昨年前任者から引き継いだ業務の中に

説明会で人前に立って話すという役目が含まれていました。
これは自分にとってはなかなか荷が重いもので

受け取った当初からずっと心のどこかに引っかかっていたのですが

今回とうとうその日程が決まり逃れられない現実になりました。

人前で話すことは昔から得意ではなく

できれば避けて通りたい類のものです。

それに加えて内容についても完全に理解できているとは言いがたく

日常業務でも調べながらなんとか対応しているような状態です。

自分の中に落とし込んで人に伝えられるようになるには

まだまだ時間がかかる気がしていました。

だからこそ説明会が近づいてくるこの1か月はずっと気が重く、

準備しなければいけないとわかっていながらも

どうにも気持ちが動かずにいました。

焦りと憂うつが入り混じって考えるだけで気分が沈んでいくのです

それでも日程は待ってくれません。

さすがにもう先延ばしできないというところまできて

ようやく重い腰を上げることにしました。

ただ・・・いざ準備に取りかかってみたものの、

残されていた資料は不十分で当日の流れや説明の中身が見えてこず

戸惑いばかり。むしろ不安が増してしまいました。

未熟な私は自分の心の中で

「なぜきちんと引き継いでもらえなかったのか」という苛立ちと

「自分が理解できていない、できそうにない」という焦りが

黒くぐるぐると回っていました。

しばらくその感情から抜け出せず、先延ばしできない時期でありながら

何日か停滞してしまいました。

今思えば、追い込まれた状況で少し感情的になっていました。

けれども結局やらなければならないのは自分です。

誰かが代わってくれるわけでもないし当日が来れば

壇上に立たなくてはなりません。

それが現実だと腹をくくった瞬間から少しずつですが

前を向けるようになりました。

残された手がかりをもとに想像力を総動員して流れを組み立て、

なんとか持ち時間の120分を形にしていきました。

原稿も書きました。

緊張しやすい私にとってはこれがないとなんともなりません。

参考になりそうな動画も挟みながら話の間を取る工夫もしました。

会議室で声を出して何度もリハーサルをし、本番を迎えたその日。

無事に終えることができ、あの長くて重かった1か月から

ようやく解放されました。

終わってみればあんなにも不安だった時間も

どこかで必要な過程だったのかなと思えてきます。

思い通りにいかない状況の中で自分なりに向き合い、

工夫しながら進めていくしかなかったこと。

言い訳もできない場所に自分が立たされたことで

逃げずにやりきるという選択肢しかなかったこと。

それが逆に良かったのかもしれません。

崖っぷちに立たされたようなあの感覚は決して

気持ちのいいものではなかったし、

何度も経験したくないことですが

ああいう時間を過ごしたからこそ自分の中にも

少しは踏ん張る力が残っていたことに気づけたように

思います。