シャワーを壁のフックに掛けて、頭を洗っている。
  そして、お湯を出そうと思って蛇口をひねると、お湯は勢いよく飛び出し
  てくる。
  そうすると、最初は自分の方を向いていたシャワーヘッドが、水の勢いで
  向きが勝手に変わってしまう。
  シャワーヘッドの引っ掛かる部分とフックの部分が金属でできていて、そ
  れで、よく滑って空回りしてしまうのである。

  頭を洗って、シャンプーの泡でいっぱいになって、目が開けられないよう
  なときに、それは起きてしまって、とても困るのだ。

  そこで僕は、シャワーヘッドに輪ゴムをまいて、すべり止めのようにして
  左右に回ってしまわないようにした。
  最初は調子よかったが、忘れたころに輪ゴムが切れてしまい、結局、この
  アイデアではだめだった。

  そんなときにあるメーカから、シリコンゴム付きのフックが発売された。
  さっそく使ってみると、なかなか調子よく、快適な毎日を過ごしていた。
  そんなある日、「塩素除去ができるシャワーヘッド」が発売されたので
  さっそく買ってきて、使ってみると、また滑ってしまってうまくいかない。
  フックのシリコンとシャワーヘッドのプラスティックが滑るのか、くるく
  ると回ってしまうのだ。

  そんなことで悩んでいる間に、僕は引っ越しすることになり、新しい住ま
  いに引っ越してきたのだった。
  新しい住まいのお風呂はユニットバスになっていて、何もかも新しくて快
  適だった。

  そのお風呂のシャワーは、ヘッドにもフックにも細かいギザギザがついて
  いて、一度差し込むと、それらが「がっちり」とかみ合って、どんなに勢
  いよくお湯を出したとしても、微動だにもしないのである。

  そこで、僕はこのシャワーにあった「塩素除去シャワーヘッド」を買いに
  行った。
  そこには、色々な種類のシャワーヘッドが並んでいた。
  やっぱり各社とも滑ってしまのを気にしているのか、材料や色々な工夫し
  て、滑らないようにしている。
  「シリコン付き」や「滑りにくいゴム」「形状が丸くないもの」など色々
  あった。
  僕はその中で家の「シャワーヘッド」と同じ「ぎざぎざ付き」を買った。

  さっそく使ってみると、「ぎざぎざ」の角度や個数が違うのか、そのぎざ
  ぎざは、お互いに引っ掛かることなく、「かたかたかた」と滑ってしまい、
  まったく役に立っていない。

  僕がどんなに一生懸命工夫しても、うまくいかない。
  また、メーカーが、それぞれに工夫しても、同じメーカ同士だとうまくい
  くのだが、シャワーヘッドを取り替えたりして、メーカーが異なると、う
  まくいかなかったりするのだ。

  結局「なんだかうまくいかないものだなぁ~」と嘆いていた。


  そんな時「シャワーヘッド協会」という団体が、統一規格を打ち出してき
  た。

  今までに販売されたシャワーヘッドのギザギザを研究した結果、ある個数
  のギザギザを同じ角度で作れば、これまでのものにも、かなり対応できる
  し、各メーカーがそれぞれ勝手に作っても、その規格さえ守っていれば、
  メーカーが違っいても、製品が違っいても、生産国が違っいても、ギザギ
  ザがちゃんと噛み合うことができるのだそうだ。

  これは、別に材料代がかかることでも何でもなく、作るときに、ただ、規
  格通りに作れば、すべてがうまくいく。
  購入する方も悩まなくていいし、生産側もコストがかかるわけじゃない。

  僕は、さっそくその規格にあったギザギザの付いたシャワーヘッドとフッ
  クに取り換えてみた。「なるほど、ちゃんとしっくりとかみ合っている。」

  これで、今後どんなに新しいシャワーヘッドが売り出されても、安心して
  購入できるし、もう悩まなくてもいいと思った。

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  エコロジーや環境問題について話合う機会があったとき、僕は、こんなこ
  とを言ってしまって反感を買うことがある。
  「消費者のひとりひとりが気をつけたって、根本的解決にはならないから、
  みんなで話し合ってもムダだよ。もっと別の方法で、根本的解決をしなけ
  ればダメだよ。」

  でも、それにはこんな意味が含まれている。
  素人が集まって、話し合いをして、その結果、色々な工夫を考えて、努力
  しながら、苦労をしながら生活して、また、エコロジーのために、労働力
  を提供したりするような方法では、すべての人が行うことは難しく、また、
  長く続けるのも難しい。

  だから、専門家やプロフェッショナルな人たちにお願いして、毎日毎日そ
  のことばかり考えていただいて研究をし、何か根本的に問題を解決するよ
  うなしかけやしくみ、システムなどを考えて欲しなぁと思うわけです。

  そして、メーカはその規格を守って生産を行い、消費者は、それを知らな
  いうちに使っている。
  それは、苦労したり、我慢したり、工夫したりして使うのではなく、何気
  なく使えて、楽しくて、ラクチンで、だけど、使えば使うほど、それが自
  然と環境改善になり、結果的に、問題解決になっていく、しかも、それは
  知らないうちに、世界標準リサイクルシステムのものを使っていたりする
  というようなシステムを提供することこそ、本当の意味でのエコロジーや
  環境改善になるのではないかと思う。


  ※このコラムはフィクションです。出てくる団体名などは、実在するも
   のではありません。