カナダで子育てをしていて驚いたことの一つに、「子どもが掃除の仕方をあまり知らない」ということがあります。

 

日本で育った私たちは、小学校で当たり前のように教室の掃除をしていました。

 

ほうきで床を掃き、雑巾で床を拭き、使った雑巾は自分で洗って絞って干します。

机を運んだり、黒板を消したりするのも子どもたちの役目です。

 

この「学校掃除」は日本の教育の特徴の一つとも言われています。

 

単に教室をきれいにするだけでなく、「自分たちが使う場所は自分たちできれいにする」という考え方や、協力して作業することを学ぶ時間でもあります。

 

日本で育った人にとっては当たり前のことですが、海外では必ずしも一般的ではありません。

 

カナダの学校では子どもは掃除をしない

カナダの学校では、基本的に子どもたちが教室の掃除をすることはありません。

 

掃除は清掃スタッフが行うことが多く、子どもたちは授業が終わればそのまま帰宅します。

日本の学校のように「掃除の時間」があるわけではないのです。

 

そのため、日本では自然と身についていた掃除のやり方を、子どもが知らないということも起こります。

 

ランチョンマットを洗えない息子

ある日、食事中に息子が飲み物をこぼしました。

テーブルにはランチョンマットを敷いているので、「自分で洗ってきて」と言ってみました。

 

すると息子は、洗い方がわからない、絞り方がわからない、と戸惑っています。

 

よく考えてみれば、雑巾を洗ったこともなければ、絞ったこともありません。

 

日本で育った私たちにとっては当たり前だった「洗う → 絞る → 乾かす」という流れも、経験がなければわからないのだと、そのとき初めて気づきました。

 

 

ほうきを使わせてみたら絶句

ずいぶん前、家の掃除をしていたときのことです。

 

わが家では、
ほうき → 掃除機 → ウェットシートで床拭き
という順番で掃除をすることがあります。

 

そのとき息子が「ぼくもほうきをやりたい」と言うので任せてみました。

 

しばらくして様子を見た私は、思わず絶句。

 

息子は、ほうきで床を撫でていました。

 

掃く、ではなく、撫でる。

 

その光景を見て、「そうか、ほうきの使い方を知らないんだ」と気づいたのです。

 

留学中に聞いたアメリカの学校の話

実は私は、学生の頃に1年間アメリカへ留学していたことがあります。

そのときに、アメリカの学校にも掃除の時間がないことを知りました。

 

学校のゴミ箱はいつもかなり汚れていて、可燃物と不燃物もあまり分けられていない状態でした。

 

それを見て私はホストマザーに、「日本では自分たちで掃除をするので、ゴミ箱をきれいに使わないと後で自分たちが困る」と話しました。

 

するとホストマザーはこう言いました。

「アメリカの学校はまさにそれ。自分たちで掃除をしないから、使い方もきれいじゃないの。」

 

その言葉が、今でも印象に残っています。

 

日本の学校掃除は生活教育でもある

日本では、学校の掃除の時間でこうしたことを自然に覚えていきます。

 

ほうきの使い方、雑巾の絞り方、床の拭き方。
そして、みんなで協力して作業すること。

 

改めて考えると、日本の学校掃除は単なる清掃ではなく、生活の基本を学ぶ教育の一つなのかもしれません。

 

カナダで子育てをしていると、日本では当たり前だったことが当たり前ではないと気づく瞬間があります。

 

掃除の仕方のような小さなことでも、文化や教育の違いを感じるものだなと思います。

 

ちなみに息子は当時6歳。
今は8歳になり、ほうきの使い方はだいぶ上達しました。

 

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