夕食は豊富な海鮮の食材をメインとした料理で、金目鯛、伊勢海老、アワビなど伊豆特産のメニューも加えられて酒食が進む。
夕食を済ませて、部屋に戻ると、
あおいが「ジャングル風呂の女性専用時間が9時までなので、これから入浴してくるわ。」と言う。
「酒をだいぶ飲んでいたけど、大丈夫なのかな?」と心配すると、
「ええ、まだ、飲み足らないくらいよ、貴方はどうするの?」と聞く。
あおいは酒豪で、いつものパブスナックでは一晩でボトル一本を空けることもある。
僕は彼女ほど酒が強くなくて、だいぶ酔っ払っている。

「しばらく酔いを醒ますよ。ジャングル風呂には入りたいから、9時過ぎに行くことにするかな。」と応えると、
「え~、下心あるんじゃないの、混浴で女性に出会えるなんて考えてたりしてね。」と疑うような目つきだ。
「いや、そんな機会は無いと思うよ。だいたい、女性が混浴風呂に入るのは、羞恥心が無くなった婆さん達で、妙齢の女性は、まず来ないよ。それに僕がジャングル風呂に行くのは、そんな下心じゃなくて、この後は混浴タイムしか入れないからさ。」と弁明するが、あおいが推測するような状況を期待してなくはない。

「そうよね、じゃあ、私も思い切って、9時からの混浴に貴方と一緒に入浴しようかしら。」と笑いながら言う。
「でも、さっきは絶対嫌だって言っていただろう。なにもスケベー男達を喜ばすことは無いだろう。」と言い聞かすと、
「ふっふっ、冗談よ。貴方と入るなら貸し切り風呂にするわよ。さて、これから行ってくるね。どんな雰囲気なのか、楽しみだわ。」と出かけた。

そして僕が部屋で寛いでいると、小一時間して、彼女が戻って来た。
「本当にジャングルみたいで素敵よ、熱帯植物がうっそうと茂ってトロピカルなムードで、大小のいくつもの岩風呂があって、池みたいに広い風呂には滝まで落ちているの。」と感想を述べる。
へえ~、それはいいね。じゃあ、これから行ってみるよ。」と言うと、
「あっ、そうそう、昼間、大浴場への通路で貴方が行き交ったママ友グループは、ジャングル風呂で会ったわ。彼女達と混浴できなくて残念ね。」と皮肉る。
「そんなこと、もとより期待してないよ。」と言葉を返したが、その混浴風呂で、思いもかけないようなアバンチュールに遭遇する。