「JIN-仁-」完結編 第5話 "消えた体の謎" ストーリー書き起こし | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

「JIN-仁-」完結編 第5話 "消えた体の謎" ストーリー書き起こし

川越からの帰途、大怪我をした旅籠の娘、初の手術中、
突然、"例の頭痛"襲われた南方仁。

みるみる彼の手は見えなくなっていき、
ついには、目の前にいる助手の橘咲にも、
仁の姿は全く見えなくなってしまっていました。


仁の意識は…未来へ?


初という娘と、南方姓の男が結婚しようとしている…?

やはり、初は俺の先祖なのか?
そして、この男も?

アスファルトと電柱の町…?
現代?

あの家の表札には…「南方」?

家から少年が…俺なのか?
顔は…違う、俺じゃない。

手提げ袋の名前は…「南方仁」?

JIN-仁- 完結編

俺じゃない俺?

お初ちゃんが成長して結婚すると、
俺じゃない俺が生まれるということなのか…?


南方仁の意識が時空を彷徨っている頃、
初の術野から大量の出血が。
仁が戻らないことには、彼女の命が。

そこへ初と咲の前に姿を現す仁。
初の大量出血を見て驚きます。

JIN-仁- 完結編

DIC?

慌てて術野に布を押し込み、
心臓マッサージを繰り返しますが…

初の命は失われてしまいました…


もしも、初の命が助かり、仁が見た未来の姿になるとすれば、
別の「南方仁」が生まれ、
この「南方仁」は生まれないということでしょうか?

初は死にました。
南方仁は考えます。
自分は、彼女の命と引き替えに生まれてくる人間なのかもしれない、と。

そうでなければ、
あり得ない急性DIC(播種性血管内凝固症候群/
全身血管内の持続的かつ過剰な血液凝固により、
血小板や凝固因子が使い果たされ、出血が制御出来なくなる)
の説明がつきません。

自分がここに来なければ、
あの子は死なずに済んだのでは?

もしかすると、この時代で自分は誰一人助けてはいないのでは?

自分が関わらなくても生き続けた人は生き続け、
死ぬべき人は死んでいっただけかもしれない、
仁は考えます。



仁友堂に戻った南方仁は、
京・伏見で坂本龍馬が襲われたことを知ります。
仁はそれが自分も知っている「寺田屋事件」だとわかりました。

自分とは関わりなく、歴史は進んでいき、
坂本龍馬は暗殺される…
もしも、自分が龍馬を助けられたとしても、
それはほんの束の間の延命に過ぎないのではないだろうか?

自分が何をしようと、歴史は定められたとおりに進んでいく。
「歴史の修正力」には逆らえないのではないか?

だとすれば、南方仁はなぜこの時代に送られてきたのか…?

佐久間象山が遺した医療用ネットを手に、
仁が考え込んでいると、
扉が開き、そこには歌舞伎役者・三代目澤村田之助が。


田之助は兄弟子、坂東吉十郎(大和屋)を診て欲しいと、
浅草・守田座まで仁と咲を連れていきます。

吉十郎は鉛中毒でした。

JIN-仁- 完結編

鉛が体内に蓄積することで、神経や内臓、
関節などの痛みと障害を引き起こす中毒症状です。

当時は、白粉に鉛(白色顔料、鉛白)が使われていたとか。

仁は風呂場を見て、白粉を落とす時に、
湯気と一緒に吸い込んでしまったのかもしれないと考えていると、
一人の少年が。彼は吉十郎の息子・与吉だそうです。

JIN-仁- 完結編

仁は吉十郎を助けるためには、
手足の切断しかないと田之助に説明します。

他に方法はないのか、
せめて来月の舞台に上げる方法はないのかと問う田之助。
来月には「寿曽我対面」で

JIN-仁- 完結編

道化役「朝比奈三郎義秀」を演じるのが吉十郎最後の望み。
それを叶えさせてやりたいと田之助は仁に迫りますが、
吉十郎の手足は既に神経が麻痺しており、
立つことさえ出来ません。
そんな状態で舞台なんて無理に決まっています。
この時代には、重金属を排出させるためのキレート剤はないのです。
無理だという南方仁に、

それでも医者なのかい!?
無理無理言うだけなら誰だって出来らあ!!

JIN-仁- 完結編

無理一つ通せねえで何が医者先生様だ!!
そんだったらやめちめえ!!


澤村田之助は怒鳴ります。

咲は仁を庇いますが、
仁は吉十郎を仁友堂で養生させることを決意します。


壊疽部分の感染症にペニシリンを、
鉛中毒によるカルシウム不足を石灰から作った塩化カルシウムで補い、
ビタミンCやミネラルも食事から摂らせます。

JIN-仁- 完結編



症状に改善が見られました。
塩化カルシウムは有効なようです。

しかし、根本的には鉛を排出させなくてはなりません。
キレーション療法が不可能ならば、本草学に頼る他ありません。
本道の福田玄孝は様々な生薬を提案、
南方仁は、それをネズミで実験します。



坂東吉十郎の容態はさらに好転していました。
これならば、舞台に立てるかもしれません。
佐分利祐介が息子の与吉にそう言うと、
彼はなぜか部屋を出て行ってしまいました。

咲が庭で与吉を見つけます。
石を前に何かをしているようでしたが…?


