- 完結編

先生の思い人を、
もう一度作ることになるやも知れんせんのに。


と、咲の心根の美しさをたたえます。
咲はついに彼女が真実を承知していたことを知ります。

やはり、ご存じで!?

野風の苦しみは増します。
力を抜くように、そうすれば楽になると、咲は促します。

野風さん、わたくしの心は 真っ黒でございますよ。
いつもいつもつまらぬ嫉妬ばかりで、
その度に 己が嫌になります。
野風さんには、いつもとても敵わぬと。


咲が自身の心の中を打ち明ける言葉を聞いて、
意外に思った野風は、

敵わぬ?

咲はその理由を話します。

JIN-仁- 完結編

野風さんは何も見返りを求めぬではないですか。
わたくしは…、そのような気持ちには…


その時、南方仁と福田玄孝が戻ってきました…



夜が明けました。
野風たちの奮闘が続きます。



京の近江屋では、坂本龍馬が責められていました。
同じく土佐の脱藩浪士の中岡慎太郎は、
大政奉還が本心であったのかと怒り心頭です。

龍馬に騙されていた中岡は、
長州から龍馬の護衛に付けられている
東修介に同意を求めますが、彼は、

私は、大政奉還は悪くないと思います。

それを聞いて顔をほころばせる龍馬。

ひが~しぃ~

と、言い終わらぬうちに、
中岡は徳川がこの建白を受けない時にはどうするのか、
土佐を徳川幕府と心中させる気なのかと、龍馬を質します。
しかし、龍馬は、

徳川はぜえ~ったいに飲む!

と。しかし、

…と、思う。

と確信はないようです。
しかし、彼には根拠がありました。
南方仁が、これが正しい道だと言っていたからです。
中岡が呆れていると、階下から慌てて上ってくる者が。
急報が報されます。

坂本さん!
在京四十藩の重臣が二条城に招集されたようです!
大政奉還について評定がなされるものかと!


龍馬の奇策が成ろうとしています…!



仁友堂では野風がまだ苦しんでいました。
骨盤位からさらに良くないことに、
胎児が横位になってしまっていたのです。

既に左手は出てきてしまっています。
野風の脈を診る南方仁。
彼は手はあるといいますが…

既に陣痛の開始から15時間が過ぎています。
母体は健康体ではありません。
その衰弱も限界かと思われます。

子供は諦めて、野風さんの命だけでも助けましょう

南方仁はこれが最善だと判断しました。
仮に麻酔をせずに帝王切開を行ったとしても、
その途中で母体が息絶えてしまえば、
胎児の命も失われてしまいます。
そうであるならば、どちらか一方を確実に救えるのは、
母体であり、この方法しかないんだと、
苦渋の決断を下した南方仁…


手術室に運ばれてくる野風。
訝しむ彼女は、仁から麻酔をすると聞いて驚きます。
腹の子に麻酔は良くないのでは?

準備をする仁の顔を見て野風は確信しました。

嘘が下手でおざんすなあ。

皆が驚いていると、野風は手術道具を床にぶちまけて、

腹を切っておくんなんし!

このまま腹を裂き、子を取り出しておくんなんし!


仁は諭します。

切るのなら 麻酔が必要になります。
その麻酔は、子供は耐えることができませ…


仁が言い終わらないうちに、野風が

ならばこのまま切ってくんなんし!!

と必死の形相で仁に懇願します。
山田純庵が痛みで死んでしまうと説明しますが、
それでも野風は続けます。

あちきは、廓の中の籠の鳥でおざんした…
行きたい所にも行けず…
会いたいお方にも会えず…

けんど、この子は違いんす。
野山を駆け回ることも、
愛しき方と…、肩を並べ歩くことも…、
何だって出来んしょう…

天かける鳥のごとく…
生きていけんしょう…

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どうか、あちきの夢を奪わないでくんなんし!!


