お店の中を歩いていてふと傘売り場の前を通りました。

梅雨を前にしたこの時期、きっと一番賑わう季節の

ひとつなのだと思います。

色鉛筆のようにきれいに並べられた傘たちを眺めていると

それだけで少し気持ちが明るくなります。

ひとつひとつ手に取るわけでもないのに視線だけで楽しめる

あのカラフルな景色。

機能的なもの、デザインにこだわったもの、

最近は本当にいろんな傘があるんだなあと感心しながら足を止めました。

そういえば長いこと私は長傘を買っていません。

今使っているのは折りたたみ式の日傘兼用の傘です。

軽くて小さくてカバンにすっと収まるところが気に入っています。

長傘を手にする機会といえば突然の雨で買ったビニール傘くらいです。

通りすがりに素敵な長傘をさしている人を見かけたときに

ちょっとおしゃれだなと感じる自分の気持ちを思い出しました。

若い頃は色や柄、持ち手のデザインにまでこだわって選んでいた時期もありました。

ブランド物の傘を持っていたこともあります。

今になって思い出すとなんだか少し遠い記憶のようです。

あのころの自分にとっては傘も気持ちを映す

ひとつのアイテムだったのかもしれません。

気づかぬうちに私は機能重視の選び方へと変わっていたようです。

使い勝手やコンパクトさ、日傘としても使えるかどうか。

それはそれで今の自分にとって必要な視点だったのだと思います。

きれいだなと思っただけのことなのに、思いのほか

いろんな記憶がよみがえってきて少しだけ立ち止まりました。

傘ひとつを通じてこんなふうに思い出したり考えたり

不思議だなと思いました。