この本のタイトルを見たとき、
「ほど良く頑張るってことかな?」とそんなふうに思いました。
がむしゃらに頑張れない自分へのヒントになるかもしれない。
そんな期待を抱いて手に取った一冊でした。
でも表紙の小さな文字に目をやると
“ノイズに邪魔されず一日を積み上げる思考”
というサブタイトルが。
あれ?思ってたのとちょっと違うかも…と
少し戸惑いながら読み始めました。
冒頭に書かれていたのは、こんな言葉でした。
「そろそろ本気を出したい。けど、それがかっこ悪いのもわかっている。
そんな複雑な感情を抱えるあなたへ」
この一文に少し引き込まれました。
本書は“新しい時代にどのように日常を過ごしていくべきか”
を考えるためのガイドブック。
そんなふうに紹介されていました。
「がんばらなくていい」という言葉も飛び交うようになった昨今ですが
本当に頑張らなくていいのだろうか?
コロナ禍の間に自分の人生を見つめ直して
静かにコツコツと積み上げていた人たちが
今確実に前に進んでいるのを目にすることがあります。
あの「がんばらなくていいよ」という言葉を
そのまま信じて立ち止まっていた人が
置いてけぼりになってしまっているような感覚。
そんな空気もどこかにある気がしています。
情報の受け取り方も昔とは変わりました。
テレビや新聞だけでなくSNSやアルゴリズムによって
自分が見たいものだけが届く時代です。
正解がどこにあるのかますます見えにくくなっている中で
「何かを頑張りたい」と思ったとき
何をよりどころにすればいいのか迷ってしまうのも
無理はないのかもしれません。
この本はそんな時代に生きる私たちに向けて
“一人ひとりに合った頑張り方”を提案してくれているように感じました。
誰かの真似をして、同じように成功するわけではない。
努力・運・才能の関係を知ること。
一足飛びの成功なんてやっぱりどの時代にもない。
今、輝いている人たちも
何もせずにそこに立っているわけではないということを
改めて気づかされる内容でした。
印象的だったのは
井上尚弥さん、大谷翔平さん、藤井聡太さんの例。
彼らが目指しているのはタイトルや優勝といった“結果”ではなく
「なりたい自分」に向かって
ただひたすらに自分と向き合い続けているということ。
本当の目標は「なりたい自分」に近づくことだということ。
周りの評価に浮かれることなく
コツコツと、淡々と、黙々と、自分自身との対話を重ねながら
積み上げていく、そこに集中している姿。
こうした姿勢こそが著者の言う「ゆるストイック」なのだと
読んでいて腑に落ちました。
“ゆるさ”とは、怠けることではなく、柔軟さのことを指していたのでした。
この視点も私の思い込みをいい意味で裏切ってくれました。
読み終えてみて
「ほど良く頑張るヒントがほしい」と思っていた自分の期待は
ちょっと甘かったなと背筋が伸びる思いがしました。
トライの回数が多いからこそ成功につながる。
うだうだしていないでやっぱり挑戦は続けなきゃいけない。
それが“運”を引き寄せることにもなる。
完璧を目指さなくても、80%で十分。
頼れる人を複数持つことも大事なこと。
そして、こんな言葉にドキッとさせられました。
「正しさのない、多様化している時代の中で
自分と相手のどちらが正しいのか論破に時間や労力を割いて
疲弊してしまっている人と
黙々と自分の人生に集中している人では差がついてしまうのは明らか」
この一文に出会ったとき
「ああ、私は差をつけられてしまう側になっているかもしれない」
そんな痛みとともに胸に響きました。
もしかしたら、の本はもっと若い世代に向けたものなのかもしれません。
でも、0代の私にとっても
“ゆるく”参考にできることがたくさんありました。
モヤモヤする日があっても
また頑張ろうと思えたらそれでいい。
そんなふうに思わせてくれる一冊でした。