子に托した夢のために、
麻酔をせずに腹を切ってくれと望む野風。

涙を流し仁に懇願する野風を見て、
橘咲が口を開きます。

帝王切開をいたしましょう!
大丈夫です。
女子は子を守るためなら、
どんな痛みにも耐えられまする。


咲は決意を固めています。
死んではいけないのです。
子供のために生きて、
麻酔なしの帝王切開を乗り越えなくてはなりません。

あちきは死にんせん。
この子を抱くまでは、決して死にんせん。


力を込めて泣き赤くなった眼で哀願する野風に、
仁も決心しました。

帝王切開の準備を!


皆に背を向けて精神を集中させる仁。
しかし、不安は治まりません。
彼には自信がないんです。

帝王切開は、実はほとんど やったことがないんです。

咲は少し驚きながらも、
仁の手を両の手で包み込みます。

JIN-仁- 完結編

手、そのものには触れないように…

未来さんが必ず お守りくださいます。

意外な言葉に仁は、

どうしてそんなことが分かるんですか?

彼女に尋ねます。

先生をお慕いしているからです。

未来さんは、たとえ己が消えようとも、
先生の幸せを願っておられるはずだからでございます。

野風さんと同じように…


仁の手をほどく咲。

参りましょう。

仁を手術台へと促しました…



手術が始まります。
当然、メスが皮膚に入るだけで野風は苦しみます。
皆が野風の身体を押さえつける中、
仁は腹部を正中切開…

JIN-仁- 完結編




京では仁とともに写っている写真を手に、
外に出た坂本龍馬が酒を飲んでいました。

JIN-仁- 完結編

大政奉還が正式のものとなるかの瀬戸際です。
南方仁と一緒の吉原で、仁が楼主の頭の手術をしていた時の事、
隣の部屋で野風と待っていた時の事…

気づいたら死にかけとったもんが
安らかに息をしちょったがじゃ。

ほうやき、わしは信じたぜよ。
死にかけちゅうもんのことは、先生が一番よう知っちゅう…
国も一緒じゃ。

死にかけちゅう国を生き返らせるには、
先生の言うことが一番正しいがじゃろうと信じたぜよ。




卵膜を破膜、胎児までもうすぐです。

JIN-仁- 完結編

仁は手を入れ、佐分利には麻酔の準備をさせます。
胎児を取り出し次第、直ちに野風に麻酔を掛けるためです。

左手で上腹部を圧迫、右手は胎児に。
仁が引き出した胎児を抜き取る咲…

しかし…

産声がありません…

赤ん坊は泣いてくれません…



ここまで信じる道を走ってきた龍馬でしたが、
彼には不安もありました。

けんど、これで合うちゅうかえ?
こん国は、これで生まれ変われるがかえ?
わしはまた、道を間違うたがやないかえ?

先生っ!?




咲は嬰児の両足首を掴み、逆さ吊りにし、
尻を叩きます。

泣きなさい!

泣いて!

泣きなさい!


繰り返し叩く咲。

JIN-仁- 完結編

泣け!!

すると、嬰児の口から羊水が。

元気な産声を上げ始めました。

野風の目から涙がこぼれます。
咲が赤ん坊を見せ、

野風さん、可愛らしい女子で…

と言おうとしたところで、野風の意識が失われてしまいました。

子宮から大量の出血です。

またDIC!?
思い出されるのは、旅籠の娘、初。
彼女を救えなかった時の事…

急ぎ処置をしようとすると、また"あの頭痛"に襲われる仁。

頭痛に苦しみながら、佐分利と出血点を捜す仁ですが、
ついに野風の脈は停止してしまいました。

術野は佐分利に任せ、仁は心臓マッサージに取りかかります。


それならこの子を…、抱けんすなあ…

横浜での野風の言葉。
仁は、

子供を抱くんじゃなかったんですかっ!?
歩くのを見るんじゃなかったんですかっ!?

