「JIN-仁-」完結編 第7話 "永遠の愛と別れ" ストーリー書き起こし | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

「JIN-仁-」完結編 第7話 "永遠の愛と別れ" ストーリー書き起こし

病床で臨終を迎えた患者の傍らで泣いている遺族。
そして、白衣の友永未来と南方仁。
友永未来は遺族にこんなことを言っています。

JIN-仁- 完結編

坂本龍馬と同じですね。
龍馬の死んだ日もたしか…



仁は帰途の船室で夢を見ていました。
それは友永未来との記憶の一部。
そんな時、江戸で橘恭太郎は
幕府の敵、坂本龍馬の動向を探る役目を任されていました。



仁友堂に戻ってきた南方仁。
橘咲は仁の足を濯ぎながら、

JIN-仁- 完結編

彼が無事戻ってきたことを静かに喜びます。

恭太郎がやってきていました。
彼は龍馬の様子を知りたがり、
そして、世上不穏を理由に、
もう龍馬とは会わないようにと頼みます。

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恭太郎は龍馬が既に幕府の敵であること、
そして、南方仁の傍には妹・咲がいるため、
さらに自分の秘密裏に任された役目があるため、
気がかりでなりませんでした。

お忘れ下さい、と彼は仁に頼みますが、
その思い詰めた様子に仁と咲は彼の身の上を思います。


第十五代将軍・徳川慶喜。

徳川幕府最後の将軍である彼の就任に、
南方仁は坂本龍馬の死が近いのではないかと焦ります。
しかし、彼には龍馬がいつ暗殺されるのか、
それを思い出せずにいました。

大政奉還から明治になるまでの間

であることは間違いないのですが…

なんとか思いだそうとしていると、
また、"例の頭痛"に襲われました。
歴史を変えたいと考えると、必ずこの頭痛に苦しむことになります。

もしかすると、自分はこの頭痛に殺されるかもしれない、
もしも、龍馬暗殺を止めようとするならば、
もしも、歴史を変えようとするならば。


勝海舟はまた役目を解かれていました。
慶喜は薩摩、長州、宇和島に土佐を加えた「四侯会議」を開くようです。
薩長で事が進んでいたはずのところへ、
佐幕派であった土佐藩の名前が出てきたことに、
勝はその裏に龍馬の暗躍があったはずだと、
南方仁に説明しました。

南方仁には勝海舟に尋ねたいことがありました。

今は何年ですか?

勝は「慶応三年」と答えますが、
仁が求めたのは西暦でした。
西洋では何年なのかを知りたがる仁に、
なぜ、それを知りたがるのか、いぶかしがる勝。
それでも、彼は教えてくれました。

たしか、1867年だったっけな


南方仁が仁友堂に戻ると、
才谷梅太郎から手紙が届いていました。
才谷は坂本龍馬の変名です。
中には二人の写真が入っていました。

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長崎で一緒に撮った物です。
そして、写真の裏には、

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長芋の中より出でたる虫たちの
     江戸の芋にもすくいたるかな


という歌が記されていました。
仁にその意味はわかりませんでしたが、
咲は「長芋」が「長州」と「薩摩」ではないかと推察します。
つまり、薩長が江戸に巣くうと読めます。
仁は長州での戦の時に
龍馬に言った事を理解してもらえなかったのかと悲しみます。

そんな二人を門外から見ていたのは橘恭太郎。
彼は龍馬から手紙についてひと通り盗み聞きすると、
足早に去っていってしまいました。

仁に届けられた手紙はもう一通ありました。
それは野風からのもので、
幕府からの許しが出たので、
ルロンと結婚すると報せてきたのです。
彼女は仁と咲にも横浜での結婚式に出てほしいと。

その野風は寝台で左胸を押さえていますが…


夜になり、仁友堂では橘咲が疑問に思っていました。
龍馬が寄越した写真の裏の歌についてです。

仁の考えを既に知っているのに、
その考えには同調できないということを、
わざわざ書いて送りつけるとは腑に落ちないというのです。

仁は、これは自分に対して、
自分の意見が絵に描いた餅に過ぎないということを、
龍馬が教えるために寄越したのだろうと考えます。



南方仁と橘咲は横浜へ。
横浜の外国人居留地には洋館がたくさん建てられていました。

テーブルに着き、コーヒーを前にする二人。
咲にはその「黒き水」を不審がりますが、
仁はそれを懐かしそうに飲んでいました。

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咲も口を付けてみますが、
これを美味しそうに飲んでいる仁が理解出来ません。

