物語84 | Thinelの世界

Thinelの世界

私の描く世界へようこそ


  カエール侯爵は私をじっと見つめながら、顎に手を。
  「これで何とかなると思うが・・・・アリアネに男物を着させる日が来るとは・・・」と溜め息。
  今夜の行き先はカエール侯爵が好きな遊び宿。
  「仕方がないでしょう、ああいう所に行くわけですから」
  「仕方がないが、アリアネに似合わない」
  「なんでそういう所で待ち合わせですか」
  「前に言ったじゃないか。待ち合わせしても不思議ではない場所なんてあそこしかないから」と私を見ては、溜め息をつくカエール侯爵。
  「この服、誰のものですか」
  「ワタシの服は大きいだろうから、ジェアンの借りた」
  「あまりジェアン伯爵のイメージではありませんね」
  「大学時代のものだからね」
  黒いズボンに膝に届かないブーツ。長い袖のシャツに黒いベスト。髪は帽子の中。
  「私はこういう格好が好きです」
  「男装は初めてじゃないのか」
  「軍育ちですから、15歳からずっと男の子の服を着ていますよ。いつも戦場の近くにいるわけですし、ドレスなど、邪魔なだけです」
  「自分のものをもっているんだね」となぜだか安心したようにカエール侯爵は言っていた
  「たまにエンリの服も借りたりしていました」
  「ふーん」と妬いているように侯爵は私を見る。
  執事からコートをもらい、馬車へ。
  「レディーアンヌに何を言いましたか」と私は少し不安に聞く
  「出かけるとしか言っていないよ。これ以上言う必要もない」
 
  外から見ると普通の3階建ての家だと思われる。
  「こういう所、初めて?」とカエール侯爵は家を見上げている私に聞く
  「はい」
  「1階は女が多い点以外は普通の酒場のようなところだ」
  「はい」

  入ると煙草の重い煙が広がる。強い安い香水の匂いがたつ。
  20卓位置いてあり、奥にカウンター。卓ごとに5人くらいの男客。
  遊女たちは飲み物を運んだり、客を話相手にしたり、2階に連れたりしたり・・・
  カエール侯爵は誰か探している様子、ドアのところで止まったまま1階の全体見ている
  「カエール」と30位の厚化粧をしている女性が侯爵の首に腕を回したー「待っていたよ」と軽くカエール侯爵の頬にキスをした
  侯爵はその女性の背中に腕回した
  「こんばんは、アメリア。ジェアンはもう来ているかなぁ」
  「いつもの奥のテーブルにいるよ。その後ろにいる少年は?」
  「ワタシの連れだ」
  「いいもてなししないと」、そしてアメリアは私に微笑んだ
  私は微笑みで返した。
  テーブルに案内してから、アメリアは飲み物を取りに行った。
  フランスア様にジェアン伯爵が座っていた。
  「こんばんは、兄上、ジェアン」
  「こんばんは、カエール」と私たちの方を見るなり、フランスア様は「勿体ない」と。
  「ワタシもそう思う」とカエール侯爵はたま溜め息。
  「こんばんは、二人とも。僕はこの発想が好きだね」と意味ありげな微笑みでジェアン伯爵は私を見ていた
  三人は私をじっと見る
  「確かに」とカエール侯爵は納得したようで言う
  「だね」とフランスア様も同意する
  三人の考えることが分からない
  「ワイン持ってきたよ」とアメリアは帰ってきた
  カエール侯爵と私にワインを注ぐ
  「ありがとう」とカエール侯爵は私の嫌いな微笑みをアメリアに見せながら、言う
  アメリアは一礼をして、テーブルから離れた。
  「いい女だな、アメリアは」とフランスア様は呟く
  「カエールの虜だね」とジェアン伯爵。
  私はついていけない話を聞きながら、ワインを飲もうとしたら、カエール侯爵は私の手からグラスを取った。
  「飲まない方がいいよ。慣れていないから、すぐ酔うでしょう」
  「少しだけ大丈夫です」
  「大丈夫じゃないから、やめさせている」
  「少しだけいいじゃないか、カエール」とフランスア様は言う
  「いっぱいのワインで酔って、屋敷の階段が上れなかった人に飲ませませんよ、兄上。他のものもしたら、ここなら困まります」とカエール侯爵は微笑んだ。後半の部分は私宛だっただろう。
  「そのような話するために来たわけではないでしょう」と話題を変えようとする私だった
  「もう一人まだ着いていませんから、話が始められませんよ」とジェアン伯爵は言う
  しばらく世間話で三人は時間をつぶしていた



                                つづく
  

にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