『 難しい問題? 』 | 学力の創造と向上 高校・大学受験は通過点

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学力の創造と向上において
何が必要か・何が障害になるのか
などについて考えます
  さらに、必要なものをいろいろ提供してゆきます 

        『 難しい問題? 』 

補講の「中3数1学期中間模擬テスト」に掲載した ( 問題 ) の解答です。
この
 ( 問題 ) は、中3数学の内容を扱うことができるだけでは、解けません。
解答するには、高1数学の内容を扱う必要があります。
まず、高1内容の 問題1 を解きます。

問題1 ( x+1 )( x+2 )( x+3 )( x+4 ) を展開しなさい。

2項式×2項式×2項式×2項式 だから、
はじめに、2×2 と 2×2 で 8 回 かけ算して計算すると、3項式×3項式になる。
つぎに、3×3 で 9回 かけ算して同類項の計算すれば答えは出ます。

しかし、次の 問題2 を解くためには、少し工夫しなければなりません。
{最初の2項式}と{どの2項式}のかけ算をするのかは、
たして+5 になる(2回目と3回目を計算して+5x になる)ことが決めます。

  ( x+1 )( x+4 )( x+2 )( x+3 )    
2項式×2項式×2項式×2項式

 =   ( x²+5x+4 )( x²+5x+6 )      3
項式×3項式 (共通部分 x²+5x を作った)

 = { ( x²+5x )+4 }{ ( x²+5x )+6 }   
2項式×2項式

 = 
( x²+5x )²+10 ( x²+5x )+24    括弧の2乗(2項式の2乗)、括弧の1乗、定数

 = x⁴+10x³+25x²+10x²+50x+24   (2乗、積の2倍、2乗)

 = 
x⁴+10x³+35x²+50x+24   (答え)

 練習1
 ( x-1 )( x-3 )( x-5 )( x-7 ) を展開しなさい。

    (答え) x⁴-16x³+86x²-176x+105

    導出過程を大切にしてください。 

問題2
 ( x+1 )( x+2 )( x+3 )( x+4 )+1 を因数分解しなさい。

    ( x+1 )( x+2 )( x+3 )( x+4 )+1

 =   ( x²+5x+4 )( x²+5x+6 )
+1

 = { ( x²+5x )+4 }{ ( x²+5x )+6 }
+1

 = 
( x²+5x )²+10 ( x²+5x )+24+1

 =
 ( x²+5x )²+10 ( x²+5x )+25         2乗、積の2倍、2乗
 
 = { ( 
x²+5x )+5 }²                  2項式の2乗

 =  (
 x²+5x+5 )² (答え)

 練習2
 ( x-1 )( x-3 )( x-5 )( x-7 )+16 を因数分解しなさい。

    (答え) ( x²-8x+11)²

    導出過程を大切にしてください。


( 問題 )
 連続した4つの自然数の積に1を加えた数は、ある数の2乗になる。

    (例)  1×2×3×4+1 =  25 =  5²
         2×3×4×5+1 = 121 = 11²
         3×
4×5×6+1 = 361 = 19²
                  ・
                  ・
                  ・
 次の問いに答えなさい。
[1] もっとも小さい自然数を n とするとき、他の3つの自然数を n を使って表しなさい。
[2] 68×69×70×71+1 は、どんな数の2乗になりますか。
[3] もっとも小さい自然数をを n として、
   「
連続した4つの自然数の積に1を加えた数は、ある数の2乗になる。」ことを証明しなさい。


( 問題 )の解答
[1] 
もっとも小さい自然数を n とするとき、
       他の3つの自然数は n+1 , n+2 , n+3 です。 


[1] [2] [3] 間の関係を理解、判断しないで、順番どおりに取り組むと苦労します。

[1] [2] [3] ・・・と順に解くというルーチンワークでは、テスト・試験時間内に
解くことが難しくなるように問題や小問を配置しているものもあります。

それでもあえて [1] に続いて [2] に取り組んでみます。

[2]  68×69×70×71+1 をとりあえず計算すると 23319241 になります。 
      これがどんな数の2乗なのか求めるのですが。さてどのように求めましょうか。
   少しずつ答えをしぼり込んでゆきましょう。