吉十郎は立ち上がれるようになっていました。

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塩化カルシウムと食事療法が劇的に効果を上げたようです。

しかし、南方仁は喜べませんでした。
上手くいき過ぎている、
何かがおかしいのではないかと思えるぐらいに。

南方仁は焦っているようでした。
川越から戻ってきて、ろくに休んでいないらしく、
「歴史の修正力」に打ち勝ち、
吉十郎を完全に直してみせるとのめり込んでいたのです。

福田にはもっと良い生薬はないものかと迫ります。
焦り続ける仁。

咲はそんな彼を心配していました。

延命だけではいけないのですか?
全ての医術は所詮、
延命にしかすぎぬのではございませぬか?
未来が如何に進んだ世かは存じませぬが、
人はやはり死ぬのでございましょう?


その咲の問いかけに

JIN-仁- 完結編

仁には答えられませんでした。

勝つの負けるのおっしゃいますが、
吉十郎さんを鉛中毒から完璧に救え、
70まで生き延びさせたとしても、
先生がここに来なければ、
そもそもそういう定めであったという考えからすると、
それとて勝ったということには
ならぬのではございませぬか?


咲のこの言葉に間違いはありませんでした。
しかし、仁の無力感は拭えないままです。

じゃあ…、私は何のために、
ここに送られてきたんでしょうか?


仁のその問いかけに

JIN-仁- 完結編

咲には答えられませんでした。


大きな物音が聞こえました。
吉十郎の部屋のようです。
慌てて駆けつけてみると、吉十郎が与吉を殴りつけていました。

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吉十郎が与吉が本を捨てたと言います。
今度の舞台の「寿曽我対面」の台本です。

与吉は父を心配して、
舞台に上がって欲しくなかったのでしょうか?
父・吉十郎は自分が憎くて本を捨てたんだと決めつけていますが…

稽古に入る坂東吉十郎。

しかし、左足先からは出血、
稽古を続けられなくなってしまいます。


舞台に上がることを断念させるべきだと、
南方仁は澤村田之助に告げます。

舞台に立つ前に命を落としてしまうこともあり得るのに、
なぜ、舞台にこだわるのか、仁にはそれがわかりませんでした。

田之助は仁に口止めした上で、
彼の身の上を話し始めました。

役者馬鹿の吉十郎は、飲む、打つ、買うを繰り返し、
面倒だからと、妻と息子・与吉を追い出してしまっていました。
その妻が男を作り、与吉は父の元へ戻らざるを得なかったのです。
その頃には既に吉十郎は病の身で、
自分の余命を考え、
与吉に躍起となって芝居を叩き込もうとしました。

しかし、与吉は強情にも稽古をしようとしません。
芸のために自分と母を捨てた父、
その父から芸を教わることに納得出来なかったのでしょうか。
吉十郎は与吉に手を上げるようになり、
与吉も吉十郎に口を利かなくなったそうです。

それを見かねた田之助は、床の吉十郎に、
与吉をどこかに奉公に出してみてはと勧めました。
すると、吉十郎は、

田之助…与吉に俺の芝居を見しちゃやれねえだろうか?
一日だけでいい、朝比奈をやらしてもらえねえかって、
座頭に頼んじゃくれねえか?


田之助はこんな状態では客の前には出せない、
無理だと断ります。

俺が与吉に残してやれるもんは、
もうそれしかねえんだよ

俺は人間のクズだ。
恨まれて当然だ。
今さら謝って許してもらおうと思っちゃいねえし、
そんな臭え芝居なんて出来ねえよ。

けどよ、俺が全てを注いだ芸だけは、
見せてやりてえんだよ。

今のままじゃよ、
あいつ、クズの親父から生まれてきたんだと思って、
生きていくしかねえだろうよ。

けどよ、そのクズにもたったひとつだけでも、
取り柄があったって思えりゃ、
生きていくのも、ちっとはましになるってもんじゃねえか?

JIN-仁- 完結編

田之助…後生だ…
田之助…



仁に説明を続ける田之助。

兄さんにとっちゃ、手足を切って
生き長らえることは大して値打ちがないのさ。


彼は続けて仁に尋ねます。

先生、命の値打ちってのは
長さだけなのかい?


JIN-仁- 完結編


その田之助の言葉に、自分の感情に振り回され、
患者を診ることが出来ていなかったことに気づかされた南方仁なのでした。

反省する仁に咲は、

先生がここに送られてきた目的は、
一人一人の命を救うこととは
違うものなのではないでしょうか?