絶対に死なないって…、
そう言ったじゃないですかっ!!

JIN-仁- 完結編

神は…
神は乗り越えられる試練しか与えないんじゃないのかぁっ!?


仁がそう叫ぶと同時に、
野風は脈と呼吸を取り戻しました…



京の龍馬にも後藤象二郎から大政奉還を報せる文が。
龍馬は感涙し、両手を広げ、夜空に向かって叫びます。

JIN-仁- 完結編

夜が明けたぜよ~!



夜が明け、眠る野風の横で、
取り上げたばかりの赤ん坊を胸に抱いているのは橘咲。

あなたはね、私の恋敵をおつくりになる方なのですよ。
わたくしとしたことが、
大変な方を取り上げてしまいました。

JIN-仁- 完結編

あなたに一つだけお願いがあるのでございますよ。
どうか、南方仁という方に…、
傷つくことが多いあの方に…、
誰よりも幸せな…、
今度は…、誰よりも幸せな未来を…、
与えて差し上げてください…



赤ん坊だけにしか聞こえない、
それが彼女の本心でした…



大政奉還から夜が明けて、
石畳で眠りこける龍馬の喉には刀の切っ先が。

JIN-仁- 完結編

東修介でした。彼は、

殺されちゃいますよ。坂本さん。

とだけ言い、刀を納めます。
そして、

もうよいですよね、兄上…




安寿 Ange

銀の匙にはそう彫られていました。
それが赤ん坊の名前です。
日本語では幸い、フランス語では天の使い。
なぜ、銀の匙をと尋ねる山田純庵に野風が、

西洋では子が一生豊かに暮らせるようにと、
誕生の祝いに、贈るそうでありんす。


と説明。
すると、南方仁は思い出します。
あの臨終を見取った病室で、友永未来が言っていた言葉を…

JIN-仁- 完結編

坂本龍馬と同じですね…
龍馬が死んだ日もたしか…

JIN-仁- 完結編

誕生日…


ついに龍馬暗殺の日付の手がかりを得た仁は、
慌てて勝海舟のところへ走ります。

勝海舟の元にも、大政奉還が報せられていました。
そして、彼の手にはその草案が。
九項からなるその草案のうち、
一から八までには心当たりがある勝でしたが、
最後の九番目には思いあたりません。

JIN-仁- 完結編

皆が等しく必要なる医療を受けられ
健やかに暮らせる保険なる仕組みをつくること


草案の九項目にはそう書かれていました。
この時代にいるはずのない南方仁の足跡が、
歴史に刻まれていきます。
坂本龍馬の手で。

歴史は変えられない訳じゃない

友、坂本龍馬を死なせる訳にはいかない。
龍馬の暗殺は阻止できるはず。

仁は勝海舟に龍馬の誕生日を尋ねます。


十一月十五日


その日まで、あとひと月…



橘恭太郎は上役に詰問されていました。
南方仁が飛脚に托した句を手にしています。
仁友堂と龍馬の繋がりを示す証拠です。


仁友堂に戻った仁は、京へ旅立とうとします。
しかし、また"あの頭痛"が…


JIN-仁- 完結編

京の町にも「ええじゃないか」が吹き荒れはじめました…











JIN-仁-

「船中九策」となりましたか。
国家の形を示している草案に、
突然、保険の項目が出てくるのも多少ヘンかなとは思いましたけれど。
原作ではシーボルトの娘であり、
日本最初の西洋医としての女医・楠本イネが登場していて、
これも未登場の絵師の娘に対し無麻酔帝王切開を行っています。
それにしても、役者さん全員が生き生きと演じられていますよね。
演者としての充実感も相当なものではないかと推察します。
それが最後まで、と期待しています。
なお、史実上の「船中八策」についてはこちらのページこちらのページを、
「大政奉還」についてはこちらのページをご覧下さい。
どちらも「龍馬伝」の時に作成したものです。

ねてしてタペ