野風とルロンが現れました。
仁と咲は祝辞を。野風は、

このような所、咲様にはおくつろげぬ所もあるやもしれんせんが
心よりもてなしさせていただきんすゆえ。


その野風の「咲様には」に引っ掛かる咲でしたが、
用意された部屋が一つだと聞き慌てます。

別々の部屋を用意してもらい、
咲は野風と二人っきりの今しかないと切り出します。

なぜ、自分だけくつろげぬやもと言ったのか、
なぜ、仁が西洋風のものに慣れていると知っていたのか、
その疑問を野風に尋ねます。

…が、野風はごまかして部屋を出て行ってしまいました。


夕食はルロンと野風、の四人で。

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咲はシャンパンを口に入れ、
口の中ではじける感覚に驚きますが、
やはり、仁はシャンパンに慣れている様子。

ルロンと野風は婚礼が済み次第、フランスで暮らす事になるようです。
その説明をしつつも、野風にはそんな事よりも、

あちきの事より、お二人にはいつ、夫婦になるおつもりで?

と、目の前の二人の今後が気になる様子。
正直に仁が説明しようとしますと、
なぜか咲がシャンパンを一気飲み。

驚く仁を横目に、続けて赤い洋酒もがぶ飲みしてしまいました。


酩酊状態の咲。
彼女に肩を貸しつつ、部屋まで送り届けようとする仁。

咲は、野風の幸せが嘘なのではないかと疑っていました。
それは二人に失礼だと仁が言うと、

では、良いのでございましょうか?
わたくしも、良いのでございましょうか?
幸せになりましても。


仁には理解出来ない言葉のようです。

目を据わらせている咲は

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わたくし、お婆になってしまいますよ。

どう返事をして良いものかわからない仁。

元々、お婆のお婆でございますよね…

そう言い終わると、廊下に倒れてしまいました。
よくわからないながら、仁は彼女を部屋まで連れて行き、
野風の所へ戻ると、
何やら診察して欲しい患者がいるとのこと。

今から診察と聞き、野風に連れられるまま、
一室へと向かいます。

部屋に入ると、突然着物を脱ぎ始め、

先生とお会いするのは、これが最後だと思いんしてな…
最後にもう一度だけ、あちきの全てを見ていただこうと思いんして。


笑顔の野風が続けた言葉は、

患者はあちきでありんす。
左側の脇の下にいくつかしこりを感じいす。


南方仁は驚きます。



触診に取りかかる仁。

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腫れて大きくなっているリンパ節が、
全て癌が転移したものだとすると、
腋窩リンパ節への転移は十箇所です。


そう説明すると、急に咳き込む野風。
野風は風邪ではないと言います。
ここのところ、空咳が続いていると…

南方仁にはわかっていました。
リンパ節転移だけではなく、
肺転移の可能性が高いことを。
しかし、説明は出来ませんでした。
いずれにせよ、細胞診が出来ない以上、
確定診断は不可能なのです。

それでも仁は謝ります。

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あの時もっと、徹底してリンパの郭清をしていれば…!
こんな事にはならなかったかも…


野風は慌てて仁の言葉を遮ります。

謝られるような事ではござりんせん!
あの時、死んでしまうはずだったあちきが、
助かったばかりか、
このような幸せな人生を送れているのでありんす。
先生には感謝しかござりんせん。


野風にそう言われても、
仁は自分を責めずにはいられませんでした。
そんな仁に野風は
どうしても尋ねなければならないことがありました。

子には…
癌の毒は…回りんすか?


野風は妊娠していたのです。
仁は癌が胎児に転移することはないと答えると、
顔を明るくする野風。
そして…

では…、では…、あちきはいつまで生きていられんしょう?

自身の余命を尋ねます。

転移性乳癌の生存率は二年で五割と言われています…

野風はその言葉にうつむき

二年…

小さく呟いた野風に仁は、

もちろん、もっと長く生きられる方もいますし、
それは一概には…


野風は仁のほうに顔を上げて、

そんなに…
二年も…


と、喜びの言葉を口にします。
仁が言葉を失っていると、野風は涙をこぼしながら、

それなら、この子を…
抱けんすな…


そして、声を詰まらせながら、

笑い顔を見ることも…
声を聞くことも…

出来んすな…

手を繋ぎ…

歩くことも…

出来るやもしれんせん…


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涙を流しながら喜ぶ野風なのでした。



そんな頃、江戸の仁友堂では不審な物音が。
その音の主は橘恭太郎のようで…

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南方仁には医師として、
告げておかねばならないことがありました。
妊娠と出産が母体に与える負担を考えれば、
医師として出産は勧められないことを。
せめて、夫には相談すべきではないかと勧めます。

しかし、野風は

けんど、治せんのでありんしょう。

と、その勧めを受け入れず、

先生、この子はあちきの夢なのでありんすよ。
あちきはこの先、そう長くは生きられせんけんど、
この子は何十年も生きていけんしょう。
この子が子を持てば、それこそ、
百年、二百年と、後の世までも、
あちきの血は流れ続けるでありんしょう。
その営みの中で、あちきは永久に生き続け、
その子の血となり肉となり、目となり…
見ることが出来んしょう…?


