「今 誠さんが感じているのは、制限されていた潜在能力が解放された時に生じる鳴動です。心配は要りません」
言った姫巫女の表情は穏やかだ。それを肯定するように、睦月と如月もコクリと深く頷く。
しかし、
予定通りなのは そこまでだった。誠は突然 胸を押さえて苦しみ出す。
「クッ…、グフッ…」
苦痛の表情で悶える誠。
「なに!?、何が起こったの!?」
訳が分からない月巫女たちは皆一様に顔を引き攣らせて騒然とする。
「誠さんっ!、誠さんっ!」
中でも姫巫女の驚きは一際だ。
「かはっ!!!」
誠が突然 大きく咳き込んだ。それと同時に彼の口からビー玉のような透明の珠が吐き出される。大きさも ちょうど そのくらいだ。
「なに!?」
言うと同時に誠が吐き出した珠に手を伸ばす姫巫女。しかし睦月は、
「如月!」
すぐに叫んで如月に姫巫女を抑えさせ、自らが珠を取って それを見据える。もちろん万が一を考えてのことだ。月巫女である自分の代わりは幾らでも補えるが、睦月が仕える姫巫女の代わりは…、真琴の代わりは この世に一人として居ない。
「こ、これは…」
珠を…、正確には珠の中心に漂う黒い霞(かすみ)のようなものを見据えて睦月が声を漏らした。
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