その言葉の意味を理解出来ない仁。

もっと大きな、一人一人の世の営みを超えたもののため…
と言いますか…、何とは言えぬのですが…


と、咲にも上手く説明出来ないようです。


福田玄孝は坂東吉十郎のために新たな薬を調合していました。
必死の稽古を続ける吉十郎、
稽古が終われば床に倒れ込む彼のために、
仁友堂の皆で治療を続けます。

そして、咲は稽古場の父を、
陰から見ている佐吉の姿を見つけるのでした。


仁は膝と足首の関節用サポーターを作りました。
そして、咲は佐吉が隠した台本を見つけ…


芝居当日、佐吉の姿は見えません。
咲は彼を捜し当てますが、そんな時、
吉十郎が転倒、咲は佐吉の手を引き急いで吉十郎の所へ急ぎます。

吉十郎が立てません。

座頭は何が起こるかわからない役者を客前には出せないと
吉十郎を舞台に上げないつもりのようです。

澤村田之助は、そんな吉十郎の姿に、

いいじゃねえか、動けなくなったって。
血反吐吐いて倒れたって、
それが最高に傾いた芝居に見せれりゃいいだけの話だろ!


南方仁には策がありました。
それに懸けてみることにします。

…が、吉十郎の容態はさらに悪化、
意識不明瞭、痙攣が止まりません。

部屋へ吉十郎を運び込みます。
すると、目を開ける吉十郎…?

傾いた芝居だったろ?
やっぱりよ、芝居は俺だけのもんじゃねえもんな…


吉十郎の枕元に、佐吉が来ていました。

幕が開きます。

始まっちまったな…
ちきしょう…
もうちょっとだったのにな…



諦め嘆く吉十郎に、最後の秘策を授ける仁。

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立てなくなった時のために作ったもののようです。
それがサポーターでした。


咲は佐吉に台本を差し出し、

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本当は、吉十郎さんが
お芝居のことばかり考えてるのが悔しくて…
だからこんなことしたんでしょ?


と尋ねます。

立ち上がった父を振り仰ぐ佐吉。
咲は続けます。

死にそうになっていても、与吉ちゃんにはひと言もなしに
お芝居のことばかりで、非道いお父っつぁんよね。

だけどほんとは言いたかったこと、たくさんあって、
でも、素直に言えなくなってただけじゃないかな?
与吉ちゃんと同じように。

お父っつぁん、
今、与吉ちゃんに話しかけようとしてるんじゃないかな?


また倒れ込む吉十郎。

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父のその姿に佐吉は…小声で…

やまとや…

息子へと顔を上げる父。

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佐吉は涙を流しながら…大声で…

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大和屋!!

息子のその掛け声に、

あいすまぁぬ!

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再び立ち上がる父・坂東吉十郎は

ああっ、あいすまぁぬ!
よきぃちぃ~!


大芝居で魅せていました。

さらば~!

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と見得を切り、これが彼の最後の芝居となりました…


南方仁は、命の意味を考えました。
これが延命でなく、
もしかすると、命を縮めることになったかもしれません。
しかし、長い短いではない、
残された命の時間を輝かせることに、
医療の意味があるのではないか、
今更ながらに気づかされた仁なのでした。

佐吉は澤村田之助に教えを請います。
歌舞伎の世界へ、父の芸道を歩む決意をしたようです。

南方仁も考えます。

世代を超え、受け継がれていく芸のように、
世の営みを超えていくもの、
「歴史の修正力」に抗えるものを…
俺も残したい…


仁友堂では引き続きペニシリンの粉末化に挑んでいましたが、
良い結果は得られないままでした。
咲は消毒用のアルコールを作ろうと、
高濃度アルコールに蒸留水を混ぜようとしますが、
誤ってペニシリンを入れてしまったようです。

JIN-仁- 完結編

すると、高濃度アルコールの脱水作用で、
ペニシリンが結晶化し、
これでペニシリンの粉末が取り出せる…!


坂本龍馬は手紙で、
ペニシリンを亀山社中で扱えないかと尋ねてきました。

南方仁は考え込み、ここで龍馬と関わることが、
仁友堂の災いとなるのではないかと心配します。

そんな仁に咲は何のためのペニシリン粉末化かと問います。

ここで行かずにして、
どこで行くのでございますか?
これは仁友堂の使命でございます。


彼女のその言葉に、龍馬の元へ向かう決意をする仁。
いつもの丘で、救えなかった少女・初の紙飛行機を空に飛ばすのでした。

JIN-仁- 完結編



JIN-仁-


例の如く、あらすじではないストーリー書き起こしです。
先週凄かった内野龍馬の出番がほとんどなかったぶん、
吹越満さんがこれまた凄まじい芝居の連続で。
大筋は原作にもある話なんですけれど、
上手くドラマ向けに翻案してありましたね。
原作では、坂東吉十郎は最後の舞台に立っているんですよね。
ドラマ版では、息子のための見得が見事でした。
それにしても、この話が採用されるとは思いませんでした。
比較的、ドラマ版は歴史的描写に
時間を割いていると思っていましたので、
人情を描いたこのエピソードで、
命と医療の意味を考えさせるとは意外でした。


ねてしてタペ