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と、語って聞かせます。

南方仁は

未来を?

野風の言葉に問いかける仁でしたが、
野風は微笑みを浮かべたまま、答えませんでした。


南方仁は考えます。
「歴史の修正力」が別の「友永未来」が生まれる可能性を許してくれるのかを…
歴史を変えることだとは見なさないでくれるのかを…



朝。

寝台の橘咲が目を醒ましました。
朝日に驚き、慌てて身体を起こすと、激しい頭痛が。
どうやら昨夜、酒を過ごしたためのようです。

既に野風と南方仁はテーブルに着いていました。
これから朝食のようです。
咲は仁の隣に座り、昨夜、変なことを口走らなかったかを尋ねます。
もちろん、仁は何もなかったと答えるのですが、

先生にいつ結婚して下さるのかと、
そこで叫んでおられんしたよ。


と、咲の耳元で野風。
驚く咲に、彼女は

戯れでありんす。

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と咲を安心させたかと思えば、

…というのは、戯れでありんす。

と。咲は昨夜、自分が何を言ったのかが不安でたまりません。
本当は何を言ったのかを仁に尋ねようとすると、
仁は野風が退出した扉を眺めていました。
その様子に、何かあったのかと咲は訊きます。

咲に仁は野風の病状について説明しました。

咲は仁の口から、野風がその子を夢だと考えている事、
そして、子が命を繋いでいくことで、
自分は永久に生きられると言っていたことを知ります。

咲の中にあったある疑念は、既に確信となっていました。

咲は尋ねます。
なんとか、分娩をせずに子供を取り出す方法はないものかと。

仁は帝王切開について説明しますが、
この時代の麻酔では、胎児は生きていられません。

咲はせめて仁友堂で出産させてみては、と勧めますが、
彼は、産科の経験がないため、
腕の良い産婆に任せるのが一番安全だと、
自分は出産に関わらない考えであることを明かします。

咲は気づいていました。
仁の内心の恐れを。
野風の子供に「歴史の修正力」が及ぶことを、
仁は恐れているのです。

もしも、野風さんの子供を…
目の前で死なせてしまったら…




教会での結婚式。
野風がいた鈴屋の亭主も来ていました。

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南方仁は野風とルロンを見守りながら、
彼女との出会いから、
これまでの数々の思い出を回想していました。
そして、そんな野風の夢さえも、
叶えてやれないのかと無力感に苛まれます。
そんな時、隣の橘咲が口を開きました。

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新郎新婦を見つめたままで。

野風さんの夢は叶うのではないでしょうか?

突然話し始めた咲に向き直る仁。
咲はそのまま続けます。

未来の人間である先生が歴史を変える事に対して、
歴史は、修正を加えようとするのかもしれません。
けれど、もし、これは野風さんが、
この時代の人間が、強い意志を持って、
未来を変えたいと願ったことだとしたら、
それは最早、修正される歴史ではなく、
ただの歴史なのではないでしょうか?


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理解出来ない話に仁は咲に尋ねます。
咲は、

野風さんは、おそらく、ご存じなんです。

仁のほうを向いて、さらに続けます。

先生が未来から来たということも、
先生の思い人が自分の子孫であるかもしれないということも。


咲の意外な言葉に、
あらためて、野風を見遣る仁。
咲も彼女に目線を戻します。

だから、命を懸けても生みたいんです。

もちろん、お慕いするルロンさんのお子であることもありましょう。
けれど、それだけではなく、
後の世で、先生に出会うべきお方を、野風さんは、
もう一度作って差し上げようとしておられるのではないでしょうか?