      1×1=1      と       9×9=81 より                   1桁×1桁は、高々2桁である。
   10×10=100    と     99×99=9801 より         2桁×2桁は、高々4桁である。
100×100=10000 と 999×999=998001より                3桁×3桁は、高々6桁である。

 23319241は8桁ですから、4桁の数を考えます。

   見やすいように、23|31|92|41 と2つずつ区切ります。

 
近そうに思われる数を2乗してみる。
千の位の数をきめる

   まず、5000の2乗は25|00|00|00
   次に、4000の2乗は16|00|00|00 

  よって、5000に
近い4000台の数だとわかりました。

百の位の数をきめる

                 4800の2乗は23|04|00|00
           4900の2乗は
24|01|00|00

      よって、4800に
近い4800台の数だとわかりました。


十の位の数をきめる

                   4820の2乗は23|23|24|00
              
4830の2乗は23|32|89|00

         よって、4830に
近い4820台の数だとわかりました。


一の位の数をきめる
       {2乗して1の位の数が1になる数}の1の位の数は1か9です。
          4829の2乗は23|31|92|41   (一致した!)
                  
          以上より、(答え)4829
   
 高校生でもほとんど解けないでしょう。中学生ならなおさらですね。

しかし、このように答えをしぼり込んでゆく姿勢は、
国公立大学の2次試験では、とても重要です。
( たとえ (答え) にたどり着けなくても、
 解答が記述式なら、解答への
導出過程に対して部分点がうまれる場合があります。)

あきらめず、必要に応じて、その時点での自分の持てる能力を総動員する姿勢は大切です。

「 開平(法) 」については、インターネットなどを使って調べてください。
開平(法)が使えれば、中学生でもこの小問[2]を短時間で解答できます。
また、次の単元「平方根」に出てくる √2  ( ルート2 ) などの無理数の近似値を
求めること・確認することができます。

[3] 
[1]の解答より
  n ( n+1 )( n+2 )( n+3 )+1
= 
n ( n+3 )( n+1 )( n+2 )+1
= ( n²+3n )( n²+3n+2 )+1        
(共通部分 n²+3n を作った)
= 
( n²+3n ){ ( n²+3n )+2 }+1
= 
( n²+3n )+2( n²+3n )+1
={ 
( n²+3n )+1 }²
= 
( n²+3n+1 )²
よって、連続した4つの自然数の積に1を加えた数は、ある数の2乗になる。(証明おわり)

[2] 
[3]より
 n ( n+1 )( n+2 )( n+3 )+1 = ( n²+3n+1 )² だから、

   n = 68 を代入すると

     68×69×70×71+1 = ( 68²+3・68+1 )²
                     =  { ( 70-2 )²+204+1 }²
                     =  ( 4900-280+4+204+1 )²
                     =  4829²
                                        (答え)4829

解法を一つでも多く知っていることは、大切です。
しかし、もっと大切なことは、解法を知っている状態にどのようにして至ったのか、
つまり知識習得のプロセスです。知っていることは、使わないと忘れますが、
知識習得のプロセスは、人それぞれさまざま程度で確立されるものですから。
知識習得のプロセスは、
{丸覚えという行為} から {判断・操作して獲得するという行為} まで
程度差をもって確立されます。
そして、
その確立されたものは、ほぼ一生にわたって、
その
人と知識との関係を決定してしまうことになります。
小中高と学年が進むにしたがい、教科内容における知識量は増える一方です。
{丸覚え}は、やがてある時点で、「もう覚えられない」という状態を生むでしょう。

知識によって養われた能力が、学力です。
{丸覚えという行為}では、テストが終わると覚えたことをほとんど忘れます。
学力を支える知識が失われるのですから、
ヘタをすると学力を破壊します。
学力テスト・学力試験のたびに、それに対して必要な知識を暗記し、
テスト・試験終了のたびに、不要になった知識を捨てる。(負の取捨選択)
つまり、
テスト・試験のたびに、学力を破壊することに。
知識は単独では存在しません。知識体系と共に存在するのです。
この点をおさえて、知識習得していかなければなりません。