酒好きのあおいは、夕食では酒が飲み足らなかったようで、湯上り後にも部屋飲みしていて、だいぶ酔いがまわっているようだ。

「実は、私、貴方がジャングル風呂に行った後に、様子見に脱衣室まで行ったのよ。その時は室内には誰もいなかったわ。」と言うので、
「それって、なにかチェックされているみたいだな。」と苦笑いしながら応えたが、入浴美人と混浴している真っ最中だったかもしれなくて、少し焦った。

「でも、浴場の中までは眺められないだろう?」と念のため聞いてみたら、
「浴場入口からは、池風呂の一部が見えるだけでジャングルの中までは見通しできないから、それより先は私が裸になって入るしかないわね。」と応えた。
もし、あおいがそうして入ってきたら、現場を押さえられ修羅場になってしまうので、今さらながら安堵した。

「女性の入浴客は、婆さまが2、3人ぐらいかな。」とうそぶき、「だいたい混浴のジャングル風呂には湿地帯で獲物というか、好みの女性を待ち受けているワニみたいな男連中がいるから、妙齢の女性はめったに来ないよ。」と面白半分脅し半分で応える。
余談だが、現在は混浴風呂にいる男性をワニと表現しているようだ。

「そんな中で混浴風呂に入浴するって、若かったなら、よほど度胸があるか、露出癖がある女ね。」とあおいは納得する。

あおいと飲みながら話をしていても、僕としては12時に入浴美人と待ち合わせしているので、どう、部屋から抜け出すかが気になっている。
本来なら、カップルと温泉宿に来たら、入浴、夕食、そして寝る前のセックスの順だが、もう、あおいとは食前セックスを済ませている。
彼女の今の酔い方じゃ、再挑戦は無理だろう。

しばらくして、仲居さんが、すでに布団をひいてくれていたので、あおいは昼間の観光の疲れと酒酔いで、その上に寝転がってうたた寝状態になっている。


さらに12時前になると、彼女はタイミング良く、ぐっすりと眠り込んでいる。
僕が「酔い覚ましに、また、風呂に入ってくるね。」とそっと声をかけたが、その声かけに返答はないので、僕は、あおいに後ろめたさを感じながらも、静かに部屋を出てジャングル風呂に向かった。