斯様な夢を握りつぶすほど、天は無慈悲ではないと、
わたくしは信じとうございます。

写真がなくなってしまったのは、
未来さんが新たに生まれ変わるという、
天の声だと。


そこまで喋り終わると、野風が咲を呼ぶ声が。

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野風が投げたブーケは、
無事に咲の手に収まりました。

仁がブーケトスの意味を説明します。

その説明に咲が決心しました。

わたくしに野風さんの子を取り上げさせてはもらえませんか?
先生には関わりのない、わたくしたちの歴史とするために。


南方仁はそんな咲を心強く思い微笑んで、

よろしくお願いします。

と、彼女に托すことにします。
そして、これまでの「友永未来」に関する全てについて、
理解することが出来た仁なのでした。



野風とルロンの前で仁と咲が説明します。
癌の再発と転移は明かさないまま、
仁友堂での出産をと申し出ます。

ルロンは野風の身体に問題があり、
もしも、そうであるならば、
無理な出産は望まない、
野風がいてくれることが何よりも大切だと、
夫としての考えを話しました。

野風は、ルロンには世話になるばかりで、
お礼も何も出来ていない、
先生方がいれば大丈夫と、
それを振り切ります。

ルロンも決意を固め、
目の前の二人に頭を下げて頼むのでした。



江戸に戻り、大吉屋に来ている南方仁と咲。
喜市が安道名津の新作、「子安道名津」を出してきました。
小さい安道名津の中に餅を入れたもののようです。

咲は「子」と聞き、野風とその子について、
あらためて肝に銘じます。

ちゃんと二人をお救いしなければならないと…

と、ここまで口に出したところで、
思い出したのが、坂本龍馬の歌でした。

長芋の中より出でたる虫たちの
     江戸の芋にもすくいたるかな


この歌の「すくい」は「巣食い」ではなく、
「救い」なのではないかと思いつきます。

…ですから、あの歌は長芋から出た虫が、
江戸を食べてしまうのではなく、
江戸を救うという意味なのではないでしょうか?


JIN-仁- 完結編

仁は龍馬の歌の真意に気づかされ、

「すくう」は「助ける」…!
わかんないですよ!
龍馬さん!


笑顔で子安道名津を口へ運びます。



仁友堂にまた龍馬からの手紙が来ていました。

戦を経ずにこの国を変える道筋を思案しているとのこと。
そして、野風のことも。

野風は真の心根を押し隠し、
嘘ばぁっかりついちょった。
けんど、大切なもんを守るためには、
野風は、嘘の鎧で固めんといかんかったがやないかと、
そんな事を思ったぜよ。

先生、わしはこれから大嘘つきになるぜよ。
先生が教えてくれた、明るい道を潰されんように、
全てを欺いて、こん道を未来へ繋いでみせるぜよ。


やはり、南方仁の思いは坂本龍馬にも伝わっていたのです。
その事実が仁を笑顔にさせます。
そして、この手紙を文箱に収めようとしたその時、
文箱からなくなっているものに気づきます。

あの歌が書かれた龍馬と仁が写っている写真です。

その事実は、この仁友堂が何者かに目を付けられている事を示しています。



橘恭太郎。
彼は上役に何かを報告していました。



南方仁。
彼は勝海舟から、
「あれを仕掛けるつもりなのかもしんねえな」と聞いていました。



坂本龍馬。
四侯会議から倒幕に加わるわけでもなく、
山内容堂が土佐に引き上げてしまったことに、
後藤象二郎は焦っていました。
このまま薩長が倒幕の勅許を得たならば、
薩長が官軍、幕府は賊軍、
そして土佐も朝敵の汚名を着て戦うことになると龍馬が話します。
後藤象二郎は龍馬に食ってかかります。

JIN-仁- 完結編

何か策はないのかと。

その龍馬には一つの策がありました。



勝海舟にはわかっていました。
それが大政奉還であることを。

南方仁は焦ります。
大政奉還が成れば龍馬は…。

死神が龍馬の間近に迫っています。



坂本龍馬と同じですね。
龍馬の死んだ日もたしか…


JIN-仁- 完結編

夢で見た、
記憶の中の友永未来のあの言葉は…?





JIN-仁-

少なくとも、現代の私たちはこの南方仁よりは、
坂本龍馬暗殺について少しは知っていて、
大政奉還により突然倒幕の梯子を外されたことが
要因になっているかもしれないことも知っている訳です。
先週の第二次長州征伐の時に、仁が龍馬に戦を否定してみせなければ、
龍馬はあのまま倒幕路線を突き進んでいたのでしょうか?
ところで、今回は龍馬の歌が出てきましたね。
「龍馬伝」の時には、
坂本龍馬の歌について調べてみたいと思っていましたが、
すっかりと忘れていました。
あまりいい資料が見つからなくて、それっきりです。
この時代の侍の割に、龍馬は多数の歌を詠んでいます。
今回、歌を仁へのメッセージとしたのは、
そのあたりの史実からの着想かもしれませんね。


ねてしてタペ